10月の新刊:福永武彦の詩学

2019年 10月 18日 コメントは受け付けていません。

福永武彦の詩学
福永武彦の詩学
《水声文庫》
山田兼士(著)

判型:四六判上製
頁数:229頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0450-4 C0095
装幀:宗利淳一
10月下旬発売!

冥府を越え出て――没後40年
若き日のボードレール体験や「マチネ・ポエティク」の活動を通じて得た詩の富を小説においても展開すべく、作中で様々な実験を重ね、散文詩や音楽に限りなく接近した独自の文学世界を構築した福永武彦。代表作である『風土』や『海市』、「塔」「冥府」「廃市」などの短篇、そして作家最大の到達点『死の島』を読み解き、そこに結晶化した詩学の相貌を探る。

目次
第一章 フランス文学者福永武彦の冒険――「マチネ・ポエティク」から『死の島』へ
第二章 詩と音楽――ボードレールから福永武彦へ(1)
第三章 憂愁の詩学――ボードレールから福永武彦へ(2)
第四章 冥府の中の福永武彦――ボードレール体験からのエスキス
第五章 冥府からの展開――「廃市」『海市』そして『死の島』へ
第六章 死のポリフォニー――引用で読む『死の島』論
第七章 ポエティクvsロマネスク――中村真一郎と福永武彦

書評三篇
西岡亜紀『福永武彦論――「純粋記憶」の生成とボードレール』評
岩津航『死の島からの旅』評
渡邊一民『福永武彦とその時代』評

著者について
山田兼士(やまだけんじ)
1953年、岐阜県に生まれる。大阪芸術大学教授(フランス文学)、詩人。著書に、『ボードレール《パリの憂愁》論』(砂子屋書房、1991年)、『小野十三郎論』(砂子屋書房、2004年)、『ボードレールの詩学』(砂子屋書房、2005年)、『抒情の宿命・詩の行方――朔太郎・賢治・中也』(思潮社、2006年)、『百年のフランス詩――ボードレールからシュルレアリスムまで』(澪標、2009年)、『谷川俊太郎の詩学』(思潮社、2010年)、『詩の現在を読む2007-2009』(澪標、2010年)、『萩原朔太郎《宿命》論』(澪標、2014年)、『詩の翼』(響文社、2017年)、詩集に、『家族の昭和』(澪標、2012年)、『羽曳野』(澪標、2013年)、『月光の背中』(洪水企画、2016年)、『羽の音が告げたこと』(砂子屋書房、2019年)、翻訳に、ボードレール『小散文詩 パリの憂愁』(思潮社、2018年)などがある。

関連書
マチネ・ポエティク詩集 福永武彦・中村真一郎ほか 4000円
近代日本とフランス象徴主義 坂巻康司編 6500円
戦後文学の旗手 中村真一郎――『死の影の下に』五部作をめぐって 鈴木貞美 2500円

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