4月の新刊:ミシェル・フーコー『コレージュ・ド・フランス講義』を読む

2021年 3月 16日 コメントは受け付けていません。

書影_フーコー講義録ミシェル・フーコー
『コレージュ・ド・フランス講義』を読む

佐藤嘉幸・立木康介(編)

判型:A5判上製
頁数:386頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0556-3 C0010
装幀:滝澤和子
4月上旬発売!

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ついに全貌をあらわしたコーパス。その深奥へ
瞠目の著作群を著す傍ら、13年にわたって続けられたコレージュ・ド・フランス講義は、人文科学の全域を講究するフーコーの思考のうねりそのものであった。苛烈な知性が遺しためくるめく言説の歴程を前期・中期・後期に分け、各時期の中核的主題を際立たせつつ、フーコー理論の真の骨格を抉出する初の試み!


目次

はじめに 佐藤嘉幸

第1部 前期Ⅰ――狂気,規範,言語

フーコーにおける「狂気」の言語の問題――後期思想との関連から 武田宙也

禁忌と真実の一致――「異常者たち」とはなにか 田中祐理子

脳科学の歴史と精神の科学の歴史をひとつの全体として考える――ミシェル・フーコーの『精神医学の権力』における神経学的身体の出現 エマニュエル・ドリール

第2部 前期Ⅱ――権力,国家,階級

国家装置から権力諸装置=配備へ――フーコー『刑罰の理論と制度』,『処罰社会』をめぐって 佐藤嘉幸

フーコー『刑罰の理論と制度』(一九七一―一九七二年)におけるアルチュセールの痕跡 エティエンヌ・バリバール

懲罰社会のその先へ――フーコー『懲罰社会』をめぐる一考察 相澤伸依

人民の回帰?――フーコー戦争論のポテンシャリティ 箱田徹

監獄という新たな前線の出現 ダニエル・ドゥフェール

第3部 中期――統治性,生権力,生政治

階級闘争,労働力,身体の政治――ミシェル・フーコーの著作におけるマルクスのテーマ系 サンドロ・メッザードラ

生命的‐主権的複合体――フーコーの人文科学批判の射程 藤田公二郎

生政治と予防接種 西迫大祐

生政治批判 マウリツィオ・ラッツァラート

第4部 後期――主体性,真理,パレーシア

主体性,批判,真理 フィリップ・サボ

規範化される生から規範をつくる生へ――カンギレムと八〇年代のフーコー 坂本尚志

パレーシアと精神分析 立木康介

倒錯者の不確かな肖像――最晩年講義録から『狂気の歴史』を読み直す 久保田泰考

恐れなき発言と抵抗 ジュディス・バトラー

あとがき 立木康介

編者/執筆者/訳者について
佐藤嘉幸(さとうよしゆき)
1971年生まれ。パリ第10大学大学院博士課程修了。博士(哲学)。専攻,哲学,思想史。現在,筑波大学人文社会系准教授。主な著書に,『権力と抵抗』(2008年),『新自由主義と権力』(2009年),『脱原発の哲学』(田口卓臣との共著,2016年,いずれも人文書院),『三つの革命』(廣瀬純との共著,講談社,2017年),主な訳書に,ミシェル・フーコー『ユートピア的身体/ヘテロトピア』(水声社,2013年),ジュディス・バトラー『権力の心的な生』(共訳,月曜社,改訂版2019年)などがある。
立木康介(ついきこうすけ)
1968年生まれ。パリ第8大学大学院博士課程修了。博士(精神分析)。専攻,精神分析。現在,京都大学人文科学研究所教授。主な著書に,『精神分析と現実界』(人文書院,2007年),『精神分析の名著』(編著,中公新書,2012年),『露出せよ,と現代文明は言う』(河出書房新社,2013年),『狂気の愛,狂女への愛,狂気のなかの愛』(水声社,2016年),『女は不死である』(河出書房新社,2020年)がある。

武田宙也(たけだひろなり)
1980年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専攻,哲学,美学。現在,京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。主な著書に,『フーコーの美学――生と芸術のあいだで』(人文書院,2014年),主な訳書に,ジャン・ウリ『コレクティフ』(共訳,月曜社,2017年)がある。
田中祐理子(たなかゆりこ)
1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。専攻,哲学,科学史。現在,京都大学白眉センター特定准教授。主な著書に,『病む,生きる,身体の歴史――近代病理学の哲学』(青土社,2019年),主な訳書に,グザヴィエ・ロート『カンギレムと経験の統一性――判断することと行動すること 1926-1939年』(法政大学出版局,2017年)などがある。
エマニュエル・ドリール(Emmanuel Delille)
1974年生まれ。専攻,科学史。現在,マインツ大学講師。主な著書に,Réseaux savants et enjeux classificatoires dans le traité de psychiatrie de l’Encyclopédie médico-chirurgicale (1947-1977) : l’exemple de la notion de psychose (EHESS, 2008) ; Henri Ellenberger, Ethno-psychiatrie, édition critique d’Emmanuel Delille (ENS Éditions, 2017)などがある。
エティエンヌ・バリバール(Étienne Balibar)
1942年生まれ。パリ第10大学名誉教授。専攻,政治哲学。主な著書に,『マルクスの哲学』(法政大学出版局,1995年),『市民権の哲学――民主主義における文化と政治』(青土社,2000年),『スピノザと政治』(水声社,2011年)などがある。
相澤伸依(あいざわのぶよ)
1980年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻,哲学,倫理学。現在,東京経済大学全学共通教育センター准教授。主な著書に,『暴力をめぐる哲学』(共著,晃洋書房,2019年),『現代フランス哲学入門』(共著,ミネルヴァ書房,2020年)などがある。
箱田徹(はこだてつ)
1976年生まれ。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程修了。博士(学術)。専攻,思想史,現代社会学。現在,天理大学准教授。主な著書に,『フーコーの闘争――〈統治する主体〉の誕生』』(慶應義塾大学出版会,2013年),主な訳書に,ミシェル・フーコー『悪をなし真実を言う――ルーヴァン講義1981』(共訳,河出書房新社,2015年)などがある。
ダニエル・ドゥフェール(Daniel Defert)
1937年生まれ。専攻,社会学。主な著書に,Une Vie politique(Seuil, 2014)などがある。
サンドロ・メッザードラ(Sandro Mezzadra)
1963年生まれ。専攻,政治哲学。現在,ボローニャ大学教授。主な著書に,『逃走の権利』(人文書院,2015年),『方法としての境界』(共和国,近刊),The Politics of Operations(Duke University Press, 2019)などがある。
藤田公二郎(ふじたこうじろう)
1980年生まれ。パリ東大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(哲学)。専攻,現代哲学。現在,西南学院大学准教授。主な論文に,« Pour une philosophie de la subjectivation. Étude sur Michel Foucault » (Thèse de Doctorat à l’Université Paris-Est, 2015)などがある。
西迫大祐(にしさこだいすけ)
1980年生まれ。明治大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専攻,法哲学,法史学。現在,沖縄国際大学准教授。主な著書に,『感染症と法の社会史』(新曜社,2018年)がある。
マウリツィオ・ラッツァラート(Maurizio Lazzarato)
1955年生まれ。専攻,社会学,哲学。主な著書に,『〈借金人間〉製造工場』(2012年),『戦争と資本』(エリック・アリエズとの共著,2019年,ともに作品社),『記号と機械』(共和国,2015年)などがある。
フィリップ・サボ(Philippe Sabot)
1969年生まれ。専攻,哲学。現在,リール第3大学教授。主な著書に,Lire Les mot et les chose de Michel Foucault(PUF, 2006)などがある。
坂本尚志(さかもとたかし)
1976年生まれ。ボルドー第3大学大学院哲学研究科博士課程修了。博士(哲学)。専攻,20世紀フランス思想史。現在,京都薬科大学准教授。主な著書に,『共にあることの哲学』(共著,書肆心水,2016年),『主体の論理・概念の倫理』(共著,以文社,2017年)などがある。
久保田泰考(くぼたやすたか)
1967年生まれ。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。専攻,精神医学,精神生理学・精神分析。現在,滋賀大学保健管理センター教授。主な著書に,『ニューロラカン――脳とフロイト的無意識のリアル』(誠信書房,2017年)などがある。
ジュディス・バトラー(Judith Butler)
1956年生まれ。イェール大学で博士号(哲学)を取得。現在,カリフォルニア大学バークレー校教授。主な著書に,『ジェンダー・トラブル――フェミニズムとアイデンティティの撹乱』(1999年),『アセンブリ――行為遂行性・複数性・政治』(2018年,ともに青土社),『問題=物質となる身体』(以文社,近刊)などがある。

清水雄大(しみずゆうだい)
1985年生まれ。リール大学博士課程修了。博士(哲学)。専攻,フランス哲学・思想。現在,獨協大学他非常勤講師。主な論文に,« « Être juste avec Foucault » : sur la conception de la psychanalyse chez le premier Foucault »(Études de langue et littérature françaises, 2018)などがある。

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