7月の新刊:『ピンチョンの動物園』

2011年 7月 11日

pinchon_cover波戸岡景太

ピンチョンの動物園

四六判上製250ページ/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-844-7   C0098 7月13日頃発売!
新シリーズ エコクリティシズム・コレクション



あのバケモノを捕獲せよ!

奇想天外なサブキャラ=動物たちに着目しつつ、
壮麗無比なピンチョン文学の全長篇小説に挑む、
冒険的/挑発的/独創的な作品論。

【目次】
はじめに——ピンチョンの動物園へようこそ
第1章——鰐とアメーバ
第2章——境界線上のイルカ
第3章——巨大蛸は咆えない
第4章——すべての豚どもに死を
第5章——犬たちの沈黙
第6章——タッツェルヴルムが叫ぶとき
おわりに——ブッグフットはここにいる

 

7月の新刊:『〈故郷〉のトポロジー——場所と居場所の環境文学論』

2011年 7月 11日

kokyou_cover喜納育江

〈故郷〉のトポロジー——場所と居場所の環境文学論

四六判上製224ページ/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-843-0   C0098 7月13日頃発売!
新シリーズ エコクリティシズム・コレクション


言葉のない場所に言葉を、
生命のない場所に生命を感じとる——。


アメリカ先住民やチカーノ、日系アメリカ人、そして沖縄の民らの
表現を媒介に、重層化する彼らの《アイデンティティ》を問い、
そして他者へと開かれてゆく、清冽な文学論

【目次】
序 章  私(たち)はどこにいる
第1章  故郷という居場所
第2章  沈黙に寄り添う言葉
第3章  ラ・ヨローナとリオ・グランデ
第4章  新しい場所に根ざす
第5章  境域としての場所と身体
第6章  淵を居場所とする者たちへ

 

6月の新刊『転落譚』

2011年 6月 23日

e8bba2e890bde8ad9ae382abe38390e383bc-1中村邦生

転落譚

四六判上製310ページ/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-845-4   C0093 好評発売中!

〈私〉はある小説の登場人物、本から外へすべり落ちてしまった……

厳粛な冗談か?

真摯な悪戯か?

生誕の災禍から始まる冒険、奇想の物語。

 

6月の新刊『坂部恵 別冊水声通信』

2011年 6月 23日

sakabe_cover_cs4別冊水声通信、創刊!

坂部恵――精神史の水脈を汲む

A5判並製352ページ/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-846-1   C0095 好評発売中!


ムック形式で1テーマを掘り下げる新たな論集、創刊。
第一回は、類稀なる哲学者=
坂部恵

カントを中心とする近代西洋哲学の独創的な研究と、他方における、
「かたり」や「ふるまい」といった「日本語」を導きにした目眩くような試作によって、
今日の哲学の閉塞した枠組み自体を変容させた、類例のない哲学者の仕事を、
第一線の研究者たちが多角的・徹底的に考究する、坂部恵、全一冊。
遺稿および詳細な年譜・書誌を付す。

執筆=村上陽一郎、木村敏、鈴木忠志、磯崎新、加藤尚武、藤井貞和、
小林康夫、関根清三、苅部直、黒崎政男、山内志朗、野家啓一ほか

 

好評既刊『西洋美術史を解体する』

2011年 6月 23日

e8a5bfe6b48be7be8ee8a193e58fb2efbc9de382abe38390e383bc白川昌生

西洋美術史を解体する

四六判上製154ページ/定価1800円+税
ISBN 978-4-89176-828-7   C0070 好評発売中



既刊『美術館・動物園・精神科施設』などで、美術史/美術研究に
一石を投じる著者による、西洋美術史を知るユニークな入門書。


〈西洋〉そして〈美術〉という伝統的な閉じられた枠組みを
解体し、相対化し、もうひとつの別の美術史を構想する。

 

6月の新刊予定

2011年 6月 6日

今月の新刊は話題作が目白押しなので、ひと足はやくお伝えさせていただきます。
口火を切るのは、美術史を画期した運動をめぐるこの2冊。

鈴木雅雄×林道郎シュルレアリスム美術を語るために』……6月13日頃配本

鯖江秀樹『イタリア・ファシズムの芸術政治』……6月13日頃配本

ここから先は、6月下旬から7月上旬にかけて、順次刊行して参ります。
まず、読みやすいムック形式で創刊! 第1回は、比類なき哲学者を総特集。

『別冊水声通信 特集:坂部恵』……6月下旬予定

つづいて、『水声通信』に好評連載の奇想小説が1冊に。

中村邦生『転落譚』……6月下旬予定

さらに、みなさまお待ちかね、ペレック! ルーボー! ウリポからの刺客。

ジョルジュ・ペレック『家出の道筋』(酒詰治男訳)

『ジャック・ルーボーの極私的東京案内』(仮題、田中淳一訳)

そして、人間と環境を再考する《エコクリティシズム・コレクション》スタート。


波戸岡景太『ピンチョンの動物園』

喜納育江『〈故郷〉のトポロジー:場所と居場所の環境文学論』

なんとまだあります! 長らくお待たせしましたが、ついについに続刊!


『サド全集 第6巻:恋の罪、壮烈悲惨物語』(私市保彦、橋本到訳)

このあともまだまだ続くのですが、ひとまずここまで……。
刊行が近づいてきたら、あらためて詳細をアップいたします。
いずれも編集作業は佳境に入ってきました。
ぜひぜひひとりでも多くのみなさんの手にとっていただきたく、
刊行まであとすこし、心待ちにしていてください。

 

書評『ジーン・セバーグ』2

2011年 4月 20日

ヌーヴェルヴァーグを代表するヒロインの本邦初の評伝『ジーン・セバーグ』は、
おかげさまでその後も各誌紙で好評をいただいております。
評者、媒体、書店のみなさま、本当にありがとうございます……。

「本書は親族、友人、仕事を共にした俳優など多くの証言者によって、
才気あふれる幼少期から、不審な『自殺』を遂げるまでの彼女の姿が、
多面的に描かれている。〔……〕知性の女優を貶めたとき、
アメリカは自らの『自由な精神』の限界をはっきりと示した。
本書は、一人の女性の信念が残酷な形でそれについえた、その物語である」

———寺尾紗穂さん(シンガーソングライター、『週刊文春』4月21日号)

「それにしても、この伝記を読むと、彼女の人生が
なんとも波乱に満ちたものだったことにあらためて驚かされる。
〔……〕20世紀後半の風俗史としても興味深い本書を読んでいると、
あのブロンドのショートヘアにスクリーンで再会したい
という気持ちがふつふつと湧いてくる」

———谷昌親さん(早稲田大学教授、共同通信配信『千葉日報』『神奈川新聞』ほか)

「アメリカ本国よりフランスで高く評価された、
ショートヘアがよく似合った女優の伝記の部分と、
出演映画についての作品論がほどよく溶け合っていて
読みごたえがある。ゴシップも下品な書き方ではなく
非常にフェアな評伝になっている」

———川本三郎さん(エッセイスト、『キネマ旬報』4月下旬号)


jean02本書の刊行後、「ジーンのフィルモグラフィが知りたい」、
「ジーンのドキュメンタリー映画の詳細は?」といった
お問い合わせをいただいております。
これらについては、本書の著者・ギャリー・マッギー氏ら
によって撮影が進んでいるというドキュメンタリー映画
Movie Star: The Secret Lives of Jean Seberg” のウェブが
非常に充実しています。フィルモグラフィはじめ、
詳細な情報が掲載されていますので、本書の参考に、ぜひご覧ください。
(英文です)http://www.jeansebergmovie.com/



seberg_coverギャリー・マッギー 石崎一樹訳

ジーン・セバーグ

四六版並製/2段組452ページ/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-820-1 好評発売中

 

書評『ジーン・セバーグ』

2011年 4月 7日

1『悲しみよこんにちは』『勝手にしやがれ』『リリス』などで
世界中の観客を魅了した女優、ジーン・セバーグ。
40歳で「自殺」した彼女のモノクロームな生涯を、関係者への
膨大な取材と資料によって描いた決定版評伝が、
G・マッギー著/石崎一樹訳『ジーン・セバーグ』です。
ブラックパンサーにコミットし、FBIにマークされた彼女の
内面にも肉薄する優れたドキュメントですが、さっそく各紙で
話題になりました。評者・媒体のみなさま、ご発注くださった書店のみなさま、
ありがとうございます。

「1人の女優の生き様に米国の社会・政治の暗部がのぞく」
――――日本経済新聞(3月7日付読書面)

「ジーン・セバーグをコケティッシュな美少女として
記憶しておくのが良かったのか、それとも時代に翻弄された
悲劇的女優だったことを知って良かったのか。
どちらと決めかねたままに最終ページを閉じた」

――――朝日新聞(4月4日付読書面/評者=後藤正治さん。全文はこちら→

ほか、信濃毎日新聞、神奈川新聞(いずれも3月7日付読書面)でも
紹介していただきました。ありがとうございます。
日本でもセバーグは1950年代末から多くのファンを獲得してきましたが
(本書89ページ下段の図版は日本版オリジナル!)、
それから半世紀を経たいま、あらためて彼女の孤独な生涯が
問い直されようとしてます。ぜひ、この機会にご一読ください。


seberg_coverギャリー・マッギー 石崎一樹訳

ジーン・セバーグ

四六版並製/2段組452ページ/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-820-1 好評発売中

 

東北関東大震災について

2011年 3月 14日

平素より小社出版物をご愛読くださり、誠にありがとうございます。

3月11日に発生した、いわゆる東北関東大震災で被害を受けた皆様に、
心よりお見舞い申し上げます。また、各書店様など、関係各位の
回復・復旧を、小社一同、心よりお祈り申しあげます。
この地震によって商品のお届けに遅れが生じる場合がございますが、
なにとぞご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

計画停電等による交通不全のため、小社の業務にも影響が予想されますが、
万全を尽くして参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

書店イベントのご案内:ご予約受付終了

2010年 12月 11日

*おかげさまで定員に達したとのことです。
ご予約いただいたみなさん、誠にありがとうございました。


先日このブログでも おしらせ した書店イベント、

読んでいいとも!ガイブンの輪 歳末特別編 at 百年2010
豊崎由美×個性派ガイブン出版社
小さな巨人と呼んでくれ!(群像社・水声社・未知谷)


は、おかげさまで残席わずかだそうです。
(会場の百年さんの つぶやき もご参照ください)
参加を迷ってらっしゃるかたはいまが最後のチャンス。
ご予約の手続きをおいそぎください。
当日は年の瀬の年の瀬ですが、いろんなかたと
お目にかかれるのを楽しみにしております。


◎ 12月26日(日) 12:00〜13:30 (開場11:30)
◎ チケット 500円
◎ 予約開始日 12月4日(土)11:00 より受付
ご予約は百年まで! 店頭・電話・メールにて

OLD/NEW SELECT BOOKSHOP  百年
180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10村田ビル2F
tel/fax 0422-27-6885

http://www.100hyakunen.com

mail@100hyakunen.com

 

12月の新刊『絶対の探求他 バルザック芸術/狂気選集4』

2010年 12月 10日

balzac_kagaku_coverバルザック芸術/狂気小説選集4
【科学と狂気】

絶対の探求 他

私市保彦訳

四六判上製392頁/定価3500円+税
ISBN978-4-89176-794-5 C0397 12月22日頃発売!



すべて新訳の新シリーズ、ついに全4巻完結!


ダイヤモンドを創造する、という考えに取り憑かれ、
すべてを投げうち実験に没頭するバルタザール。
一家は破産し、科学によって母をも奪われた娘が考え出した
ある策とは……そして男の行きついた果てとは?

バルザック独自の科学観を垣間みることができる表題作と
「赤い宿屋」の2篇を収録。

—–
目次
—–

絶対の探求(私市保彦訳)
赤い宿屋(私市保彦訳)

解説:観念に憑依されて

===
既刊3冊も好評発売中!

 

書店イベントのご案内

2010年 12月 3日

年末も年末ですが、12月26日(日)のお昼に、
都内吉祥寺でイベントが開催されます。
ガイブンに関心のあるかたもないかたも、
ふるって足をお運びください!

—–

読んでいいとも!ガイブンの輪 歳末特別編 at 百年2010
豊崎由美×個性派ガイブン出版社

小さな巨人と呼んでくれ!(群像社・水声社・未知谷)


「読んでいいとも!ガイブンの輪」(通称「よんとも」)は
書評家の 豊崎由美さん が「笑っていいとも」の
「テレフォンショッキング」方式でゲストをお招きし、
素敵な本屋さんを転々として海外文学について語り合う
流浪の番組、ではなくトークショーです。

これまで、野崎歓さん→川上弘美さん→岸本佐知子さん→榎本俊二さん→
本谷有希子さん→〔特別編・柴田元幸さん+若島正さん〕→宮沢章夫さん→
前田司郎さん→〔大森望さん+岸本佐知子さん〕→石川直樹さん→
鴻巣友季子さん、と海外文学好きのお友達を紹介していただきました。

今回は歳末特別編として、個性的な出版活動を続けている
ガイブン出版社の編集者をお招きいたします!!

海外旅行も洋画も各国料理も好きなのに、
海外文学(ガイブン)はなかなか著者名が覚えられないし、
登場する人物名も土地名もなじみがないから
ついつい敬遠してしまうというアナタ!

読んでみたいと思ってはいるけれど、
次々出る新刊を前にどれを選んだらいいか
途方にくれてしまうというアナタ!

あるいは、海外小説について
さらにディープに知りたいというアナタ!

とびきりのガイブン“目利キスト”である豊崎さんとゲストが、
「これはおもしろい!」「いまが旬!」「読んで損しない!」
という新刊をおススメし、魅惑の翻訳小説ワールドへと
みなさんをご案内いたします。

◎ 12月26日(日) 12:00〜13:30 (開場11:30)
◎ チケット 500円
◎ 予約開始日 12月4日(土)11:00 より受付
ご予約は百年まで! 店頭・電話・メールにて

OLD/NEW SELECT BOOKSHOP  百年
180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10村田ビル2F
tel/fax 0422-27-6885

http://www.100hyakunen.com

mail@100hyakunen.com

《プロフィール》

◎ 豊崎由美(とよざき・ゆみ)
ライター、書評家。「GINZA」「本の雑誌」「TVBros.」「文藝」などで
書評を多数連載。主な著書に『そんなに読んで、どうするの?』(アスペクト)、
『正直書評。』(学習研究社)『勝てる読書』(河出書房新社)などがある。
最新刊は岡野宏文氏との共著『読まずに小説書けますか』(メディアファクトリー)。

**
◎ 群像社(ぐんぞうしゃ)
1980年設立。季刊『ソヴェート文学』の発行元として76号から101号までを刊行。
「現代のロシア文学」シリーズで当時ほとんど紹介されることのなかった
現代ソ連文学を日本に紹介、その後「群像社ライブラリー」
「ロシア名作ライブラリー」を中心に新旧のロシア文学からロシア文化をめぐる
書籍へとジャンルをひろげ、刊行点数は今年で120点になる。

島田進矢(しまだ・しんや)
1988年、群像社に入社。ソ連を代表するSF作家ストルガツキイの
シリーズやブロツキイ『私人』などを手がけ、まだ無名だった
ペレーヴィンを日本で初めて紹介。前社長の死去により2010年からは
代表取締役となり、以後は一人で経営。
訳書にブシュネル『モスクワ・グラフィティ』(群像社)がある。

**
◎ 水声社(すいせいしゃ)
1981年、鈴木宏が「書肆風の薔薇」として創業。1986年に白馬書房と業務提携、
1991年に「水声社」と社名を変え、現在にいたる。《アンデスの風叢書》
《言語の政治叢書》《シュルレアリスムの25時》《小島信夫批評集成》などの
シリーズのほか、G・ペレックや荒川修作など、洋の東西を問わず、
奇想あふれる作家・作品を紹介しつづけている。

下平尾 直(しもひらお・なおし)
1968年、大阪生まれ。水声社チーフディレクター。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程満期退学。企画編集した書籍に
E・ブロッホ『ナチズム』、都甲幸治『偽アメリカ文学の誕生』、
黒木夏美『バナナの皮はなぜすべるのか?』など。

**
◎ 未知谷(みちたに)

1990年12月、飯島が創業。ほぼ1年一人出版社として活動、
2年目に営業と経理担当に一人参加、その後一人増え二人増えして
20人位入れ替わりましたか、現在は五人で20年目を迎えました。
総刊行点数426。文学・思想・芸術と判断できる範囲ですが、
後発の出版社として大手が手を出さない企画を中心に考えています。
いきおい中心よりは周縁といったことになります。
良くいえば次なる中心の提示とも、しかし実態は落ち穂拾いでしょう。

飯島徹(いいじま・てつ)
1950年、東京生まれ。都内某大学中退。以前はモラトリアムとか
言っていましたが、今で言えばフリーターとして30歳近く迄、
業界周辺をふらふらしていました。知己のあった清水康夫氏に拾われ青土社に勤務。
『現代思想』『ユリイカ』の編集を経て、書籍編集部に9年近く在籍。
企画が悉く却下されるようになり、40歳で独立、いまだきわまるをしらず、
これから極めましょうと、未知谷を創業。そんなわけで、
前職で知己を得た著者を一切引きずらず、天涯孤独な出発でした。

 

編集部通信/書評『ミノタウロスの誘惑』

2010年 12月 3日

8月下旬に刊行した『ミノタウロスの誘惑』は好評で、
実際に読んだ人からの反応も、「訳文がよく工夫されていて読みやすく、
イメージがふくらむ」といった声が多く寄せられています。

そして、少し報告が遅くなりましたが、二つの女性誌に好意的な書評が
本の写真つきで掲載されました。
『フィガロ・ジャポン』12月号では、

「自由を求め続けて生涯を過ごしたアナイス・ニンが、
旅と音楽と人生を重ね、半世紀前に著した情熱の書」


と取り上げられ、『Spur』12月号では、

「いち早く女性の性をテーマにした小説を書き、
多くの文学者とも浮名を流した著者の、1961年の作品が邦訳。
メキシコのリゾート地を訪れたジャズ・ピアニストのリリアンが、
南国の風に吹かれ、現地の人々と交流するうち、
他者とも自己ともより深く対話してゆく。決して古びていない、
言葉のきらめきが味わえる」


と紹介されました。また、『本の雑誌』12月号で、山崎まどかさんが、

「リリアンが音楽を奏でるシーンはほとんどないが、
その描写の全てが音楽的であり、その旋律に酔う」


と評しています。さらには、「日本ヘンリー・ミラー協会」の
ニューズレターにも佐竹由帆さんによる書評が掲載されていますので、
ここに一部紹介しておきます。

「……ニンの小説は読みやすいものではないと言われることが多いようだが、
本作の大野氏の訳はとても読みやすかった。比喩の多い
詩的な美しさを湛えたニンの文章を美しくかつ読みやすく訳すのは
労力のいる仕事だっただろうと推察するが、
訳文は苦労を感じさせない見事な仕上がりである。……」



minotauros_cover-e381aee382b3e38394e383bc●円熟味を増したニンの名篇——本邦初訳。

ミノタウロスの誘惑

アナイス・ニン/大野朝子訳
四六判上製240頁/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-800-3 C0097


南国のゆるやかな空気のなかで


太陽がまぶしいメキシコの華やかなリゾート地。
米国人ジャズ・ピアニストのリリアンは
現地のさまざまな人物たちとの出会いを通して
自分の本当の姿と向き合うようになる……
旅と音楽をモチーフに色鮮やかに描く珠玉の小説。


e4babae5b7a5e381aee586ac-e381aee382b3e38394e383bc●好評発売中!

人工の冬

アナイス・ニン/矢口裕子訳
四六判上製328頁 定価2800円+税


異端の愛こそ美しい——

アメリカで発禁となっていた先駆的な性愛小説三篇が
原形のまま70年ぶりに復活。

 

編集部通信/イベント御礼+書評『日本探偵小説論』

2010年 11月 18日

11月12日にジュンク堂新宿店でおこなわれた
栗原幸夫さんと野崎六助さんのトークセッション
《1920年代の反逆思想!》は、おかげさまで
盛況裡に終えることができました。

平日の夕方という忙しい時間帯にもかかわらず
足をお運びいただいたみなさま、
あるいは参加できなかったものの
心の奥底で声援を送ってくださったみなさま、
そしてジュンク堂ご担当のみなさまに、
厚く御礼申しあげます。ありがとうございました。

11_12しかし、
御年83歳になる
栗原幸夫さんの、
熱く、いつまでも
お若いお話しには、
聴いている方が心を奮わされるような時間でした……。

さて、その余韻もさめやらない翌々日の14日(日)、
東京新聞の朝刊読書面に、野崎さんの新刊、
『日本探偵小説論』が掲載されました。評者は文芸評論家の川村湊さん。
本書が《探偵小説》を狭義のジャンル(業界)の枠を超えた、
広く日本の《近代》と格闘したさまざまな文学作品のなかに、
位置づけ直したことを目一杯評価していただき、

「それにしても、日本の近代文学の本質を
〈昭和十年前後〉という時間のなかに凝縮してみせた
批評の力技は、ただ感嘆する以外にはないのである」


と、そのレヴューを締めくくっておられます。
本書への最上の言葉を、ありがとうございました。
全文はこちらから→(

野崎六助さんの『日本探偵小説論』、栗原幸夫さんの『わが先行者たち』は
いずれも全国書店で好評発売中です。ぜひご一読を!(編集部:Naovalis)

—–

senkosha001栗原幸夫

わが先行者たち——文学的肖像

四六判上製/466頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-803-4 C0095  好評発売中!


危機の瞬間にひらめく回想——。
自在な《精神の運動》による戦後文学/思想史の軌跡。



編集者として、批評家として、あるいは
べ平連やAA作家会議のアクティヴィストとして。
埴谷雄高、中野重治、堀田善衞ら《戦後》という時代を協働した、
こよなき《先行者たち》への批評/オマージュを集成する。
【附・著者による自筆略年譜】


——

nihontantei_cover野崎六助

日本探偵小説論

四六判上製/444頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-801-0 C0095  好評発売中!


真犯人、それは《近代日本》なのか !?




関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。

 

編集部通信/『また君に恋をした』の反響その1

2010年 11月 15日

10月下旬に発売していらい、アンドレ・ゴルツ『また君に恋をした』は
実によく動いています。池袋リブロはじめ幾つかの書店・大学生協では
発売後たちまち売り切れ、追加注文がきました。
そのうえ、活字が大きく短い作品なのですぐ読めてしまうのか、
読者からの感想が続々と寄せられています。(編集部So)

一番早かったのは、書評家の江南亜美子さんの反応です。
うんうん唸りながら一気読みしたそうで、まずツイッターでつぶやき、
その勢いでブログにも書き込んでくれました。こちら→(
また、神戸の海文堂書店のブログ(11月2日の日記)にも
詳細な紹介が出ています。こちら→(

大方の感想は、「読んでいて胸が熱くなった」
「哲学的なところは少々難解だが、一気に読んでしまった」
「訳文がこなれていて読みやすい」といったものですが、
結構みなさん読み込んでいて、編集担当の私や
訳者の杉村裕史氏も驚くような反応や感動的な感想文が
多いので、ここで一気に紹介してみます。

「とても読みやすくて、妻をいたわり、
やさしく語りかける雰囲気がよく伝わってきました。
なれそめの部分は恋愛小説のようで、ロマンチックでよかったです。
筆者はジャーナリストで、知識人階級の人なのに、
やわらかい文章で、素直に心情を表現しているのがいいですね。
母国語を捨てて生きなければいけなかったことなど、
時代背景も興味深かったです。商業主義的な医療行為のこととか、
考えさせることも多かったです。
それに、最後の2頁がすごく感動的でした。
あとがきも、いろんな情報が盛り込まれていて読み応えがあり、
グリーンと茶色が基調の装丁も上品で、とても素敵な感じです。
性別、年代に関係なく楽しめる本ですね」(アラフォー女性)


「私には全く未知の作者でしたが、このような夫婦がいたことを知り、
近年味わったことのない大きな感動を覚えました。……
一読後、思い出を綴ったあと奥さんの後追い自殺をした
江藤淳氏のことや、やはり亡妻との思い出を本にした川本三郎氏のことを
想起しましたが(いずれも子供のいない、夫婦きりの結婚生活で、
絆がより強かったと思われます)、感情を抑制し、冷静に、
客観的に夫婦の日々の真実を描き切った本書の重みには
かなわないと思いました」(50代男性)


「若い人に読んでもらいたい。これから結婚しようとする
カップルにも。ちょうど12月に教え子の結婚式があるから、
プレゼントすることに決めた」(40代女性)


「『また君に恋をした』を手にとったところ遅読の私にしては
奇跡的に冒頭から一気に入り込んですぐ読み終えてしまいました。
こういう男女の愛が現実にあったという感動で涙ぐみ
奇跡のカップルを羨ましく思います。
さらに彼らがニューヨークで抱いたアメリカ文明への嫌悪感や
「再道具化社会」の概念、イリイチの「自主管理」
「脱病院化社会」の概念は今現在の私の日常の意識なので、
当時は最先端であっただろうこの方々に
難しい話題でありながら親近感を覚えました」(アラフォー女性)


「ゴルツの老齢になってからの強烈な想い。「要するに
本質的なことはただ一つ、君と一緒にいることだ」という
一語に集約される人生。特に晩年の人生。
もうすぐ大台になる小生としては我が身を振り返るに
心が痛む一冊です。日本のカップルは中年以降、パートナーを
疎ましく思う人も多いし、妻への想いを素直に出してたまるか、
という照れ屋も多いけど、こうもストレートに書かれると
いろいろ考えると思うなあ」(アラカン男性)


「ふたりがともに生きてきて、そのことがふたりにとって
かけがえのない、大事なことなのだということは切々と伝わってくるね。
そしてどれほど夫が妻を、ある種複雑な思いを持ちながらも、
愛していたか、わかる気がする」(50代男性)


「みなさんに手に取ってほしい一冊があります。
アンドレ・ゴルツ著『また君に恋をした』
著者の妻へのあふれる思いに胸を打たれたのでここに紹介します。
これは、著者が病の妻に宛てて最後に書いた感謝の手紙。
この本が出版されるのを待って、2007年、
二人は共に人生に幕を引きました。著者83歳、妻82歳。
著者はフランスを代表する哲学者で、自己や社会体制について苦悩した人生。
その隣にはいつも妻がいて支えてくれていた。
その妻が一歩、一歩、死に近付いていく。
「君はちょうど八十二歳になったばかり。それでも変わらず美しく、
優雅で、いとおしい。一緒に暮らし始めて五十八年になるけれど、
今ほど君を愛したことはない。最近また、君に恋をした。
僕の胸のここには再びぽっかりと穴が空いていて、
それを埋めてくれるのは僕に寄り添ってくれる君の身体だけだ
———僕たちは二人とも、どちらかが先に死んだら、
その先を生き延びたくはない。叶わないこととはいえ、
もう一度人生を送れるならば二人で一緒に送りたい」
共に生きた人生が終わりを迎えようとする時、苦悩も後悔も超えて
こんなにも熱い思いがあふれるものなのか…。
途中で若い頃の自己や社会への考察が出てきてそのあたりは
哲学者らしく難解なんだけど、そこを経て出た著者の
長年の哲学の結論が「要するに本質的なことはただ一つ、
君と一緒にいること」だということにもまた胸打たれます。
難しい部分で挫けず最後まで読むと感動が待っています。
ぜひ手に取って読んでもらえたらと思います」(20代女性)



matakimi_cover9アンドレ・ゴルツ/杉村裕史 訳

また君に恋をした

Lettre à D.  Histoire d’un amour
四六判変形上製144頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-805-8 C0097 好評発売中!

「君はもうすぐ82歳になる……それでも
変わらず美しく, 優雅で, いとおしい」




83歳の哲学者は, 長年連れ添った不治の病の
妻に宛てて, 最後のラブレターを書き上げた。ふたりは
互いを補い合いながら人生を歩み, 共に幕を閉じた……。

 

編集部通信/いよいよ明日!

2010年 11月 11日

ジュンク堂新宿店8階カフェで開催される
栗原幸夫さんと野崎六助さんのトークセッションが、
いよいよ明日に迫りました。
行こうかどうしようかと迷っているかたは、
ここはひとつご決断のうえ、お立ち寄りを!!
「えっ、あのひとも?」というようなかたが、
観客のなかにまざっているかもしれません!?



この秋に相次いで小社より刊行された
栗原幸夫さんの『わが先行者たち 文学的肖像』
そして、野崎六助さんの『日本探偵小説論』
この2著は、いずれも450ページ前後という手応えのある本となって、
おふたりの仕事のメルクマールとも言うべき作品ですが、
その刊行を記念して、おふたりのトークセッションを開催いたします。

テーマは……  1920年代の反逆思想!

アナキストやマルキストたち、そして芸術や思想や文化が
混沌としながら爆発し、ときには暴発さえしたこの時代。
現代社会に欠けている《反逆の思想》、
あるいは、もっともリアルな《生の拡充》の表現をめぐって、
ぞんぶんに語り尽くします。

概要は以下の通りです。白熱した展開が期待されますので、
ふるって足をお運びください。(編集部 Naovalis)

◎講 師:栗原幸夫さん(批評家/編集者)× 野崎六助さん(作家/評論家)
◎日 時
:2010年11月12日(金) 18時30分開演(18時開場)
◎場 所:ジュンク堂書店新宿店(三越新宿店内)8Fカフェ(定員50名)
◎入場料:1,000円(ドリンク付)
◎ご予約・お問い合わせ:ジュンク堂書店新宿店 tel. 03–5363-1300
◎ジュンク堂書店HPの詳細はこちら→(

——

senkosha001栗原幸夫

わが先行者たち——文学的肖像

四六判上製/466頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-803-4 C0095  好評発売中!


危機の瞬間にひらめく回想——。
自在な《精神の運動》による戦後文学/思想史の軌跡。



編集者として、批評家として、あるいは
べ平連やAA作家会議のアクティヴィストとして。
埴谷雄高、中野重治、堀田善衞ら《戦後》という時代を協働した、
こよなき《先行者たち》への批評/オマージュを集成する。
【附・著者による自筆略年譜】


——

nihontantei_cover野崎六助

日本探偵小説論

四六判上製/444頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-801-0 C0095  好評発売中!


真犯人、それは《近代日本》なのか !?




関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。

 

今月のサンヤツ

2010年 11月 2日

e8aaade5a3b2e382b5e383b3e383a4e38384001去る 10月30日付(土)の毎日新聞朝刊第1面、
および 10月31日(日)の読売新聞朝刊第1面に、
3段8分の1広告、いわゆるサンヤツを出稿しました。

今回は、先月末から刊行を開始した『小島信夫批評集成』と、
最新刊の『また君に恋をした』の2点です。
(左の画像は読売掲載分。クリックで拡大します)

いずれも水声社の自信作。ぜひ書店/ネット書店で、
実物をご覧のうえ、お求めください!

e8aaade5a3b2efbc8fe8aaade69bb8e381a8e587bae78988001さらにさらに、
読売新聞には、10月30日(土)付夕刊、
そして本日 11月2日(火)付夕刊 と、
このかん2回つづけて
『また君に恋をした』が紹介されました。
こちらもあわせてごらんください。
左の画像は30日付の「読書と出版」欄より。

 

11月の新刊/グラン=ギニョル傑作選

2010年 11月 1日

grandguignol_cover-2真野倫平編・訳

グラン=ギニョル傑作選——ベル・エポックの恐怖演劇

A5判上製/272頁+カラー口絵8頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176-808-9  C0074  11月5日頃発

硫酸をかけられ、
脳髄を切り刻まれ、
生皮をはがれる人間たち!



ベル・エポックのパリで生まれた恐怖演劇、グラン=ギニョル。
マッド・サイエンティスト、ギロチン、人体改造、拷問などの
猟奇的なモチーフで人々を恐怖の渦に陥れた、代表作七篇を収録!
◎ 充実したグラン=ギニョル主要作品紹介つき。


——
目次
——
序文(アニェス・ピエロン)
『闇の中の接吻』(モーリス・ルヴェル)
『幻覚の実験室』(アンドレ・ド・ロルド/アンリ・ボーシェ)
『悪魔に会った男』(ガストン・ルルー)
『未亡人』(ウジェーヌ・エロ/レオン・アブリク)
『安宿の一夜』(シャルル・メレ)
『責苦の園』(ピエール・シェーヌ)
『怪物を作る男』(マクス・モレー/シャルル・エラン/ポル・デストク)

グラン=ギニョル主要作品紹介
解説
書誌

 

10月の新刊/『また君に恋をした』

2010年 10月 22日

matakimi_cover9アンドレ・ゴルツ/杉村裕史 訳

また君に恋をした

Lettre à D.  Histoire d’un amour
四六判変形上製144頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-805-8 C0097 10月28日頃発売!

「君はもうすぐ82歳になる……それでも
変わらず美しく, 優雅で, いとおしい」




83歳の哲学者は, 長年連れ添った不治の病の
妻に宛てて, 最後のラブレターを書き上げた。ふたりは
互いを補い合いながら人生を歩み, 共に幕を閉じた……。

◎ サルトルが「ヨーロッパで最も鋭い知性」と評した
哲学者アンドレ・ゴルツが, 2007年9月22日,
58年間一緒に暮らした妻と手を取り合ってこの世を去った。
本書はその一年前, パリで出版されて話題をよび,
ベストセラーとなった「愛の物語」で, 妻へのオマージュ,
感謝の気持ちをこめて書かれた最後の手紙である。

ンドレ・ゴルツ(André Gorz)
1923年, ウィーン生まれのオーストラリア人。スイスに亡命したあと,
1954年にフランスに帰化。哲学者, 経済ジャーナリスト,
政治的エコロジーの先駆者として世界的に名を知られ,
ヨーロッパ左翼の良心と呼ばれた。主な著書に,
『裏切者』(1958), 『エコロジスト宣言』(1975),
『資本主義・社会主義・エコロジー』(1991)などがある。

 

小島信夫批評集成、まもなく配本開始!

2010年 10月 19日

『漱石を読む』に攫われて、私はなんだかいい気分です。
なんなら元気になったと言ってもいいくらい。ほんとうに楽しかった。
——千野帽子




kojimanobuo_8_cover30年におよぶ小島信夫の
文学/芸術評論を全8巻に集成する、
水声社ならではの画期的な試み、
『小島信夫批評集成』が、
ついに今月末から刊行開始です。
記念すべき第1回配本は、
長らく復刊が待望されてきた
『漱石を読む』(1993年)です。

『明暗』のいいしれぬエロスとは?
漱石作品が先取りしている日本文学の未来を予見し、
さまざまな先行研究や同時代批評を吸収しながら、
ついには徳田秋声と一体化する(!)、晩年の代表作。
2,000枚近くに及ぶ長篇のため、第1回配本ながら
かなり重厚な1冊となってしまいましたが、
少部数の製作となっておりますので、
ぜひこの機会にお求めください。(編集部 Na)

小島信夫さんのご命日10月26日に書店搬入、
以降、全国の書店で発売予定です。


『漱石を読む  小島信夫批評集成  第8巻』
A5判上製688頁/定価8000円+税
ISBN978-4-89176-818-8 C0395

*全巻ご購読者特典として、
もれなく非売品の『小島信夫読本』をプレゼント。
くわしくは内容見本をご覧ください。


*内容見本は全国の書店で配布中です。
直接お申し込みいただくには、小社営業部へお願いいたします。
郵便切手80円分を同封のうえ、
〒112-0002 文京区小石川2-10-1-202
水声社営業部・内容見本係 まで。