2月の新刊:時との戦い《フィクションのエル・ドラード》
2020年 2月 14日 コメントは受け付けていません。
時との戦い
《フィクションのエル・ドラード》
アレホ・カルペンティエール(著)
鼓直/寺尾隆吉(訳)
判型:四六判上製
頁数:186頁
定価:2200円+税
ISBN:978-4-8010-0458-0 C0397
装幀:宗利淳一
2月下旬頃発売!
カルペンティエールの作品全体が、未来の記憶であると同時に過去の予告なのだ。(カルロス・フエンテス)
ニグロの老人が振るう杖の一振りにより、崩壊した館がたちまち元の姿へと戻り、亡くなったはずの館主の生涯をその死から誕生へと遡る傑作「種への旅」をはじめ、「夜の如くに」「聖ヤコブの道」を含む旧版に加え、時間の枠組みを大きく逸脱させるユーモアとアイロニーが散りばめられた「選ばれた人びと」「闇夜の祈祷」「逃亡者たち」「庇護権」の四編をあらたに加えた決定版カルペンティエール短編集。
【著者について】
アレホ・カルペンティエール(Alejo Carpentier)
1904年、スイスのローザンヌに生まれる。父はフランス人、母はロシア人。主にハバナで教育を受けたものの、家庭内にはフランス文化が色濃く、パリへ留学することもあった。建築家を志すが挫折。1924年から文化雑誌『カルテレス』に寄稿を始め、政治運動にも参加、マチャード独裁政権から27年に投獄を受ける。1928年から39年までパリに滞在し、シュルレアリスムや前衛音楽に影響を受けた。一時ハバナへ戻った後、1945年から59年までベネズエラのカラカスに滞在し、『この世の王国』(1949)、『失われた足跡』(1953)、『追跡』(1956)などの長編小説を刊行した。1959年、キューバ革命勃発とともにハバナへ戻り、革命政府の文化活動に協力。晩年は外交官としてパリで過ごし、『方法異説』(1974)、『バロック協奏曲』(1974)、『ハープと影』(1979)などの作品を発表し続けた。1977年に、ラテンアメリカ作家として初めてセルバンテス賞を受賞している。
【訳者について】
鼓直(つづみただし)
1930年に岡山に生まれ、2019年に神戸で没する。東京外国語大学卒業。元法政大学教授。専攻、ラテンアメリカ文学。主な訳書には、ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社、1972年)、ドノソ『夜のみだらな鳥』(水声社、2018年)などがある。
寺尾隆吉(てらおりゅうきち)
1971年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、早稲田大学社会科学部教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『ラテンアメリカ文学入門』(中公新書、2016年)。主な訳書には、パドゥーラ『犬を愛した男』(水声社、2019年)などがある。