3月の新刊:都市盛衰原因論《イタリアルネサンス文学・哲学コレクション》

2019年 3月 7日 コメントは受け付けていません。

都市盛衰原因論都市盛衰原因論
イタリアルネサンス文学・哲学コレクション①
ジョヴァンニ・ボテロ(著)
石黒盛久(訳)

判型:A5判上製
頁数:216頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0401-6 C0310
装幀:西山孝司
3月下旬発売!


都市の集合体としての国家論
古代ローマ帝国から宣教師たちが伝える幻想の中国の都まで、古今東西の都市が栄える要因を地理条件と政治政策の面から考察し、マキャヴェッリが主張したような領土の征服・拡大ではなく、交易を通じた富の増大こそが首都=国家の繁栄をもたらすと説く。海洋帝国スペイン、あるいは現代のアメリカのような経済的覇権システムを背景とする〈帝国〉の出現を予告した知られざる傑作。
表題作ほか、敵対する大国の間で小国が独立を保つ方法を考察する「中立について」、高い評判を得る君主の振る舞いとは何かを述べる「評判について」を付録として収録。

《あたかも一つの身体の各部分の肢体として人間が相互に依存し合うことを望まれた御神は〔……〕ご自身がもたらされる福利をしかるべきやり方で、世界の各地に分配されたのである。それは〔……〕かの国がこの国の物資を必要とするようになり、その結果として交流が生じ、かかる交流から愛が、更にはかかる愛から世界の統一が生ぜんがために他ならない。》(本文より)

目次
都市盛衰原因論

献辞

第1巻
盛大なる都市とはどのようなものか
権威について
必然について
周辺地域を荒廃せしめること
人々をその故地から我らの都市へと引き寄せること
快楽について
有用性について
立地の優位について
地味の豊かさについて
移動の利便性

第2巻
ローマ人固有の方法
植民市について
宗教について
大学について
司直の法廷について
勤勉について
免税措置について
動産を自身の財として保持することについて
支配権について
貴紳の居所について
君主の居所について

第3巻
都市が比例的に成長しないという現象はなぜ生じるのか
都市の隆盛を維持する要因について

その最盛期にローマにはどれほどの人口があったのか

[付録]
中立について

評判について
第1巻
第2巻


著者について
ジョヴァンニ・ボテロ(Giovanni Botero)  
1544年、イタリアのピエモンテに生まれる。1617年没。聖職者、政治学者。15歳でイエズス会に入会し詩作の才能を見出されるが、同僚や上層部との不和の末、会を追放される。その後はボッロメーオ枢機卿およびサヴォイア公に仕え、イエズス会の情報網を用いて世界各国の政治・経済について研究を重ねた。主な著作に、本書のほか、『国家理性論』(1589. 石黒盛久訳、風行社、2015)、『世界の報告』(1591)などがある。

訳者について
石黒盛久(いしぐろもりひさ)  
1963年、愛知県名古屋市に生まれる。筑波大学大学院博士課程歴史人類学研究科史学専攻課程修了。博士(文学)。現在、金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系教授。専攻は西洋哲学。主な著書に、『マキアヴェッリとルネサンス国家――言説・祝祭・権力』(風行社、2009年)、主な訳書に、ジョヴァンニ・ボテロ『国家理性論』(風行社、2015年)、『マキアヴェッリ全集第六巻ーー政治小論・書簡』(共訳、筑摩書房、2000)等がある。

イタリアルネサンス文学・哲学コレクション
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