10月の新刊『日本探偵小説論』
2010年 10月 7日 コメントは受け付けていません。
日本探偵小説論
四六判上製/444頁/定価4000円+税ISBN978-4-89176-801-0 C0095 10月8日頃発売!
真犯人、それは《近代日本》なのか !?
関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。
『ミステリ・マガジン』2005年1月号〜10年6月号まで、
足かけ6年、66回にわたって好評連載された、
「夜の放浪者たち—-モダン都市小説における探偵小説未満」に
加筆し、まったく新たに再構成した決定版、ついに刊行!
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《目次》
序
第1章 亂歩変幻
1 泥棒にもプロレタリアにもなれず
2 恐ろしき分身ゲームの果てに
3 空の空なる空気男
4 青の時代前史 黒石と綺堂
5 帝国主義下の探偵小説
第2章 天使のいない街
1 モダン都市の前景
2 川端康成における探偵小説未満
3 地震の娘と『浅草紅団』
4 『雪国』への撤退は何を意味するか
5 地震の天使もう一人
6 大震災余話
7 赤いプロレタリアの天使
第3章 夜の放浪者たち
1 江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」
2 地味井平造「煙突奇談」
3 稲垣足穂「瓶詰奇談」
4 大阪圭吉「デパートの絞刑吏」
5 花田清輝「七」
6 尾崎翠『第七官界彷徨』
7 ブラッサイと夜の眼
8 写真家から探偵へ
9 遊民から探偵へ ベンヤミンの天使
10 内田百間、債鬼に追われる放浪者
11 残夢三昧・百間三昧
12 谷崎潤一郎、妻殺しの放浪者
13 谷崎潤一郎『黒白』
14 幻の女に焦がれて
第4章 上海された男たち
1 私には上海が絶対に必要であった。
2 映画のなかの〈上海〉
3 魔都としての上海
4 放浪と故郷喪失と帰還と
5 マボロシの上海小説ひとつ
6 金子光晴「芳蘭」とはどういう小説か
7 金子光晴から横光利一へ
8 横光利一『上海』ヴァリアント
9 天使と糞
第5章 放浪の終わり 探偵小説の完成
1 浜尾四郎における昭和十年代前期
2 浜尾四郎「彼が殺したか」
3 木々高太郎と漱石
4 木々高太郎「完全不在証明」
5 木々高太郎『人生の阿呆』
6 探偵小説の形式はいまだ発見されていない
7 木々高太郎「文学少女」
8 木々高太郎『折蘆』
9 小栗虫太郎「三重分身者の弁」
10 小栗虫太郎「完全犯罪」
11 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
12 『黒死館殺人事件』とユダヤ人問題
13 小栗虫太郎「寿命帳」
14 小栗虫太郎「白蟻」
第6章 消されたレポート
第7章 戦後探偵小説の一側面
1 小栗虫太郎「悪霊」
2 久生十蘭『ココニ泉アリ』
3 橘外男『妖花 ユウゼニカ物語』
4 ポストコロニアル小説としての『雪国』
5 ポストコロニアル小説としての『浮雲』
6 江戸川乱歩『ぺてん師と空気男』
7 内田百間「東海道刈谷駅」
8 谷崎潤一郎『残虐記』
9 谷崎潤一郎『鍵』
10 橘外男『私は前科者である』
11 野口赫宙『ガン病棟』
出典・参考文献
人名索引
あとがき