6月の新刊:ミュージアムの憂鬱——揺れる展示とコレクション

2020年 6月 10日 コメントは受け付けていません。

ミュージアムの憂鬱書影ミュージアムの憂鬱
揺れる展示とコレクション
川口幸也(編)

判型:A5判上製
頁数:413頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0502-0 C0070
装幀:宗利淳一
6月下旬頃発売!

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ミュージアムは〈かたる〉
近代が生んだ展示と収集の装置=〈ミュージアム〉。歴史をかたる権力を託されたこの〈装置〉は、混迷する世界の中で、いかなる役割を果たしていくのか。
さまざまな時代と場所における多角的検証を通じて、これからのミュージアムの(不)可能性を問う、最新の研究成果。

目次

ミュージアム――権力と暴力の器
揺さぶられるアートと美術館……川口幸也
同時代アフリカ美術の空間政治学……宮内洋平
顕彰か検証か……鷲田めるろ

展示という「かたり」
追悼絵馬とその展示……宮下規久朗
都市を展示する……辻泰岳
日本のアウトサイダー・アートの展示における「物量主義」……佐藤真実子
物が少ない作家……池上司
ミュージアムで痛ましいイメージを見ること、展示すること……横山佐紀

ミュージアムの来し方
「文化」概念の社会実装……野呂田純一
表慶館外観装飾に見る諸芸の表徴……サラ・デュルト
はこぶね……関直子


拡散するミュージアム
ミュージアムとテーマパーク……豊田由貴夫
先住民観光とミュージアム……須永和博
タイム・カプセルとしてのミュージアム……稲賀繁美

編者/執筆者について
川口幸也(かわぐちゆきや)
1955年福井市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。国立民族学博物館・総合研究大学院大学准教授を経て、2020年3月まで立教大学教授を務める。専著書に『アフリカの同時代美術』(明石書店、2011)、編著に『展示の政治学』(2009)、訳書に『美術館という幻想 儀礼と権力』(2011、ともに水声社)がある。
宮内洋平(みやうちようへい)
立教大学アジア地域研究所特任研究員、特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。1975年千葉県生まれ。南アフリカ共和国ローズ大学大学院人類学専攻博士課程単位取得退学。博士(文学)。在南アフリカ日本大使館専門調査員を経て現職。著書に『ネオアパルトヘイト都市の空間統治――南アフリカの民間都市再開発と移民社会』(明石書店、2016)がある。
鷲田めるろ(わしだめるろ)
十和田市現代美術館館長、金沢美術工芸大学客員教授。1973年京都市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。金沢21世紀美術館を経て現職。第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館キュレーター、あいちトリエンナーレ2019キュレーターを務める。
宮下規久朗(みやしたきくろう)
神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了。兵庫県立近代美術館、東京都現代美術館学芸員を経て現職。専攻は美術史。2004年、『カラヴァッジョ――聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞などを受賞。主な著書に、『闇の美術史 カラヴァッジョの水脈』(岩波書店、2016)、『そのとき、西洋では』(小学館、2019)などがある。
辻泰岳(つじやすたか)
筑波大学助教。1982年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。共著書にInvisible Architecture(Silvana Editoriale, 2017)、『世界建築史15講』(彰国社、2019)などがある。
佐藤真実子(さとうまみこ)
東京都渋谷公園通りギャラリー(東京都現代美術館文化共生課)学芸員、立教大学兼任講師。1977年兵庫県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。東京藝術大学大学美術館学芸研究員、立教大学教育研究コーディネーターを経て現職。担当した主な展覧会に、グランドオープン記念事業展覧会「あしたのおどろき」(東京都渋谷公園通りギャラリー)などがある。
池上 司(いけがみつかさ)
滋賀県立近代美術館学芸課長。1974年島根県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。西宮市大谷記念美術館学芸員を経て現職。担当した展覧会に「美術館の遠足」(西宮市大谷記念美術館)、「具体の画家――正延正俊」(西宮市大谷記念美術館ほか)、「山沢栄子 私の現代」(西宮市大谷記念美術館ほか)などがある。
横山佐紀(よこやまさき)
中央大学准教授。名古屋大学大学院教育発達科学研究科修了。博士(教育学)。国立西洋美術館を経て現職。著書に『ナショナル・ポートレート・ギャラリー その思想と歴史』(三元社、2013)、『学芸員になるには』(ぺりかん社、2019)、共著に『創られる歴史、発見される風景:アート・神話・ミソロジー』(2016)、『描かれる他者、攪乱される自己:アート・表象・アイデンティティ』(2018、ともにありな書房)などがある。
野呂田純一(のろたじゅんいち)
(公財)かながわ国際交流財団学術・文化交流グループ副主幹。1972年秋田県生まれ。大阪大学経済学部卒業。総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻にて博士号取得(学術)。『幕末・明治の美意識と美術政策』(宮帯出版社、2015)にて2016年度全日本博物館学会賞受賞、共著に『起立工商会社の花鳥図案――明治初期の工芸品構想』(光村推古書院、2019)がある。
サラ・デュルト(Sara Durt)
1976年神戸市生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了(美術史)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得(文化資源学)。2005―2015年、大原美術館に学芸員として勤務。現在は、神戸・塩屋に家族で所有する明治末期の洋館「旧グッゲンハイム邸」の運営に携わっている。
関 直子(せきなおこ)
早稲田大学文学学術院教授。1992年早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得(美術史)。東京都美術館、東京都現代美術館開設準備室、東京都現代美術館の学芸員を経て現職。共編著に『マティスのロザリオ礼拝堂』(光琳社、1996)。担当した主な展覧会に「磯辺行久 Landscape — Yukihisa Isobe, Artist-Ecological Planner」、「桂ゆき――ある寓話――」、「オノ・ヨーコ――私の窓から――」、「百年の編み手たち――流動する日本の近現代美術――」(いずれも東京都現代美術館)などがある。
豊田由貴夫(とよだゆきお)
立教大学名誉教授。1955年埼玉県生まれ。東京大学大学院社会学研究科文化人類学専攻博士課程修了。亜細亜大学国際関係学部助教授などを経て、2020年3月まで立教大学教授を務める。主な共著書にSago Palm: Multiple Contributions to Food Security and Sustainable Livelihoods (Springer, 2018)、『睡眠文化を学ぶ人のために』(世界思想社、2008)、『夢と幻視の宗教史』(リトン社、2012)などがある。
須永和博(すながかずひろ)
獨協大学教授。1977年東京都生まれ。立教大学大学院観光学研究科博士課程後期課程修了。専攻は観光研究・文化人類学。著書に『エコツーリズムの民族誌――タイ北部カレンの生活世界』(春風社、2012)、共著に『現代観光学――ツーリズムから「いま」がみえる』(新曜社、2019)、『東南アジア文化事典』(丸善、2019)などがある。
稲賀繁美(いながしげみ)
国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学教授、放送大学客員教授。1957年東京生まれ・広島育ち。東京大学大学院綜合文化研究科博士課程単位取得退学、パリ第七大学新制度博士課程修了(文学博士)。三重大学助教授などを経て現職。著書に『絵画の黄昏』(1997)、『絵画の東方』(1999)、『絵画の臨界』(2014)、『接触造形論』(2016、いずれも名古屋大学出版会)ほか。編著に『東洋意識』(ミネルヴァ書房、2012)、『海賊史観からみた世界史の再構築』(思文閣出版、2014)、『映しと移ろい』(花鳥社、2019)などがある。

関連書
展示の政治学/川口幸也編/4800円+税
美術館という幻想 儀礼と権力/キャロル・ダンカン著、川口幸也編/3800円+税

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