4月の新刊:哲学詩集《イタリアルネサンス文学・哲学コレクション》
2020年 4月 21日
哲学詩集
《イタリアルネサンス文学・哲学コレクション③》
トンマーゾ・カンパネッラ(著)
澤井繁男(訳)
判型:A5判上製
頁数:536頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0403-0 C0310
装幀:西山孝司
4月下旬発売!
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地下牢の闇のなかの思索、革命への思い
ユートピア論『太陽の都』を著し,預言者を自認した自然哲学者・カトリック僧が,体制転覆を計画して逮捕され,四半世紀にも及んだ獄中生活において綴った89篇の詩。
ギリシア哲学とカトリック神学がルネサンス的融合を果たした世界観,専制支配と教会の腐敗への怒り,長きにわたる苦難の末に生じた使命と信仰への疑心――異形の知識人の生と思想のすべてが結実した,驚嘆すべき人倫の詩集。
完全無比な生き物の棲む黄金の時代の前は混沌としていて,
さながら巨大な卵の体をなしていた。
卵のなかには霊魂を想わせる第一の存在の神が孵化しつつあり,
大いなる新たな形を顕わしていた。
神は必然,運命,調和に影響を与え,
和らげた力,愛,知の三つを,
多くの手足のなかへと融かし込み,
自然,内在する造化と種子を創り上げていった。
それゆえそれぞれの実体は実在するかぎり,知ること,愛することが可能なのである。
知を失くしたり愛を喪失したりすることはない。
死に及んでも蘇ってくるからである。
(詩28「真正なる哲学に則った愛のカンツォーネ」より)