11月の新刊:シェイクスピアのファースト・フォリオ――偶像となった書物の誕生と遍歴

2020年 11月 30日 コメントは受け付けていません。

SHAKESPEARE_cover2シェイクスピアのファースト・フォリオ
偶像となった書物の誕生と遍歴
ピーター・W・M・ブレイニー(著)
五十嵐博久(監訳)

判型:四六判上製
頁数:216頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0524-2 C0098
装幀:西山孝司
11月25日発売!

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人類にシェイクスピアを与えた本、その神秘のヴェールの裏側へ
シェイクスピアの没後まもなく刊行され、その作品群を後世に継承する礎となった、通称「ファースト・フォリオ」。今や天文学的な金額で取り引きされるこの聖像的な書物は、なぜ、またいかにして成立したのか?
17世紀ロンドンの印刷技術の紹介にはじまり、書物のディテールから見えてくる印刷所や植字工たちのありさま、印刷工程で書籍中に置き忘れられた物品のあれこれ、さらには愛書家たちの攻防までをも追いかける、書物が主人公の異色ドキュメンタリー。

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シェイクスピアが単独で書いたもの、または部分的にシェイクスピアが書いたものと認定されている39本の芝居のうち18本は、ファースト・フォリオによってのみ現在まで残っている。4本は、ファースト・フォリオが出版されていなければ、短く編集された不良本の形でしか残らなかっただろう。また、この他の17本のうち少なくとも半数は、私たちが知っている形とは多少なりともはっきりと違った状態で残っていただろう。ファースト・フォリオが「英語で書かれた本のうちで比類なく重要なもの」と呼ばれるのは、当然である。(本書より)


目次

日本語版に寄せて ピーター・W・M・ブレイニー

まえがき ワーナー・グンダースハイマー

はじめに
出版業者、役者、そして計画
目の見えない印刷業者とその息子
フォリオの印刷工程はいかにして再現されたのか
1622年から1622年にかけてジャガードが印刷した本
事前広告
本のつくり
植字工と単語の綴り
B植字工の重要性
10代の年季者
ページの組まれた順序
割付けの重要性
印刷を止めて行った修正
残っている校正刷り
他の出版業者との出版権利をめぐる交渉
『トロイラスとクレシダ』の問題
ウィリアム・ジャガードの死
シェイクスピアの肖像
出版権利の登録と調査
『トロイラス』の出版権利をめぐる新たな交渉
『トロイラス』の遅れた収録
ファースト・フォリオの3つの別版
納本用と献呈用のフォリオ
記録に残る最初の購入
フォリオはいくらだったのか?
フォリオの卸値
出版業者の利益
未製本、製本済み、または特注製本
注意散漫な製本師
出版当初にフォリオを購入した人々や所有した人々
劇場関係の所有者と利用者
ファースト・フォリオ廃れる
ファースト・フォリオへの関心の復活
ファースト・フォリオの解体と綴じ直し
扉表紙を捜し求めて
断片の末路
偉大なる蔵書家
「ギルバーンの」フォリオを求めて
フォルジャーがヴィンセント・フォリオを入手した経緯
フォルジャーはファースト・フォリオを何冊集めたのか?
なぜそこまで多くのフォリオを集めたのか?

訳注
索引
英和対照項目表

監訳者解説 なぜ、今、ファースト・フォリオを問うのか? 五十嵐博久
監訳者付記

著者・訳者について
ピーター・W・M・ブレイニー(Peter W. M. Blayney)  1944年、英国に生まれる。初期近代のロンドンにおける書籍出版業研究の第一人者。主な著書に、The Stationers’ Company and the Printers of London, 1501-1557(Cambridge University Press, 2013), The Bookshops in Paul’s Cross Churchyard(The Bibliographical Society, 1990), The Texts of ‘King Lear’ and Their Origins: Volume 1, Nicholas Okes and the First Quarto(Cambridge University Press, 1982)などがある。また近刊の著書に、The Printing and the Printers of The Book of Common Prayer, 1549-1561(Cambridge University Press)がある。
五十嵐博久(いがらしひろひさ)  1972年、福島県に生まれる。東洋大学教授(専門は英文学)。主な著書に、Comic Madness, or Tragic Mystery, That is the Question: The Loss of Comic Features and the Invention of the Tragic Mystery in Shakespeare’s ‘Hamlet’(Eihosha, 2013)、『英語世界のナビゲーション』(共著、青踏社、2003年)、訳書に、デイヴィッド・ニコル・スミス『18世紀のシェイクスピア』(共訳、大阪教育図書、2003年)などがある。

関連書
18世紀印刷職人物語/ニコラ・コンタ/2500円+税
文人伝――孔子からバルトまで/ウィリアム・マルクス/3200円+税
カズオ・イシグロと日本――幽霊から戦争責任まで/田尻芳樹・秦邦生編/3000円+税

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