3月の新刊:世界の瞬間ーーチェーホフの詩学と進化論

2020年 3月 13日 コメントは受け付けていません。

世界の瞬間世界の瞬間
チェーホフの詩学と進化論
髙田映介(著)

判型:四六判上製
頁数:328頁
定価:3200円+税
ISBN:978-4-8010-0469-6 C0098
装幀:齋藤久美子
3月下旬頃発売!

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〈不幸な現実への醒めた諦観〉、〈卑小な個人への暖かい共感〉、それとも? 
偶発的〈進化〉だけが紡ぐ神も目的もない世界の姿を示し、19世紀に衝撃を与えたダーウィンの進化論を、ときに捉えがたく思われるチェーホフの筆致に並置して、進化論とチェーホフ作品の詩学の関連を追い、さらには個体の生のミクロな視点を越えた〈世界=生〉の巨大な相貌が浮かび上がる〈瞬間〉としての、彼の特異な自然描写に注目することで、新たな読みの可能性を拓く。

目次
序論 「万能酸」のそのあとに

第1部 「信」なき時代と進化論

第1章 進化論、その特徴と受容
1 進化論という物語り  
2 ロシアにおけるダーウィン受容  
3 チェーホフの読書と理解

第2章 可視・可知・不可知
1 「小さな刊行物」の台頭 
2 回帰する「生理学的スケッチ」
3 踏み越え――「空」をめぐって

第2部 チェーホフのテクストと進化論の類縁

第3章 人物の「型」と「個」
1 「隠されたパロディ」  
2 「言葉」と「衣装」  
3 『決闘』に見る人物造形の特徴 ①「タイプ」と逸脱  
4 『決闘』に見る人物造形の特徴 ②変化する人物像

第4章 出来事とその結果
1 反復の手法
2 累積的構成
3 因果関係の欠如
4 偶発性の物語り

第5章 生のヴォリュームとしての時間と空間
1 対立する空間
2 「逃避」のモチーフと「異言語性」
3 交錯する時間
4 二つの「生」の流れ

結論 「孤独な宇宙」の中で


あとがき


著者について
髙田映介(たかだえいすけ)
1985年、愛知県に生まれる。京都大学大学院文学研究科スラヴ語スラヴ文学専修博士後期課程修了。現在、京都大学、関西大学非常勤講師。専攻は、ロシア文学。おもな著書に、『ロシアの物語空間』(共著、水声社、2017年)などがある。

関連書
ロシアの物語空間 近藤昌夫・角伸明・樫本真奈美・高田映介・新井美智代/3500円+税
チェーホフ小説選 松下裕訳/7000円
チェーホフとサハリン島――反骨ロシア文人の系譜 糸川紘一/4000円+税
『罪と罰』をどう読むか――ドストエフスキー読書会 川崎浹+小野民樹+中村邦生/2500円+税
詳注版 カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー/杉里直人訳/18000円+税

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