3月の新刊:マルグリット・デュラス 〈声〉の幻前——小説・映画・戯曲
2020年 3月 6日 コメントは受け付けていません。
マルグリット・デュラス 〈声〉の幻前
小説・映画・戯曲
森本淳生/ジル・フィリップ(編)
判型:四六判上製
頁数:228頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-00474-0 C0098
装幀:山崎登
3月中旬発売!
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作品に谺するファントム・ボイス
《私が表現しようと試みるのは、書く時に私が聞くものなのです》
小説、戯曲、そして映画に至るまで「ヌーヴォー・ロマン」の枠を超えた活動でいまなお読みつがれるマルグリット・デュラス(1914-1996)。小説で描かれる電話の声、映画にみられるオフの声など、その作品にはつねに、何処からとも知れず到来する〈声〉の存在があった。本書が狙いを定めるのは、単なる日常性には還元できない中間的な領域――現前と不在、生と死――をたゆたう《幻前する声》にほかならない。
【目次】
序――〈声〉の幻前/森本淳生
Ⅰ 虚空と沈黙
「夜明けの光」のセレナーデを歌うのは誰か?――『かくも長き不在』における〈声〉の幻前/森本淳生
声なき身体、静かなる犯罪――『イギリスの愛人』に寄せて/立木康介
Ⅱ 映画と〈声〉
デュラス、〈声〉をめぐるエクリチュールの試み――声と現前と不在の間で/関 未玲
声とまぼろしの風景――デュラス、ストローブ=ユイレ、ポレ、足立における移動撮影/橋本知子
Ⅲ 新たなる視覚へ向けて
どのように呼びかける(呼ぶ)のか――マルグリット・デュラスにおける名前の力/澤田直
声の宛て先――デュラスとヤン・アンドレア/J・パジェス=パンドン
デュラスは本当に声の作家だったのか?/ジル・フィリップ
跋――私、〈あなた〉、彼/ジル・フィリップ
【編者・著者・訳者について】
森本淳生(もりもとあつお)
1970年、東京都生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専攻、フランス文学。著書に、『小林秀雄の論理』(人文書院、2002年)、編著に、『〈生表象〉の近代』(水声社、2015年)、訳書に、W・マルクス『オイディプスの墓』(水声社、2019年)などがある。
ジル・フィリップ(Gilles Philippe)
1966年、ランニオン生まれ。ローザンヌ大学教授。専攻、フランス文学・文体論。著書に、Le Rêve du style parfait(PUF, 2013)、校訂本に、OEuvres complètes de Marguerite Duras, 4 tomes(Gallimard,« Bibliothèque de la Pléiade », 2011 et 2014)などがある。
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立木康介(ついきこうすけ)
1968年生まれ、神奈川県出身。京都大学人文科学研究所准教授。専攻、精神分析。著書に、『狂気の愛、狂女への愛、狂気のなかの愛』(水声社、2016年)、『露出せよ、と現代文明は言う』(河出書房新社、2013年)などがある。
関 未玲(せきみれい)
1972年、東京都生まれ。愛知大学准教授。専攻、フランス文学。共著に、Marguerite Durasà la croisée des arts(Éditions Peter Lang, 2019), Orient(s) de Marguerite Duras(Rodopi, 2014)などがある。
橋本知子(はしもとともこ)
京都女子大学非常勤講師。専攻、フランス文学。論文に、L’image hallucinatoire, enjeu médical et littéraire(『仏文研究』、二〇一九年)、Violon, voix et “orgie
d’imagination”. L’évocation sonore chez Sand et Flaubert(『仏文研究』、2018年)などがある。
澤田 直(さわだなお)
1959年、東京都生まれ。立教大学教授。専攻、フランス現代思想。著書に、『サルトルのプリズム』(法政大学出版局、2019年)、編著に、『異貌のパリ 1919-1939』(水声社、2017年)、訳書に、『フェルナンド・ペソア『新編 不穏の書、断章』(平凡社ライブラリー、2013年)などがある。
ジョエル・パジェス=パンドン(Joëlle Pagès-Pindon)
1952年、ムーラン生まれ。グラン・ゼコール準備学級教授資格保持者(古典語担当)。マルグリット・デュラス協会副会長。著書に、Marguerite Duras. L’écriture illimitée(Ellipses, 2012)、校訂本に、OEuvres complètes de Marguerite Duras, t. III et t. IV
(Gallimard, « Bibliothèque de la Pléiade », 2014)などがある。
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岩永大気(いわながたいき)
1988年、京都府生まれ。パリ第八大学博士課程在籍。専攻、現代フランス文学。論文に、「カフカを通してベケットを読む――1946年の短編群におけるエクリチュールの実践」(『仏文研究』、2017年)などがある。
【関連書】
垂直の声 プロソポペイア試論/ブリュノ・クレマン/郷原佳以訳/4800円+税
オイディプスの墓/ウィリアム・マルクス/森本淳生編/3500円+税
テクストとイメージ/マリアンヌ・シモン=及川編/4500円+税
ヴァレリーにおける詩と芸術/三浦信孝・塚本昌則編/5000円+税