3月の新刊:亡霊論的テクスト分析入門
2021年 3月 31日 コメントは受け付けていません。
亡霊論的テクスト分析入門
高木信(著)
判型:四六判上製
頁数:370頁
定価:3800円+税
ISBN:978-4-8010-0564-8 C0095
装幀:宗利淳一
3月31日発売!
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この支配からの逃走=闘争!
第一義的意味(デノテーション)の拘束をかいくぐり、多義性・複数性に満ちた世界の実相へと迫るためにーー
物語理論、精神分析、ジェンダー批評などの枠組みも導入しながら、現代文学、歌詞、原発映画を細緻に読み解き、テクストに刻印された〈亡霊論〉的(=不確定的・多義的・攪乱的)な意味/認識/世界のあり方を闡明する、混沌の現代を見つめ直すためのテクスト分析入門。
豊饒なる複数性へと飛翔せよ!
***
〈亡霊〉は日常を決定的に変容させる。〈亡霊論〉的に生きること、〈亡霊論〉的に読むこととは、このような困難を引き受けることである。嘔吐を伴うような〈読む〉という行為、〈解釈〉する行為、〈批評〉する行為を遂行していくことが、〝われわれ〟の常識や思いこみ、抑圧的イデオロギーから身を翻し、逃走=闘争を可能とするはずなのだ。(「あとがき」より)
【目次】
長めの「はじめに」 亡霊論からテクストを読むとはどういうことか?
序章 〈亡霊〉とはなにか?――中世戦記文藝の窓から
第Ⅰ部 戦争をさまよう亡霊
第一章 原爆体験は混線して語られる――林京子「空缶」
第二章 敗戦を〝よろけ〟ながら歩く――梅崎春生「桜島」
第三章 戦争を〝とつとつ〟と歩く――梅崎春生「桜島」、山川方夫「夏の葬列」、田宮虎彦『沖縄の手記から』
第Ⅱ部 教室に取り憑く亡霊
第四章 死者と語りあう――川上弘美「花野」
第五章 秘密で女神を拘束する――三島由紀夫「美神」
第六章 語らぬ東北の〈女〉を動物化する――三島由紀夫「橋づくし」
第七章 教室のなかの噓と闘う――恩田陸「骰子の七の目」
第Ⅲ部 J-POPのなかの亡霊
第八章 〈話型〉からテクストを読む――J-POPで身につける読解の技法
第九章 女性たちは抑圧され搾取される――J-POPのジェンダー・バイアス
第Ⅳ部 放射性物質という亡霊
第十章 原発が〈不在の原因〉として潜勢化する――園子温監督作品『希望の国』
第十一章 亡霊としての放射性物質が攪乱する――園子温監督作品『希望の国』、太田隆文監督作品『朝日のあたる家』
終章 〈亡霊〉を読むとはどういうことか?――「誤解」ではなく「誤読」へ
参考文献一覧
キーワード索引
おわりに
初出一覧
【著者について】
高木信(たかぎまこと)
1963年、滋賀県生まれ。名古屋大学大学院博士後期課程満期退学。1996年に名古屋大学より博士(文学)を取得。専門は、軍記物語、日本語古典テクスト分析、ジェンダー分析、国語教育。学校法人東海学園東海中学・高等学校教諭を経て、2008年より相模女子大学教員。2021年現在、相模女子大学教授。
主な著書に、『平家物語・想像する語り』(森話社、2001年)、『平家物語――装置としての古典』(春風社、2008年)、『「死の美学化」に抗する――『平家物語』の語り方』(青弓社、2009年)、『亡霊たちの中世――引用・語り・憑在』(水声社、2020年)など、共編著に、安藤徹・高木信編『テクストへの性愛術』(森話社、2000年)、安藤徹・木村朗子・高木信編『日本文学からの批評理論――亡霊・想起・記憶』(笠間書院、2014年)などがある。
【関連書】
亡霊たちの中世/高木信/3800円+税
ナラトロジー入門/橋本陽介/2800円+税
物語における時間と話法の比較詩学/橋本陽介/7000円+税
モンタージュ小説論/小柏裕俊/3200円+税