3月の新刊:ピランデッロ 秘密の素顔

2020年 3月 28日 コメントは受け付けていません。

ピランデッロ_書影ピランデッロ 秘密の素顔
フェデリーコ・ヴィットーレ・ナルデッリ(著)
斎藤泰弘(訳)

判型:A5判上製
頁数:320頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0480-1 C0098
装幀:宗利淳一
3月上旬発売予定!

▶︎直接のご注文はこちらへ◀︎


《作者をさがす六人の登場人物》の背景
20 世紀前半のイタリアを代表する小説家,劇作家として名高いピランデッロがファシズム政権を避けて《自主亡命》中のパリに,出版したダヌンツィオ伝が当人の逆鱗にふれて警察に押収され,同じくパリに亡命して来た著者が,3カ月にわたるインタビューをもとに書き上げた半ばピランデッロの自伝とも言いうる詳細な伝記。

 伝記というのは、従僕が真鍮のドア・ノブを磨くように、偉人をきれいに磨き上げようとするなら問題はないが、その真実の姿を伝えようとするときには、実に厄介な芸術となる。〔……〕
 おそらく読者は、どうしてこのようにたくさんの秘密を伝記作者は知っているのか、と尋ねるだろう。ああ! 実はそれが伝記作者の仕事なのだよ。伝記作者とは、秘密のさらにまた奥にある秘密を暴くような職業なのだ。
(本文より)


目次
序文
第1章 ルイジ・ピランデッロ
第2章 生まれ故郷
第3章 母方の家系
第4章 父方の家系
第5章 幼年時代
第6章 神様のとりこ
第7章 愛と死の啓示
第8章 芸術への目覚めと劇団の旗揚げ
第9章 父の破産とパレルモ移住。愛と死の体験
第10章 修道院
第11章 恋の歌
第12章 失恋自殺
第13章 ローマ銀行事件
第14章 ボン大学
第15章 ラインの春
第16章 婚約者から修道士に
第17章 ピランデッロ妻を娶る
第18章 夜空に輝く流れ星
第19章 不運
第20章 不幸の鞭打ち
第21章 嫉妬
第22章 里帰り
第23章 夫
第24章 秘密
第25章 理性を持つ動物
第26章 『六人の登場人物』の誕生
第27章 アントニエッタ
第28章 戦場を照らす照明弾
第29章 形而上学と邸宅の間で
第30章 オデスカルキ劇場
第31章 マルタ・アッバ
(第31章 追加)
第32章 エピローグ

ピランデッロ書誌抄

訳者解説

著者について
フェデリーコ・ヴィットーレ・ナルディーニ(Federico Vittore Nardelli)  
1891年、イタリアはアブルッツォ州に生まれ、一九七三年、ローマに没した。ローマ大学工学部に学び、建築家として働くかたわら、小説、詩、戯曲等を精力的に発表。第二次大戦中は聖書の研究に没頭、戦後はカトリック原理主義の論客として活躍。主な評伝には、本書の他、ダヌンツィオの伝記『大天使 ガブリエル・ダヌンツィオの奇跡の人生』(L’arcangelo: vita e miracoli di Gabriele D’Annunzio, Milano, A. Stock, 1931.)がある。

訳者について
斎藤泰弘(さいとうやすひろ)  
1946年、福島県に生まれる。京都大学名誉教授。専攻、イタリア文学、イタリア演劇。『鳥の飛翔に関する手稿』(谷一郎、小野健一との共著。岩波書店、1979年)で第三回マルコ・ポーロ賞受賞。『レオナルド・ダ・ヴィンチの謎――天才の素顔』(岩波書店、1987年)、『ダ・ヴィンチ絵画の謎』(中公新書、2017年)、『誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ』(NHK出版新書、2019年)、『カルロ・ゴルドーニ喜劇集』(名古屋大学出版会、2007年)などの著書・訳書の他、ルイジ・ピランデッロやカルロ・ゴルドーニについての論文多数。

Comments are closed.