4月の新刊:暗殺の森――キアロスクーロⅡ

2019年 3月 29日

暗殺の森暗殺の森
キアロスクーロⅡ
織江耕太郎(著)

判型:四六判上製
頁数:257頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0421-4 C0093
装幀:齋藤久美子
4月中旬発売!

ターゲットは、原発。
総理官邸に大型トレーラーが突入、爆発した。残骸のコンテナから発見された男女12人の死体はすべて被曝していた――
永田町・霞ヶ関を揺るがす爆破予告、反原発デモの過激化、知られざる放射線被害の露見、そして国債の暴落……原発という〈悪のお荷物〉を抱えた日本を次々に襲う未曾有の事態、その仕掛け人は何者なのか?
福島原発事故や特定秘密保護法の施行を背景に、巨大利権に戦いを挑む男たちの運命を描く〈原発サスペンス〉!
Read the rest of this entry »

 

柳沢史明『〈ニグロ芸術〉の思想文化史』が第16回木村重信民族藝術学会賞を受賞

2019年 3月 29日

ニグロ芸術 書影小社より2018年3月に刊行された、柳沢史明『〈ニグロ芸術〉の思想文化史――フランス美術界からネグリチュードへ』が、第16回木村重信民族藝術学会賞(http://ethno-arts.sakura.ne.jp/about/prize.html)を受賞いたしました。著者の柳沢史明さん、おめでとうございます!
また、選考委員の皆様をはじめ、このたびの選考に関わられた皆様に感謝申し上げます。

 

アラン・ロブ=グリエ『もどってきた鏡』、朝日新聞に書評掲載

2018年 12月 18日

朝日新聞12/15(土)朝刊に、サンキュータツオさんによるアラン・ロブ=グリエ『もどってきた鏡』(芳川泰久訳)の書評が掲載されました。

 

【書評】岡村民夫『立原道造――故郷を建てる詩人』、東京・中日新聞、日本経済新聞に書評掲載

2018年 9月 20日

2018年9月8日(土)の日本経済新聞に、管啓次郎氏による、岡村民夫『立原道造――故郷を建てる詩人』の書評が掲載されました。また、2018年9月16日(日)の東京・中日新聞朝刊にも、篠原資明氏による同書の書評が掲載されました。

東京・中日新聞の書評は以下で読むことができます。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2018091602000198.html

 

【書評】『メイン・ストリートのならず者』《ロックの名盤!》、毎日新聞に書評掲載

2017年 4月 4日

2017年4月2日(日)の毎日新聞朝刊にビル・ヤノヴィッツ『メイン・ストリートのならず者』《ロックの名盤!》の書評が掲載されました。

評:井波律子「今週の本棚」(毎日新聞社のサイトです)

 

【書評】ムルド・フェラウン『貧者の息子』、読売新聞に書評掲載

2017年 3月 7日

2017年3月5日(日)の読売新聞朝刊にムルド・フェラウン『貧者の息子』の書評が掲載されました。

評:長島有里枝(写真家)

 

【書評】レイナルド・アレナス『襲撃』、朝日新聞に書評掲載

2017年 3月 7日

2017年2月26日の朝日新聞朝刊にレイナルド・アレナス『襲撃』の書評が掲載されました。

評:星野智幸「野生の詩人が現実を爆破する」(ブック・アサヒ・コムのサイトです)

 

【書評】パトリック・モディノ『地平線』

2015年 5月 11日

朝日新聞朝刊で『地平線』の書評が掲載されました。

「何者でもなかった頃の懐かしさ」(評・大竹昭子 朝日新聞2015年5月3日付)

 

受賞情報

2013年 5月 21日

小社より昨年6月に刊行された、藤原辰史さんの『ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』が、記念すべき第1回の河合隼雄学芸賞を受賞いたしました。藤原さん、おめでとうございます!

「優れた学術的成果と独創をもとに、様々な世界の深層を物語性豊かに明らかにした著作に与えられる」という同賞の選考委員は、岩宮恵子、中沢新一、山極寿一、鷲田清一(五十音順)の各氏です。選考委員の諸先生および本書にご声援をいただいたみなさま、誠にありがとうございました!

詳細は河合隼雄財団のホームページをご覧ください()。

nazi_kitchenナチスのキッチン 「食べること」の環境史

藤原辰史
四六判上製456頁/定価 4000円+税
ISBN 978-4-89176-900-0 C0022 好評発売中!

 

ヒトラーから《食》を奪還せよ!

いま、もっとも重要な《食》と《エネルギー》の問題を
ファシズムの視座から考える出色の1冊!

ナチスによる空前の支配体制下で、
人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?
システムキッチン、家事労働から、食材、
そしてエネルギーにいたるまで、
台所という《戦場》の超克を試みた、
来るべき時代への《希望の原理》。
新発見の事実や貴重なレシピをはじめ、
未刊行資料・図版などを多数収録。

《どうして、「食べること」はここまで衰微して
しまったのだろうか。どうして、強制収容所という
私たちの生活世界からもっとも遠いところの現象が、
こんなにもリアルに感じられるのだろうか?
——これは、端的に言ってしまえば、
この世界が、ナチズムと陸続きだからである》


 

目次—————

序章 台所の環境思想史
歴史の基層としての台所/テイラー・システムとナチズム/台所の変革者たち
台所をどうとらえるか――定義とアングル

第1章 台所空間の「工場」化  建築課題としての台所
ドイツ台所小史/ドイツ台所外史/第一次世界大戦の衝撃/
フランクフルト・キッチン/考えるキッチン/ナチス・キッチン?/
労働者約一名の「工場」

第2章 調理道具のテクノロジー化  市場としての台所

電化される家族愛/台所道具の進歩の背景/マニュアル化する台所仕事
市場化する家事/報酬なきテイラー主義の果てに

第3章 家政学の挑戦
家政学とは何か/家政学の根本問題/家政学の可能性と限界
家政学のナチ化/家政学の戦時体制化/家政学が台所に与えた影響

第4章 レシピの思想史
ドイツ・レシピ少史/読み継がれる料理本/企業のレシピ/
栄養素に還元される料理

第5章 台所のナチ化  テイラー主義の果てに
台所からみたナチズム/「第二の性」の戦場/「主婦のヒエラルキー」の形成/
無駄なくせ闘争/残飯で豚を育てる/食の公共化の帰結

終章 来たるべき台所のために
労働空間、生態空間、信仰の場/台所の改革者たちとナチズム/
ナチスのキッチンを超えて

「食べること」の救出に向けて  あとがきにかえて

付録1 ベストセラーの料理本
付録2 ダヴィディス著『実用的料理本』の版別レシピ構成
付録3 ハーン著『実用的料理本』の版別レシピ構成

註/参考文献/人名索引

 

3月の新刊:『一八世紀印刷職人物語』

2013年 3月 23日

18e4b896e7b480e58db0e588b7e881b7e4babae789a9e8aa9e_cover2一八世紀印刷職人物語

ニコラ・コンタ/宮下志朗訳

四六版上製/205ページ/2500円+税
ISBN978-4-89176-948-2  C0098  3月20日頃発売!




産業革命前夜、ある一人の若者が見習い印刷工として、
ヴァンサン親方の工房の門をくぐった……。

徒弟ジェロームの厳しい修業時代を描きながら、工房への入会儀礼、印刷工の組合やその規定、地下印刷の裏側など、ニコラ・コンタ自身の体験をもとに、当時の印刷工房の様子をいきいきと詳細につたえる、貴重なドキュメント。

本邦初訳のレチフ・ド・ラ・ブルトンヌ「レチフ、職工長となる」も収録。

目次

第一部 徒弟制度
第一章「試用期間」
第二章 雇用証書
第三章 エプロン授与式
第四章 徒弟修業の最初の二年間における、さまざまな仕事
第五章 印刷仕事の労働力
第六章 徒弟修業の二年目
第七章 親方の一家団欒の夕食
第八章 田舎の別荘での娯楽
第九章 年期を終えずに出ていった徒弟を戻すにあたって起こったこと

第二部 職人組合
第一章 「四時」と呼ばれる入会儀礼
第二章 物まねと、彼らの隠語
第三章 親方が一葉ごとに植字工に支払う賃金
第四章 印刷作業、一〇〇〇枚あたりの賃金
第五章 印刷に使う活字の価格表
第六章 職人たちへの慈善
第七章 「礼拝堂」の特別収入
第八章 聖マルティヌスの祝日に支払われる罰金などについて
第九章 サン=ジャン=ポルト=ラティーヌの祝日
第一〇章 職工長の役割
第一一章 「もぐり」と呼ばれる御法度仕事

付録 レチフ、職工長となる

 

書評情報

2012年 11月 12日

中川素子著 『スクール・アート』
2012年9月14日「週刊読書人」に書評がでました。
その他朝日新聞、日本経済新聞などにも紹介されています。
—–

schoolart_coverスクール・アート——現代美術が開示する学校・教育・社会

中川素子 著
A5判上製/232ページ+別丁カラー図版16ページ/定価=2800円+税
ISBN 978-4-89176-909-3 C0070 7月10日頃発売予定




現代美術は「学校」と「教育」をどのように表現してきたのか?

〈こどもたち〉と〈教育〉の現状を鋭く、ときにユーモラスに表現した
美術作品をよみとき、学校・教育・社会のあるべき姿を「美術」と「教育」の
接点からさぐる画期的な書き下ろし評論。[図版多数収録]

【本書に登場する美術家たち】
浅田政志、倉重迅、澤田知子、鉢&田島征三、石田徹也、藤阪新吾、
ジェームズ・ローゼンクイスト、タデウシュ・カントル、土門拳、
ピーター・ベラーズ、豊嶋康子、島田寛昭、河口龍夫、みかんぐみ、山本高之

【目次

まえがき

第1章 思い出やつながりとしての教育空間
第2章 教室の中の無気力な子どもたち
第3章 子どもたちに落ちる世界の影
第4章 システムとしての教育, そのずらしと崩し
第5章 教育とは「引き出すこと」

あとがき



中川敦著 『ドングリトプスとマックロサウルス』
2012年6月17日朝日新聞朝刊「視線」に森村泰昌氏の書評が掲載されました。
—–

e38389e383b3e382b0e383aae38388e38397e382b9ドングリトプスとマックロサウルス

中川淳
A4判上製32頁/定価=1500円+税
ISBN 978-4-89176-911-6 C8795 6月5日発売




小社から新たな絵本が刊行されます!

えんぴつでこすりだした まっくらなほらあな。
そこにすんでいたのは……?
ぼくといぬのブッチ そして
コラージュのきょうりゅう ドングリトプスと
フロッタージュのきょうりゅう マックロサウルスの
たのしい いちにち。


コラージュやフロッタージュといった
かんたんな絵画の技法を使って生まれる、
ファンタジーと冒険心あふれるものがたり。

絵を描く楽しみを知り、空想力を育みます。
幼児〜小学校低学年向き
(もちろん大人が読んでも楽しめます)

 

『ナチスのキッチン』重版決定!

2012年 7月 11日

ナチス時代の台所、家事労働、レシピ、エネルギーを通して
現代社会を問い直す、貴重な成果。重版決定!

とうとう小社からも1冊もなくなり、
在庫確認のお問い合わせにもお応えできなかった
藤原辰史さんの労作、『ナチスのキッチン——「食べること」の環境史』は、
みなさまのご声援のおかげで重版が決定しました。

7月19日(木)出来予定となっております。
ご注文いただいている分から、順次出荷いたします!


amazon.co.jp ではひさしく品切れ状態が続いておりますが、
全国の大型書店店頭、もしくは他のネット書店にはまだ在庫がございます。
初版をお求めの方は、いまのうちにそちらへお急ぎください!




“今日われわれの食卓は、ナチスの呪縛からどれだけ離脱できているだろうか”
——原克さん(ドイツ文学)、日本経済新聞 7/8付

“人間らしさを失うことの落とし穴について考えさせる”
——「記者が選ぶ」欄、読売新聞 7/8付

“〔著者の試みは〕大きな武器と勇気を与えてくれる”
——三浦丈典さん(建築家)、産經新聞 7/1付


Web上では、このブログでとりあげられると
人文書の売上げが1ケタ(以上?)変わるという月曜社・小林さんの
「ウラゲツ☆ブログ」が紹介してくださったのを皮切りに
(こちらをクリック→)、その後も続々と紹介されました。

レヴュウサイト「HONZ」の土屋敦さんの書評がTwitter などで話題騒然!
本書掲載のレシピを用いて実際に料理してしまったという衝撃のレヴュウが、
ネット住民の度肝を抜きました。(

また、本書で論じられている「公共キッチン」に着目して、
実際に著者の藤原さんを渋谷のシェアハウスにまで連れて行った、
という本が好き! Bookニュース」ナガタさんのレヴュウ。(

さらに、紀伊國屋書店の「KINOKUNIYA 書評空間」では、
早瀬晋三さん(歴史学)が、400字詰め原稿用紙1,000枚近くになる
本書の魅力を、手際良くまとめてくださいました。(

そのうえ、7月28日発売予定の 図書新聞 では著者インタビューを掲載予定!
本書をめぐって著者の肉声が語られるインタヴュウになっています。乞うご期待!

そして、まさに書店配本日の5月31日、ジュンク堂書店池袋本店で
おこなわれ、大盛会の裡におわった刊行記念トークセッションの模様も、
Youtube 等で全編が視聴可能です()。藤原さんとの対話のために
京都からお越しくださったのは、山室信一さん(政治史)。
本書の裏話などが話題満載の90分、ぜひご覧になってみてください。

この本は、ナチス時代の「台所」を歴史的・空間的に読み解きながら、
日本の「現在」が浮かびあがってくる、文字通りの必読書です。
3/11 以降のわたしたちの生活・文化・社会を考えるうえでも示唆的なので、
ぜひ、ひとりでも多くのかたに手にとってもらいたい、と切望しています。


nazi_kitchenナチスのキッチン 「食べること」の環境史

藤原辰史
四六判上製456頁/定価 4000円+税
ISBN 978-4-89176-900-0 C0022 5月31日発売


ヒトラーから《食》を奪還せよ!

いま、もっとも重要な《食》と《エネルギー》の問題を
ファシズムの視座から考える出色の1冊!


ナチスによる空前の支配体制下で、
人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?
システムキッチン、家事労働から、食材、
そしてエネルギーにいたるまで、
台所という《戦場》の超克を試みた、
来るべき時代への《希望の原理》。
新発見の事実や貴重なレシピをはじめ、
未刊行資料・図版などを多数収録。

《どうして、「食べること」はここまで衰微して
しまったのだろうか。どうして、強制収容所という
私たちの生活世界からもっとも遠いところの現象が、
こんなにもリアルに感じられるのだろうか?
——これは、端的に言ってしまえば、
この世界が、ナチズムと陸続きだからである》



目次—————

序章 台所の環境思想史
歴史の基層としての台所/テイラー・システムとナチズム/
台所の変革者たち/台所をどうとらえるか

第1章 台所空間の「工場」化  建築課題としての台所
ドイツ台所小史/ドイツ台所外史/第一次世界大戦の衝撃/
フランクフルト・キッチン/考えるキッチン/ナチス・キッチン?/
労働者約一名の「工場」

第2章 調理道具のテクノロジー化  市場としての台所

電化される家族愛/台所道具の進歩の背景/マニュアル化する台所仕事
市場化する家事/報酬なきテイラー主義の果てに

第3章 家政学の挑戦
家政学とは何か/家政学の根本問題/家政学の可能性と限界
家政学のナチ化/家政学の戦時体制化/家政学が台所に与えた影響

第4章 レシピの思想史
ドイツ・レシピ少史/読み継がれる料理本/企業のレシピ/
栄養素に還元される料理

第5章 台所のナチ化  テイラー主義の果てに
台所からみたナチズム/「第二の性」の戦場/「主婦のヒエラルキー」の形成/
無駄なくせ闘争/残飯で豚を育てる/食の公共化の帰結

終章 来たるべき台所のために
労働空間、生態空間、信仰の場/台所の改革者たちとナチズム/
ナチスのキッチンを超えて

「食べること」の救出に向けて  あとがきにかえて

付録1 ベストセラーの料理本
付録2 ダヴィディス著『実用的料理本』の版別レシピ構成
付録3 ハーン著『実用的料理本』の版別レシピ構成

註/参考文献/人名索引

 

書評:ネグリ思想の精髄

2012年 2月 3日

spinoza_cover昨年11月に刊行されて以来、根強く読者を獲得しているのが、
イタリアの思想家、アントニオ・ネグリの
「スピノザとわたしたち』(信友建志訳)。
1月29日付の朝日新聞読書面(ニュースの本棚)では
「スピノザが来た」と題されたコラムで
紹介されたこともあって()、
お問い合わせの電話を多数いただいております。

本書はいっけん難解なスピノザ×ネグリの対決でありながら、
「ネグリによる現代スピノザ入門」として読むことも可能なのですが、
年末の『 図書新聞』紙に掲載された杉村昌昭さん(龍谷大学名誉教授)の
書評が、本書のきわめて明晰な解説にもなっているので、
杉村さん、および図書新聞さんの許可をいただいたうえで、
ここに再掲させていただきます。
ぜひ、本書をひもとくさいの参考にしてください!

—–

ネグリ思想の精髄——スピノザをポスト近代の思想家として定位する

杉村昌昭



チュニジアに始まったアラブ革命はまたたくまにアラブ世界全域に広がり、少し遅れてギリシャの債務危機をきっかけにスペインから始まった “怒れる者たち” の反世界金融権力の運動は大西洋をわたってウォール・ストリートの占拠活動にまでいたった。しかし、十年以上前に『帝国』で世界デビューしたアントニオ・ネグリの思想は、こうした現状を一種予言的に示唆したものであるにもかかわらず、このかん衰退して久しい感がある。奇妙なもので、歴史に先がけて提示した世界の見取り図が現実にその軌跡を描き始めると忘れられていくのである。

そのネグリは3年前(2008年)にG8サミットが北海道で開催された年、当時企画されていた日本における反サミットの運動とは無関係であったにもかかわらず日本入国を拒否された。しかしネグリを改めて招請する企画が昨年(2010年)から始まっていて、シンポジウムの日程などもほぼ本決まりになった時点で、3月11日の東日本大震災が起きてオジャンになったという(これはもともと東京アカデミズムの動向に疎遠な私が人伝に聞いた話で、どこのどなたがこれを企画したのか、詳しいことは寡聞にして知らない)。ネグリはよほど日本と縁のない人物なのかもしれない。

それに反してスピノザはいまも『エチカ』がよく読まれ、専門的な研究雑誌が刊行され続けてもいるのだから、マルクスとまではいかなくても、もっと日本と親和性があるのかもしれない。その日本に縁のないネグリが縁のあるスピノザについて著したのが本書である。

ともあれ、ネグリが本書で試みているのはスピノザをポスト近代の思想家として定位することである。もともとネグリは獄中で書いた『野生のアノマリー——スピノザにおける力能と権力』以来、ことあるごとにスピノザを “今日化” し “現働化” することに意を注いできた。そのエッセンスが本書『スピノザとわたしたち』であると言っていいだろう。

では、スピノザはなにゆえポスト近代の思想家であるとネグリは言うのだろう。それは主にスピノザのコナトゥス(自存力)という概念の解釈にかかわる。コナトゥスとは、スピノザによると「あらゆるものはその存在のなかに居続けようと努力する」という「もの」の傾向性の謂だが、この「もの」とは、宇宙の万物であり、拡大解釈すれば、自然界という存在から人間がつくりだしたすべてのもの、集団、企業、国家などあらゆる社会的制度や組織、あるいは思想的産物や芸術作品など抽象的なものまでも含む広大な射程を持ったものとして理解することができる。

しかし、こうした「もの」を人間の社会的創造物に限定して政治思想的観点からその生成変化の相でとらえると、それは保守的にも革新的にも解釈可能である。たとえば3月11日の大震災と原発事故以降、日本政府、経済産業省、東京電力といった組織体はこれまでどおりの「存在のなかに居続けようと」必死になって努力している。これもコナトゥスのなせるわざであろう。一方、日本国民はこうした行政権力や経済権力の動きに異を唱えながらも、どうしようもなく「自らの存在のなかに居続ける」道を選んでいるように見える。いつになったら、「自らの存在」を内側から壊して変身することになるのか、予測がむつかしい。しかし他方で、少なくとも「自らの存在のなかに居続ける」ためにも、自らが変化するしかないという刷新の気分も醸成されてきている。そのような情動が大きなうねりとなったとき初めて、コナトゥスがその革新的力を発揮することになるのかもしれない。

とはいえ、現状は “あれかこれか”(たとえば原発維持か原発廃絶か)という二項対立的な選択を迫られているように見えながら、実は “あれもよしこれもよし”( “脱原発” という表現にしても、原発をやめようと言いながら続けていくという一種自己矛盾的な二重肯定の吐露ではないか)が社会空間に瀰漫している。これはコナトゥスが日本的に機能している状態と言わねばなるまい。言い換えるなら保守的コナトゥスの支配する日本的なポスト近代の断面であり、こういう回路で日本社会はスピノザ哲学と親和性があるのだ。しかしネグリがスピノザのコナトゥスを援用しながら切り開こうとするポスト近代の風景は当然のごとくこれとは異なる。そこに底流するのはコナトゥスの革新的解釈である(これについてはあとで述べよう)。

いずれにしろ、コナトゥスとは状況によって保守的にも革新的にも作動する両義性を持った力であると考えることができるだろう。こうした一種特異な普遍性を帯びるべく錬成された概念は、必然的に相対立することもある複数的解釈が可能な領域を切り開く。たとえばドゥルーズ/ガタリの “リゾーム” という概念がそうだ。フロイトの無意識をポジティブに言い換えたこの概念は、社会変動あるいは組織編成の場面に適用すると、深い変革をもたらす革命的概念にもなりうる一方、軍隊や企業が旧来のピラミッド型の組織構造からより効果的な横断的編成構造(軍事で言うなら“ゲリラ戦術”)に転換するときの功利的なキー概念にもなりうる(実際 “リゾーム” をビジネス活動の組織編成に応用した論文もある)。

ネグリはコナトゥスを革命的進路の模索に適用し、すみずみまで内部化された世界(諸個人に内在する多様な分子的要素は社会、国家を超えて、世界全体にまで連鎖している)における革命主体としてマルチチュードという概念をひねりだす。世界を内側から破壊して革命的再創造を可能にするのは、この内部世界における多数者としてのマルチチュードの情動に依拠した力能しかないというわけだ。これは代表制民主主義を底支えする近代の二項対立図式(たとえばブルジョア資本権力対プロレタリ革命勢力といった)からの脱却であり、したがって賞味期限のきれた代表制民主主義を乗り越えるポスト近代民主主義の素描にほかならない。

本書は、内在性、民主制、力能、情動というスピノザから抽出した四つのキー概念を駆使して近代の政治思想に対する先進的な批判を展開しながら、《共同性》という古くて新しい概念を独自に刷新して《共》(コモン)という概念を創出し、ポスト近代の政治的地平を展望しようとするネグリ思想の精髄と言えるだろう。このネグリの思想的展望をどう解釈するかはわれわれに課された課題だが、訳者の信友建志が力のこもった「解説」のなかで、そのすぐれた実践例を提示している。(龍谷大学名誉教授・現代思想)

*『図書新聞』2011年12月24日号
*なお、杉村さんによる最新の翻訳でジャン=クレ・マルタンによる
『フェルメールとスピノザ——〈永遠〉の公式』も、
以文社さんから好評発売中です。あわせてご覧ください!

Courtesy of Mr. Masaaki Sugimura and Toshoshimbun.

 

書評:『プルースト的絵画空間――ラスキンの美学の向こうに』

2011年 10月 19日

今年の2月に刊行されました『プルースト的絵画空間』が書評で取り上げられました!
各媒体の皆様、どうもありがとうございます。

proust_cover真屋和子

プルースト的絵画空間 ラスキンの美学の向こうに

A5判上製/440頁/定価6500円+税
ISBN978-4-89176-822-5 C0098 好評発売中!


エルスチールのモデルは、ターナーだった。

これまで、モネなど印象派の画家をモデルとしている、
と考えられてきた『失われた時を求めて』の登場人物エルスチール。
プルーストに多大な影響を与えたイギリスの批評家ジョン・ラスキンの思想や、
同時代のさまざまな画家たちの作品とも比較しながら、
エルスチール=ターナーという新たな説を呈示し、
プルーストの芸術観・文学観を浮き彫りにする。

ターナーから
ホイッスラー
バーン=ジョーンズ
アングル
モロー
マネまで


図版多数収録!



2011年7月号『ふらんす』
小黒昌文氏

本書は、〔プルーストの小説美学の本質の〕核心へと通じる道筋を彩り豊かに照らし出してくれる。〔……〕専門家のみならず、ひろく一般の読者にとってに刺激的であるに違いない。

2011年7月30日付『図書新聞』
中野知律氏

プルーストのヴィジョンと同質の、真に感応しうる精神にのみ許された接近と深い理解を感じさせる、実証的プルースト論の最良の範。〔……〕こんなに美しい学術書に出会えた悦びを伝えずにはいられない。

2011年9月号『cahier 8』(日本フランス語フランス文学会)
湯沢英彦氏

〔本書は〕プルーストの文章の細部に織り込まれたラスキンの声を聞き分けることに向けられている。そこから立ち上がるのは、これまでになく深く豊かに響くプルーストとラスキンの二重奏である。

2011年10月1日発行『ラスキン文庫たより 第62号』
野崎歓氏

学問的な厳密さが、文学の喜びをいささかも傷つけず、論述の端々にまで、感覚の愉悦がみなぎっているところに、本書の最大の魅力がある。〔……〕本書は文学の神秘がいかに豊穣なものかを体験させてくれる。

◎ラスキン文庫たよりさんと野崎歓氏のご好意で、全文掲載させていただきました。ご協力、どうもありがとうございます。

*クリックで拡大します


 

書評『グラン=ギニョル傑作選』

2010年 12月 10日

先月刊行された『グラン=ギニョル傑作選——ベル・エポックの恐怖演劇』が、
『週刊文春』12月16日号の鹿島茂さんの「私の読書日記」で紹介されました。
どうもありがとうございます!

「ハマー・プロのドラキュラ映画、AIPの恐怖映画に始まる
スプラッター・ムービーの源流はここにあったのかと納得させられる1冊である」



grandguignol_cover-2真野倫平編・訳

グラン=ギニョル傑作選——ベル・エポックの恐怖演劇

A5判上製/272頁+カラー口絵8頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176-808-9  C0074  11月5日頃発売!

硫酸をかけられ、
脳髄を切り刻まれ、
生皮をはがれる人間たち!



ベル・エポックのパリで生まれた恐怖演劇、グラン=ギニョル。
マッド・サイエンティスト、ギロチン、人体改造、拷問などの
猟奇的なモチーフで人々を恐怖の渦に陥れた、代表作七篇を収録!
◎ 充実したグラン=ギニョル主要作品紹介つき。

——
阿鼻叫喚の目次
——
序文(アニェス・ピエロン)
『闇の中の接吻』(モーリス・ルヴェル)
『幻覚の実験室』(アンドレ・ド・ロルド/アンリ・ボーシェ)
『悪魔に会った男』(ガストン・ルルー)
『未亡人』(ウジェーヌ・エロ/レオン・アブリク)
『安宿の一夜』(シャルル・メレ)
『責苦の園』(ピエール・シェーヌ)
『怪物を作る男』(マクス・モレー/シャルル・エラン/ポル・デストク)

グラン=ギニョル主要作品紹介
解説
書誌

 

編集部通信/書評『ミノタウロスの誘惑』

2010年 12月 3日

8月下旬に刊行した『ミノタウロスの誘惑』は好評で、
実際に読んだ人からの反応も、「訳文がよく工夫されていて読みやすく、
イメージがふくらむ」といった声が多く寄せられています。

そして、少し報告が遅くなりましたが、二つの女性誌に好意的な書評が
本の写真つきで掲載されました。
『フィガロ・ジャポン』12月号では、

「自由を求め続けて生涯を過ごしたアナイス・ニンが、
旅と音楽と人生を重ね、半世紀前に著した情熱の書」


と取り上げられ、『Spur』12月号では、

「いち早く女性の性をテーマにした小説を書き、
多くの文学者とも浮名を流した著者の、1961年の作品が邦訳。
メキシコのリゾート地を訪れたジャズ・ピアニストのリリアンが、
南国の風に吹かれ、現地の人々と交流するうち、
他者とも自己ともより深く対話してゆく。決して古びていない、
言葉のきらめきが味わえる」


と紹介されました。また、『本の雑誌』12月号で、山崎まどかさんが、

「リリアンが音楽を奏でるシーンはほとんどないが、
その描写の全てが音楽的であり、その旋律に酔う」


と評しています。さらには、「日本ヘンリー・ミラー協会」の
ニューズレターにも佐竹由帆さんによる書評が掲載されていますので、
ここに一部紹介しておきます。

「……ニンの小説は読みやすいものではないと言われることが多いようだが、
本作の大野氏の訳はとても読みやすかった。比喩の多い
詩的な美しさを湛えたニンの文章を美しくかつ読みやすく訳すのは
労力のいる仕事だっただろうと推察するが、
訳文は苦労を感じさせない見事な仕上がりである。……」



minotauros_cover-e381aee382b3e38394e383bc●円熟味を増したニンの名篇——本邦初訳。

ミノタウロスの誘惑

アナイス・ニン/大野朝子訳
四六判上製240頁/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-800-3 C0097


南国のゆるやかな空気のなかで


太陽がまぶしいメキシコの華やかなリゾート地。
米国人ジャズ・ピアニストのリリアンは
現地のさまざまな人物たちとの出会いを通して
自分の本当の姿と向き合うようになる……
旅と音楽をモチーフに色鮮やかに描く珠玉の小説。


e4babae5b7a5e381aee586ac-e381aee382b3e38394e383bc●好評発売中!

人工の冬

アナイス・ニン/矢口裕子訳
四六判上製328頁 定価2800円+税


異端の愛こそ美しい——

アメリカで発禁となっていた先駆的な性愛小説三篇が
原形のまま70年ぶりに復活。

 

今月の書評『クリスチャン・ボルタンスキ—の可能な人生』

2010年 11月 11日

このまえの日曜日(11月7日)付の読売新聞に、
『クリスチャン・ボルタンスキ—の可能な人生』の
書評が掲載されました。評者はアメリカ文学者で、
早稲田大学の 都甲幸治 さんです。
「自分に正直でい続けるというのはこれほど偉大なことなのか」
と、都甲さんらしいフレーズで、本書で語られる、
ボルタンスキ—という高度な記名性を有したアーティストを
評していただきました。全文はこちら→()。
都甲さん、ありがとうございます!

7月に来日したボルタンスキ—さんは大変な知日家でもあり、
弊社でもトークセッションをしていただきましたが、
この出色の自伝(自己を語ったインタビュー集)にも、
日本版オリジナルの補遺として「日本のこと」が
語られています。未読の方は、ぜひ手にとってみてください。


possiblelifeクリスチャン・ボルタンスキ—+カトリーヌ・グルニエ
佐藤京子 訳

ボルタンスキ—の可能な人生

A5判上製/320頁/定価4500円
ISBN978-89176-789-1   C0070 好評発売中!

 

編集部通信:バナナの本はまだすべるのか?

2010年 6月 16日

banana_coverバナナというフルーツに
関心のある読者はもちろん、
お笑い関係者や映画関係者のみならず、
古今東西の文献からの圧倒的
かつ豊富な引用の実例によって、
ブッキッシュな読者をも驚愕のズンドコに……
もとい、ドン底におとしこんだのが、
黒木夏美『バナナの皮はなぜすべるのか?』

な、なんと、おかげさまでよもやの重版決定!
(とはいえ、最小ロットではありますが)。
担当編集者も目と耳と心を疑っております。

これまでご紹介の労をとってくださった各紙誌、
そしてブログやツィッター等ウェブで広めていただいた
みなさまのおかげです。ありがとうございます。。。
すでにご注文いただいていたお客様のお手許にも、
もうすぐ届きますので、いましばらくお待ちください。
まだお買い求めいただいていないかたは、
ぜひともお気に入りの書店/ネット書店へ、
じゃんじゃんと注文をお寄せください。

……とアップしたら、今週末(20日付)
朝日新聞の書評欄でも紹介されるとの報が!
お楽しみに!




さて、このかんも6月7日発売の『アエラ』誌に
小さいながらとてもユニークな 書評 が掲載され、
また、8日付の静岡新聞朝刊の名物コラム「大自在」では、
本書にことよせて、菅政権の趨勢(!?)が論じられました。
(リンク切れながらその一部はこちら→

banana_hokkaiそして去る13日には、
北海道新聞文芸面のコラムで、
北海学園大学准教授で
歌人の田中綾さんが、本書を
紹介してくださりました
左の画像をクリック)。

著者の黒木さんが俳人でもあるせいか、
本書には、バナナの皮をめぐる短歌や俳句も
ふんだんに引用されているのですが、
田中さんが着目したのは、会津八一のもの。

わがすてしバナナのかはをながしゆくしほのうねりをしばしながむる


田中さんはこの歌を「瀬戸内海のうねる潮が、
小さな黄色い皮をダイナミックにのみこんでいった光景への
感嘆だろう」と解釈していますが、その色と音が聞こえてくるような、
じつに色彩感あふれる名評ですね。田中さん、ありがとうございました。



ちなみに、その田中綾さんも主要な執筆者のひとりである、
『〈殺し〉の短歌史』(現代短歌研究会編)も、
今月末、6月25日ころの配本予定で現在印刷・製本中です。
この本は、100年前の大逆事件から、第2次世界大戦、
60/70年安保、前衛歌人、そして21世紀のアキバ事件まで、
日本の近現代史のさまざまな〈殺し〉を詠んだ短歌をめぐって、
《短詩型新時代》の旗手として活躍中の歌人や研究者たちが、
縦横に論じまくった1冊です。

詳細は近日中にこのブログでご紹介いたしますが、
こちらも『バナナの皮〜』に負けず劣らずの奇書(!?)として、
ぜひともご注目ください。(編集部:Naovalis)

 

編集部通信/『暗闇の楽器』の反響その2

2010年 6月 7日

ナンシー・ヒューストンの『暗闇の楽器』、好評です。

kurayami002発売後まもなく女性誌『BAILLA』6月号に
江南亜美子さんの紹介記事が載り、
5月6日に東京・表参道の
青山ブックセンター本店で行われた
トークイベント「われらの〈世界文学〉」
(野崎歓×沼野充義×柴田元幸)で、
野崎歓さん「これぞ世界文学という作品」の一つに
『暗闇の楽器』を挙げていましたが、
それからひと月後の6月6日付け『日本経済新聞』読書欄に
同氏による書評が掲載されました。
「時代小説の波瀾に満ちた面白さと、現代小説としての知的な刺激を
たっぷりと味わわせてくれる秀作である」

実によくポイントをおさえた評価をしておられます。

また、『ダ・ヴィンチ』7月号の「注目の新刊情報コーナー」にも、
「独創的なアイデアを楽しみたい」と紹介されました。

さらに、『悪童日記』の翻訳者として知られる慶応大学教授の堀茂樹さんも
『暗闇の楽器』邦訳版を読んで絶賛、訳文もすぐれているとおっしゃっていて、
近々、力のこもった書評を書かれる予定です。

それから最新ニュースをひとつ。
日本語版『暗闇の楽器』が出た5月に、フランスのほうでは
ナンシー・ヒューストン4年ぶりの新作小説Infrarouge(赤外線)が上梓され、
話題になっています。フィレンツェを主な舞台にしたこの新作では、
東京も描かれ、日本の著名なカメラマンの名も出てきますが、
『暗闇の楽器』の現代の物語の世界をより深化させ、
かなり過激な内容になっているようです。
ヒューストンの創作力はますます凄みを増していて、
今後の活躍が本当に楽しみな世界的作家のひとりです。(編集部So)


kurayami001ナンシー・ヒューストン/永井遼・いぶきけい訳

暗闇の楽器

四六判上製328頁/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-783-9  好評発売中!

『天使の記憶』『時のかさなり』によって多くの読者の心を震わせた
ナンシー・ヒューストンの最高傑作——待望の邦訳なる!




【高校生が選ぶゴンクール賞受賞作】

美貌の女性作家をめぐる複雑な人間関係を
内面から描く現代のマンハッタンの物語。
17世紀フランスの暗黒時代を果敢に生き抜く
双子のみなしご兄妹の数奇な運命。
——二つの世界が時空を超えて
パラレルに展開する奇跡の小説。

『悪童日記』以来の文学的衝撃と感動が甦る!

 

編集部通信/不況でも みんなですべれば こわくない 5・30は バナナ記念日

2010年 6月 4日

banana_cover去る5月30日、日曜。

すでにお読みになったかたも多いとは存じますが、
はからずも全国紙2紙の書評面を飾ってしまったのが、
「バナナの皮ですべるギャグ」だけで250ページを埋め尽くした
世界初の本、黒木夏美さん(web「本の中のキートン」管理人)
『バナナの皮はなぜすべるのか?』です。


読売新聞(本よみうり堂)には、左ページ上段にどかんと書評が。
評者は既成の文学史を積極的に読み直している黒岩比佐子さん
タイトルからイロモノ的に見なされがちではあるけれども、
じつは硬派な本書の魅力を、あますところなく伝えてくださいました
黒岩さん、ありがとうございました!

「本よみうり堂」ウェブ版はこちら(→
黒岩さんのブログ(→



nikkei001いっぽう、日本経済新聞 の読書面。
「あとがきのあと」というインタビュー欄に、
著者の黒木さんが近影入りで登場しました。
本書のモティーフはもちろん、
「救いようもなく暗い一面がある人間社会には、
一隅を照らすような愉快なギャグが必要だ」

という持論を展開しています。
「書評より取材を〜」と言って、
著者の在住する中国地方まで足を運んでくださった、
文化部のTu さん、ありがとうございました!



さらに、ほかのメディアに先駈けて、
いち早く本書の紹介記事を全国に配信してくださったのが、
共同通信 の Ta さん。おかげさまで日本全国津々浦々の地方紙に
順次掲載されています。弊社に届いている紙面を列挙すると……

【共同通信配信分】
5月15日付 岩手日報
16日付 中国新聞
22日付 沖縄タイムス
23日付 神奈川新聞
〃  福井新聞
〃  河北新報
〃  上毛新聞
〃  秋田魁新報
〃  山陰中央新報
〃  宮崎日日新聞
〃  新潟日報
30日付 東奥日報
〃  岐阜新聞
〃  山形新聞
〃  南日本新聞  (以上、順不同)


ほかにもあるのかも? Taさん、ありがとうございました!



おかげさまで現在は品薄状態が続いており、
各書店さまにはご迷惑をおかけしていますが、
まだ一部書店・ネット書店には店頭在庫がありますので、
ぜひともお買い求めいただければ幸いです。

巷では「すべらない話」がもてはやされている昨今、
そんな風潮に叛旗をひるがえさんとして(?)、
帯にも麗々しく「絶対、すべる」と謳ってみたのですが、
「すべらない本」、いえいえ、「すべりしらずの本」となりますよう、
なにとぞお力添えをお願いいたします!(編集部 Naovalis)


黒木夏美

バナナの皮はなぜすべるのか?

A5判並製252頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-777-8  C0095 大好評発売中!

——–
もくじ
——–
夜の終わりに
バナナの皮で笑うわけ
バナナの皮は誰かの手製
バナナの涙
世界に冠たるバナナの皮
お笑いに王道あり
永遠のお約束
バナナの皮の文学史
戦前日本のバナナの皮
アメリカ喜劇映画の神々
バナナの皮がギャグになるまで
バナナの皮の罪と罰
ストップ・ザ・スリップ
バナナの皮のモラル
踏み出す一歩
あとがき