3月の新刊:オペラ/音楽劇研究の現在
2021年 3月 12日 コメントは受け付けていません。
オペラ/音楽劇研究の現在
創造と伝播のダイナミズム
佐藤英・大西由紀・岡本佳子(編)
判型:A5判上製
頁数:379頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0555-6 C0073
装幀:滝澤和子
3月25日頃発売!
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新たな研究領野を切り拓く14のアプローチ!
音楽・テキスト・舞台が一体となったオペラや,バレエ・人形劇をはじめとする音楽劇に,どのようにアプローチすればよいか。作品解釈や演出手法のみならず,劇場の運営から上演作品の選定,政治・経済との関わりやマスメディアによる流通,地域ごとの特色から教育事業まで,地理的・歴史的要因を掛けあわせ総合的に考査する,オペラ/音楽劇研究の幕開け!
【目次】
まえがき 佐藤英
第Ⅰ部 オペラ/音楽劇の人的交流とレパートリー形成
「アカデミー」による舞台芸術への取り組み――オペラ誕生のもうひとつの側面 萩原里香
七年戦争後のベルリンで上演されたオペラ――ドレスデンとの比較から 大河内文恵
《ホヴァーンシチナ》が日の目を見るまで――1892年のキエフにおける舞台初演 神竹喜重子
白系ロシア人によるオペラ文化の伝播――1919,21年来日の「ロシア大歌劇団」の足跡をたどって 森本頼子
第Ⅱ部 オペラ/音楽劇と時代思潮
フランスの王立音楽アカデミー創立期におけるミュゼットの使用をめぐって 中村良
イザドラ・ダンカンとリヒャルト・ヴァーグナー――ドイツにおけるイザドラとヴァーグナー作品の公演活動を中心に 柳下惠美
日本におけるオペラ黎明期の〝プリマ・ドンナ〟表象――帝国劇場の柴田環と,文藝協会『故郷』(明治四五年)のマグダを中心に 大西由紀
バイロイト音楽祭とナチス・ドイツ興亡――ラジオ放送をめぐる実証的検証 佐藤英
第Ⅲ部 オペラ/音楽劇の作品研究
ラインハルト・カイザーの《クロイソス》――その時代背景,台本,音楽,舞踊,精神 荻野静男
ヴァーグナー《ニーベルングの指環》における為政者像と無政府主義的思想の表現 加藤恵哉
完成された個性――《木彫りの王子》における「人形」の役割 岡本佳子
團伊玖磨の「宇宙」――オペラ《ひかりごけ》を中心に 舘亜里沙
第Ⅳ部 オペラ/音楽劇の現代
「回想のオペラ」――過去に憑かれる現代オペラ演出 新田孝行
オペラ創作型プログラムの歴史的経緯と今日的意義――米国メトロポリタン・オペラ・ギルドの取り組みを例に 大野はな恵
あとがき 佐藤英
【編者/執筆者/訳者について】
佐藤英(さとうすぐる)
1975年,秋田県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在,日本大学准教授。専攻,ドイツ文化研究,放送文化史。主な著書に,『ドイツ文化事典』(共著,丸善出版,2020),主な訳書に,ミーシャ・アスター『第三帝国のオーケストラ』(共訳,早川書房,2009)などがある。
大西由紀(おおにしゆき)
1979年,愛媛県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在,東京大学大学院学術研究員。専攻,比較文学・翻訳論。主な著書に,『浅草オペラ 舞台芸術と娯楽の近代』(共著,2017)『日本語オペラの誕生』(2018,ともに森話社)などがある。
岡本佳子(おかもとよしこ)
1985年,東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在,神戸大学講師。専攻,舞台芸術学,西洋音楽史。主な著書に,『神秘劇をオペラ座へ』(松籟社,2019)がある。
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萩原里香(はぎはらりか)
1980年,石川県生まれ。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在,武蔵野音楽大学ほか非常勤講師。専攻,西洋音楽史,イタリア・オペラ。主な論文に,「マントヴァの宮廷ユダヤ人芸術家」(『東京藝術大学音楽学部紀要』第45巻)などがある。
大河内文恵(おおこうちふみえ)
愛知県生まれ。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(音楽学)。現在,東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校非常勤講師。専攻,西洋音楽史。主な論文に,「ハッセとウェーバーの間」(『東京藝術大学音楽学部附属高等学校研究紀要』第14集)などがある。
神竹喜重子(かみたけきえこ)
1982年,東京都生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在,日本学術振興会特別研究員PD。専攻,ロシア音楽史。主な論文に,「ロシアにおけるセルゲイ・ラフマニノフ受容」(博士論文,2015)などがある。
森本頼子(もりもとよりこ)
愛知県生まれ。愛知県立芸術大学大学院博士後期課程修了。博士(音楽)。現在,名古屋音楽大学ほか非常勤講師。専攻,西洋音楽史,ロシア音楽史。主な論文に,「18世紀ロシアにおける「改革オペラ」上演の実態」(『名古屋音楽大学研究紀要』第38号)などがある。
中村良(なかむらりょう)
1988年,埼玉県生まれ。武蔵野音楽大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(音楽学)。現在,早稲田大学総合研究機構招聘研究員。専攻,西洋音楽史,バロック舞曲。主な論文に,「ルイ一四世治下の王立音楽アカデミー(1671-1715)で上演された劇場作品における舞曲」(博士論文,2015)などがある。
柳下惠美(やぎしたえみ)
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在,早稲田大学准教授。専攻,文化史。主な論文に,“Isadora Duncan’s Early Career in the United States.” Congress on Research in Dance Conference Proceedings, Cambridge University Press, 2016や“Sada Yakko’s and Hanako’s Performances.” East Asian Theatres, Polish Institute of World Art Studies & Tako Publishing House, 2017などがある。
荻野静男(おぎのしずお)
1954年,岡山県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在,早稲田大学教授,早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所所長。専攻,オペラ/音楽劇研究,ドイツ語圏文化研究。主な著書に,『キーワードで読むオペラ/音楽劇研究ハンドブック』(共編著,アルテスパブリッシング,2017),主な訳書に,バルバラ・ボンハーゲ他『スイスの歴史』(共訳,明石書店,2010)などがある。
加藤恵哉(かとうけいすけ)
1988年,静岡県生まれ。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学,2021年三月に博士(文学)学位取得見込。現在,東海大学ほか非常勤講師。専攻,一九世紀ドイツ文化,ドイツ文学。主な論文に,「ワーグナー『恋愛禁制』における社会批判」(『上智ヨーロッパ研究』第九号)などがある。
舘亜里沙(たちありさ)
1987年,京都府生まれ。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(音楽学)。現在,東京藝術大学音楽研究センター教育研究助手。専攻,西洋音楽・オペラ演出。主な著書に,『音楽を通して世界を考える』(共著,東京藝術大学出版会,2020)がある。
新田孝行(にったたかゆき)
慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。現在,東京都立大学ほか非常勤講師。専攻,比較文学,音楽学。主な著書に,『芸術のリノベーション――オペラ・文字・映画』(共著,中央大学出版部,2020)などがある。
大野はな恵(おおのはなえ)
東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在,津田塾大学ほか非常勤講師。専攻,歌唱法研究,音楽教育。主な論文に,「「バロック歌唱」の成立と虚構性」(博士論文,2015)などがある。