4月の新刊:『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』
2013年 3月 31日
ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖
伊藤亜紗四六判上製/280頁/定価=3000円+税
978-4-89176-926-0 C0098 4月3日頃発売予定
装幀=前田晃伸
読者を開放せよ!
読者に身体を与えよ!
身体の未知なる機能を開拓せよ!
詩を使って身体を解剖し、機能を開拓する——20世紀最大の詩人ポール・ヴァレリーが夢見た「純粋性」とは何だったのか。『カイエ』等の膨大な断片から、作品論、時間論、身体論を再構成する作業を通じて、その謎に迫る。気鋭の研究者による画期的なヴァレリー論。
《しかし、われわれはあまりにも、ヴァレリーを「書くこと」に閉じ込めすぎたのではないか。(……)作品が社会に流通して読者のもとにとどくという事実にヴァレリーはきわめて自覚的であったし、この事実について思考をめぐらした結果、みずからの創造性を、この創造以降のプロセスに賭けていたようにさえ見える。別の言い方をすれば、ヴァレリーの創造行為は、書くという狭義の創造が終わったあとの過程をも含むと考えるべきではないのか。もちろんそれは作者の手のおよばない領域だ。しかし、手がおよばないからこそ可能であるような創造もあるのではないか。ヴァレリーの「もうひとつのプロジェクト」とは、そのような創造後の創造に関わるものだ。》(本文より)
【目次】
序 創造後の創造
Ⅰ 作品
第一章 装置としての作品
第二章 装置を作る
Ⅱ 時間
第一章 形式としての「現在」
第二章 抵抗としての「持続」——注意をめぐって
第三章 行為の法則化——リズムをめぐって
Ⅲ 身体
第一章 《主観的》な感覚
第二章 生理学
結
注
おわりに——ひとつの夢を本気で見ること