8月の新刊:ケアのロジック――選択は患者のためになるか《人類学の転回》

2020年 7月 28日 コメントは受け付けていません。

ケアのロジック_書影ケアのロジック
選択は患者のためになるか
《人類学の転回》
アネマリー・モル(著)
田口陽子+浜田明範(訳)

判型:46判上製
頁数:281頁
定価:3200円+税
ISBN:978-4-8010-0504-4  C0010 
装幀:宗利淳一
8月上旬発売!

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「善き生」を探究するあなたに
近代の市民社会と消費社会の条件であり、主体の自由意志に基づいてなされる「選択」には、いかなる限界があるのだろうか――。オランダの大学病院における糖尿病外来の調査を軸に、予測や制御が不可能な事象に向かい合う方法である「ケアのロジック」を抽出し、医療の現場を超えた私たちの生の指針を描き出す、現代人類学における新たな実践の書。


目次

日本語版への序文 
プロローグ 

第一章 二つのロジック
 西洋というクリシェ 
 能動的な患者 
 方法 
 本書について 

第二章 消費者か患者か
 製品かプロセスか 
 ターゲットグループかチームメンバーか 
 夢か支援か 
 健康を望むのか、病気とともに生きるのか 
 なるにまかせるアクター  

第三章 市民と身体
 コントロールか気配りか 
 飼い慣らすか慈しむか 
 決定済みか生きているか  
 「責任者は誰か」か「何をするのか」 

第四章 管理と手直し
 事実か目標値か 
 手段か修正子か 
 計算か調和か 
 医師を管理するのか、ともに手直しするのか 

第五章 個人と集団
 所与の個人か、ていねいな個人化か
 同類を集めるのか、カテゴリーを作るのか 
 健康的な行動か、助けになる環境か 
 隠れた勇士 

第六章 実践における善
 行為のなかの道徳 
 能動的な患者 
 ヘルスケアを改善する 
 翻訳 

謝辞 
註 
参照文献 


索引 


訳者あとがき 

著者について
アネマリー・モル(Annemarie Mol)  
1958年、オランダ、シャースベルフに生まれる。アムステルダム大学教授。人類学者、哲学者。主著に、The Body Multiple: Ontology in Medical Practice, Duke University Press, 2002〔邦訳:『多としての身体――医療実践における存在論』(浜田明範・田口陽子訳、水声社、2016)〕、共編著に、Difference in Medicine: Unraveling Practices, Techniques, and Bodies, Duke University Press, 1998、Care in Practice: On Tinkering in Clinics, Homes and Farms, Transcript Verlag, 2011 などがある。

訳者について
田口陽子(たぐちようこ)  
1980年、広島県に生まれる。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は文化人類学、南アジア地域研究。現在、県立広島大学新大学設置準備センター准教授。著書に、『市民社会と政治社会のあいだ――インド、ムンバイのミドルクラス市民をめぐる運動』(水声社、2018)、訳書に、デボラ・ジニス『ジカ熱――ブラジル北東部の女性と医師の物語』(共訳、水声社、2019)などがある。

浜田明範(はまだあきのり)  
1981年、東京都に生まれる。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は医療人類学、アフリカ地域研究。現在、関西大学社会学部社会システムデザイン専攻准教授。著書に、『薬剤と健康保険の人類学――ガーナ南部における生物医療をめぐって』(風響社、2015)、訳書に、マリリン・ストラザーン『部分的つながり』(共訳、水声社、2015)などがある。

関連書
市民社会と政治社会のあいだ――インド、ムンバイのミドルクラス市民をめぐる運動/田口陽子著/4000円+税
ジカ熱――ブラジル北東部の女性と医師の物語/デボラ・ジニス著/3000円+税
不信の支える信仰共同体――ネパールのプロテスタンティズムについての民族誌的研究/丹羽充著/4000円+税

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