6月の新刊:『アナーキストの大泥棒』
2014年 7月 30日
アナーキストの大泥棒――アレクサンドル・ジャコブの生涯
アラン・セルジャン
髙橋治男訳
四六判上製/392頁/定価=3200円+税
978-4-8010-0045-2 C0023 好評発売中!
装幀=宗利淳一
すべてを生産している人々には何もなく、何も生産しない奴らがすべてを所有している!
稀代の大泥棒にしてフランス最後のアナーキストの初のモノグラフ
見習い水夫として遠洋航路の舟に乗り込んだ少年時代……アナーキストとして私有財産と闘う非合法主義運動に参加した16歳……警官殺害の裁判で才気煥発の答弁を警官殺害の裁判で行い新聞を賑わせた一味の首領時代……南米ギアナの流刑地で過ごした23年間と何度となく試みる脱走劇……
波瀾万丈の冒険と流刑地での地獄を潜り抜けた稀代のアナーキスト、アレクサンドル・ジャコブの唯一の評伝。
【目次】
第1章 人物紹介/第2章 海からの呼び声/第3章 黒旗/第4章 非合法主義の見習い期間/第5章 夜の仕事師たち/第6章 逮捕/第7章 驚天動地の被告/第8章 流刑地/第9章 サリュー諸島/第10章 墓場での四年間/第11章 最も危険な男/第12章 ある友情/第13章 デーモン最後のいたずら/訳者あとがき
【著者】
アラン・セルジャン(Alain Sergent) 本名はアンドレ・マエ。1908年、パリに生まれ、1982年にパリの精神病院で没する。小学校卒業後すぐに働き始め、人民戦線期に共産党に入党したが、やがてガストン・ベルジュリの《社会戦線》に参加。ドイツの占領開始とともにドリオのPPFに入党。さらにジョルジュ・スーレスの片腕となって極右の《社会革命行動党》の活動を支えた。解放後に投獄されたが、占領下でレジスタンス派を助けたこともあってか、半年で釈放され、セルジャンのペンネームで作家活動を開始し、自伝的小説二点、『パンと遊び』、『私はその不良青年のあとを追った』の他、『アナーキーの歴史』や『アナーキストたち』を書き、アナーキズム運動の歴史家として優れた業績を残している。
【訳者】
髙橋治男(たかはしはるお) 1936年、千葉県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。中央大学法学部教授を経て、現在は同名誉教授。専攻、フランス文学、思想。共著に『希望と幻滅の軌跡』(中央大学人文科学研究所、1987年)、主な訳書にT・B・ジェルーン『歓迎されない人々――フランスのアラブ人』(晶文社、1994年)、ミシェル・ラゴン『フランス・プロレタリア文学史――民衆表現の文学』(水声社、2011年)などがある。