1月の新刊:政治人類学研究《叢書 言語の政治》
2020年 2月 3日 コメントは受け付けていません。
政治人類学研究
叢書《言語の政治》23
ピエール・クラストル(著)
原毅彦(訳)
判型:A5判上製
頁数:314頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0468-9 C0010
装幀:中山銀士
好評発売中!
離散的な遠心力を備える「戦争機械」の概念、進化論的な国家観を覆した「国家に抗する社会」という定理をはじめ、クラストルが遺した思想はいかなる現代的意義をもつのだろうか? 訣別の予感の下でヤノマミ滞在を綴った「最後の砦」、未開社会における政治権力の構造を巧みに分析した「未開人戦士の不幸」ほか、人類学が真に政治的なものになるための12篇の論考を収録。
なぜなら戦士は社会に区分化という病原菌を持ち込むことで、分離した権力機関となることで、社会の不幸を生むことができたからだ。未開社会が、戦士が持ち込む危険を払いのけるために設立するのは、このような防御メカニズムなのである。つまり、戦士の死と引き替えに区分化していない社会体の生があるのだ。部族の法の主題がここに明らかになる。未開社会は、その存在において、戦争‐に‐向かっての‐社会 société-pour-la-guerre なのだ。同時に、そして、同じ理由で、戦士に抗する社会なのだ。(本文より)
【目次】
第1章 最後の砦
第2章 ある野生の民族誌
第3章 クルーズの見せ場
第4章 民族文化抹殺について
第5章 南アメリカ・インディオの神話と儀礼
第6章 未開社会における権力の問題
第7章 自由、災難、名付けえぬもの
第8章 未開経済
第9章 啓蒙ふたたび
第10章 マルクス主義者とその人類学
第11章 暴力の考古学――未開社会における戦争
第12章 未開人戦士の不幸
原注
訳注
訳者あとがき
【著者について】
ピエール・クラストル(Pierre Clastres)
1934年、パリに生まれる。1977年、自動車事故によりロゼールに没する。フランスの文化人類学者・民族学者。主な著書に、『グアヤキ年代記ーー遊動狩人アチェの世界』(1974年/邦訳、現代企画室、2007年)、『国家に抗する社会』(1974年/邦訳、松籟社、1997年)、『暴力の考古学』(1977年/邦訳、現代企画室、2003年)などがある。
【訳者について】
原毅彦(はらたけひこ)
1953年、東京都に生まれる。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。現在、立命館大学国際関係学部教員。専攻、文化人類学、南アメリカ研究、日本民俗学。主な著書に、『ラテンアメリカからの問いかけ』(共編著、人文書院、2000年)、『文化人類学文献事典』(共編著、弘文堂、2004年)、主な翻訳に、クロード・レヴィ=ストロース「南アメリカのインディオにおける戦争と交易」(『GS』第四号、UPU、1986年)、「熱帯への返礼として」(『現代思想』38-39号、青土社、2009年)などがある。
【関連書】
国家に抗する社会 ピエール・クラストル/渡辺公三訳/3500円+税
自然と文化を越えて フィリップ・デスコラ/小林徹訳/4500円
暴力と輝き アルフォンソ・リンギス/水野友美子+金子遊+小林耕二/3200円+税
模倣と他者性――感覚における特有の歴史 マイケル・タウシグ/井村俊義訳/4000円+税
経済人類学――人間の経済に向けて クリス・ハン+キース・ハート/深田淳太郎+上村淳志訳/2800円+税
非-場所――スーパーモダニティの人類学に向けて マルク・オジェ/中川真知子訳/2500円+税
法が作られているとき――近代行政裁判の人類学的考察 ブルーノ・ラトゥール/堀口真司訳/4500円+税
流感世界――パンデミックは神話か? フレデリック・ケック/小林徹訳/3000円+税
フレイマー・フレイムド/トリン・T・ミンハ 小林富久子・矢口裕子・村尾静二訳/4000円+税
作家、学者、哲学者は世界を旅する ミシェル・セール/清水高志訳/2500円+税
多としての身体――医療実践における存在論 アネマリー・モル/浜田明範・田口陽子訳/3500円+税
ヴァルター・ベンヤミンの墓標 マイケル・タウシグ/金子遊・井上里・水野友美子訳/3800円+税
変形する身体 アルフォンソ・リンギス/小林徹訳/2800+税
インディオの気まぐれな魂 エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ/近藤宏・里見龍樹訳/2500円+税
部分的つながり マリリン・ストラザーン/大杉高司・浜田明範・田口陽子・丹羽充・里見龍樹訳/3000円+税