4月の新刊:ことばにうつす風景――近代日本の文章表現における美辞麗句集 《エコクリティシズム・コレクション》
2020年 5月 2日 コメントは受け付けていません。
ことばにうつす風景
近代日本の文章表現における美辞麗句集
湯本優希(著)
判型:四六判上製
頁数:320頁
定価:3500円+税
ISBN:978-4-8010-0483-2 C0095
装幀:滝澤和子
4月下旬発売!
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〈白雲の靉靆たるが如く、紅錦の幔幕をめぐらしたるが如し〉……
明治期に隆盛をきわめた美辞麗句集や、大町桂月、小島烏水らにも用いられた美辞麗句表現などが、文学作品のみならず、時代の流れのなかで人々にいかに受容され、文章の近代化にどのような作用をもたらしたかを考究する。
【目次】
はじめに
第一部 美文と紀行文の境界をめぐって
第一章 美文とはなにか――大町桂月を軸とした美辞麗句共有のネットワーク
第二章 雑誌『文庫』の美文をめぐって――小島烏水の叙景
第三章 美文教科書としての軌範性――『花紅葉』の構成と受容
第二部 美辞麗句による風景描写
第四章 月ヶ瀬観梅紀行文における美辞麗句――トレース表現と美辞麗句集
第五章 杉田観梅紀行文における美辞麗句――同質化される風景
第六章 近代大阪の出版界と美辞麗句集――心斎橋筋の書肆矢島誠進堂を中心に
第三部 こころの風景とことば
第七章 美辞麗句によって「幻出」される風景――明治三十年代の『文芸倶楽部』を視座として
第八章 「秀霊」なる山水――美辞麗句の中にみる風景のうつし方
注
参考文献
人名索引
事項索引
あとがき
【著者について】
湯本優希(ゆもとゆき)
1988年群馬県に生まれる。立教大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、現在、日本体育大学桜華高等学校教諭、立教大学日本学研究所研究員。専攻、日本近代文学、日本語学、文体論、文章表現論。主な著書に、立命館・国文学研究資料館「明治大正文化研究」プロジェクト編『近代文献調査研究論集』第二輯(共著、国文学研究資料館、2016年)、主な論文に、「杉田観梅紀行文における美辞麗句――月ヶ瀬梅林と同質化される風景」(『立教大学日本文学』第114号、2015年)、「美辞麗句によって「幻出」される風景――明治三十年代の『文芸倶楽部』を視座として」(『立教大学日本文学』第115号、2016年)、「大町桂月にみる美文――『花紅葉』と『黄菊白菊』を中心に」(『表現研究』第107号、2018年)などがある。
【エコクリティシズム・コレクション】
失われるのは、ぼくらのほうだ 野田研一 4000円
いつかはみんな野生にもどる――環境の現象学 河野哲也 3000円
他火のほうへ――食と文学のインターフェイス 結城正美 2800円
〈故郷〉のトポロジー――場所と居場所の環境文学論 喜納育江 2500円
動物とは「誰」か?――文学・詩学・社会学との対話 波戸岡景太 2200円
ピンチョンの動物園 波戸岡景太 2800円
ポスト〈3・11〉小説論――遅い暴力に抗する人新世の思想 芳賀浩一 4000円
反復のレトリック――梨木香歩と石牟礼道子と 山田悠介 4000円
環境から生まれ出る言葉――日米環境表象文学の風景探訪 小谷一明 3500円