11月の新刊:ドストエフスキーとの対話

2021年 11月 17日 コメントは受け付けていません。

ドストエフスキーとの対話ドストエフスキーとの対話
井桁貞義+伊東一郎(編)

判型:A5判上製
頁数:408頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0607-2 C0097
装幀:西山孝司
11月下旬頃発売!

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ドストエフスキーは常に新しい
急激な西欧化の矛盾に直面する19世紀ロシアで、ドストエフスキーはどのように書いたのか。
同じく近代化を遂げた明治・大正期の日本で、ドストエフスキーはどのように読者の心をとらえ、そして21世紀にいたるまで読みつがれ、研究されてきたのか。
本年で生誕200年を迎えた作家を13名の執筆者が様々な角度から論じる。




目次
まえがき――ドストエフスキーは未来と対話する 伊東一郎


日本におけるロシア文学 新谷敬三郎

大地―聖母―ソフィア 井桁貞義

ドストエフスキーは細部に宿る――『カラマーゾフの兄弟』を翻訳して 杉里直人 

タルコフスキーとドストエフスキーの対話――『サクリファイス』と『白痴』 坂庭淳史 

『罪と罰』における「新しいエルサレム」と「永遠の生命」――聖書マテリアルの一貫性について 上西惠子 

《大審問官》とオドエフスキー《ベートーヴェンの最後の四重奏曲》比較研究――対話表現の変遷を中心に 泊野竜一 

「西欧とロシア」の問題をめぐる二人の思想家――帰一派の思想家コンスタンチン・ゴールボフとドストエフスキー 齋須直人

帝政ロシア読書史のなかのドストエフスキー――「残酷な才能」から国民的作家へ 貝澤哉 

ソ連後期のフェミニズム思想とドストエフスキー 高柳聡子 

新聞記事に現れたドストエフスキー――明治・大正・昭和・平成 桜井厚二

堀田善衛のドストエフスキー観――堀田作品をカーニヴァル論で読み解く 高橋誠一郎 

「ポリフォニー」小説とは何か――「音楽」形式から「声」の現象へ 伊東一郎 

「国際ドストエフスキー協会」と日本の「ドストエーフスキイの会」の関係の歴史――およびモスクワでの「国際シンポジウム」のこと 木下豊房


あとがき――ドストエフスキーの尽きない泉 井桁貞義


編者・執筆者について
井桁貞義(いげたさだよし)  
1948年生まれ。早稲田大学名誉教授。専攻、ロシア文学、比較文学、異文化コミュニケーション論。著書に、『ドストエフスキイ・言葉の生命』(群像社、2003年)、『ドストエフスキイと日本文化――漱石・春樹、そして伊坂幸太郎まで』(教育評論社、2011年)、『スラヴャンスキイ・バザアル――ロシアの文学・演劇・歴史』(共編著、水声社、2020年)などが、訳書に、ドストエフスキー『やさしい女・白夜』(講談社、2010年)などがある。
伊東一郎(いとういちろう)  
1949年生まれ。早稲田大学名誉教授。専攻、ロシア文学、ロシア音楽文化史、スラヴ比較民族学。著書に、『マーシャは川を渡れない――文化の中のロシア民謡』(東洋書店、2001年)、『ガリツィアの森――ロシア・東欧比較文化論集』(水声社、2019年)などが、訳書に、『ラフマーニノフ歌曲歌詞対訳全集』(恵雅堂出版、2017年)、カマル・アブドゥッラ『欠落ある写本』(水声社、2017年)などがある。

新谷敬三郎(あらやけいざぶろう)  
1922年生まれ。1995年に没する。早稲田大学名誉教授。専攻、ロシア文学。著書に、『ドストエフスキイの方法』(1974年)、『ドストエフスキイと日本文学』(1976年、いずれも海燕書房)、『『白痴』を読む』(白水社、1979年)、訳書に、バフチン『ドストエフスキイ論――創造方法の諸問題』(冬樹社、1974年)などがある。
杉里直人(すぎさとなおと)  
1956年生まれ。ロシア文学研究者・翻訳者。専攻、19世紀ロシア文学・文学理論。著書に、『論集 ドストエフスキーと現代』(共著、多賀出版、2001年)、『ロシアフォークロアの世界』(共著、群像社、2005年)などが、訳書に、バフチン『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネサンスの民衆文化』(『ミハイル・バフチン全著作』第7巻、2007年)、ドストエフスキー『詳注版 カラマーゾフの兄弟』(2020年、いずれも水声社)などがある。
坂庭淳史(さかにわあつし)  
1972年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専攻、19世紀ロシア詩・思想、比較文学。著書に、『フョードル・チュッチェフ研究――19世紀ロシアの「自己意識」』(マニュアルハウス、2007年)、『プーシキンを読む――研究のファースト・ステップ』(ナウカ出版、2014年)などが、訳書に、アルセーニー・タルコフスキー『雪が降るまえに』(鳥影社、2007)、プーシキン『大尉の娘』(光文社、2019年)などがある。
上西惠子(うえにしけいこ)  
1960年生まれ。専攻、ロシア文学。論文に、「『大尉の娘』における新しい世襲貴族像」(早稲田大学ロシア文学会、2010年)などがある。
泊野竜一(とまりのりょういち)  
1976年生まれ。専攻、ロシア文学。論文に、「ドストエフスキーの劇詩《大審問官》とアンドレーエフの短編小説『沈黙』における長広舌と沈黙との対話の比較」(『ムンド・エルサヴォ』第16号、グラナダ大学、2017年)、「福田恒存演出『罪と罰』における作品理解」(『ドストエフスキー――表象とカタストロフィ』名古屋外国語大学出版会、2021年)などがある。
齋須直人(さいすなおひと)  
1986年生まれ。日本学術振興会特別研究員(早稲田大学文学学術院)。専攻、ロシア文学、ロシア思想史。論文に、「ドストエフスキーのキリスト教的価値観と対話的小説世界」(『現代思想 総特集=ドストエフスキー』青土社、2021年)、「ロシアの学校教育科目「文学」の教科書に見るドストエフスキー」(『ドストエフスキー――表象とカタストロフィ』名古屋外国語大学出版会、2021年)などがある。
貝澤哉(かいざわはじめ)  
1963年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専攻、ロシア文学。著書に、『引き裂かれた祝祭 バフチン・ナボコフ・ロシア文化』(論創社、2008年)、『再考ロシア・フォルマリズム――言語・メディア・知覚』(共著、せりか書房、2012年)などが、訳書に、レオニード・アンドレーエフ『印象主義運動』(1994年)、イーゴリ・ゴロムシトク『全体主義芸術』(2007年、いずれも水声社)、ナボコフ『偉業』(光文社、2016年)などがある。
高柳聡子(たかやなぎさとこ)
1967年生まれ。早稲田大学非常勤講師。専攻、ロシア現代文学、女性文学、ジェンダー史。著書に、『ロシアの女性誌――時代を映す女たち』(群像社、2018年)などが、訳書に、レフ・ヴィゴツキイ『記号としての文化――発達心理学と芸術心理学』(水声社、2006年)、イリヤー・チラーキ『集中治療室の手紙』(群像社、2019年)などがある。
桜井厚二(さくらいこうじ)
1972年生まれ。早稲田大学、専修大学非常勤講師。専攻、19世紀ロシア文学、読者受容理論。著書に、『現代用語としての「ドストエフスキー」』(東洋書店、2000年)、『21世紀 ドストエフスキーがやってくる』(共著、集英社、2007年)、『現代ロシアを知るための60章』(共著、明石書店、2012年)などがある。
高橋誠一郎(たかはしせいいちろう)
1949年生まれ。元東海大学教授。専攻、ロシア文学、比較文学、文明論。著書に、『堀田善衞とドストエフスキー――大審問官の現代性』(群像社、2021年)、『「罪と罰」の受容と「立憲主義」の危機――北村透谷から島崎藤村へ』(2019年)、『黒澤明で「白痴」を読み解く』(2011年)、『ロシアの近代化と若きドストエフスキー――「祖国戦争」からクリミア戦争へ』(2007年、いずれも成文社)などがある。
木下豊房(きのしたとよふさ)
1936年生まれ。千葉大学名誉教授。1995年より国際ドストエフスキー協会(IDS)副会長。ドストエーフスキイの会代表。専攻、ロシア文学、比較文学。著書に、『ドストエフスキー――その対話的世界』(成文社、2002年)、『ドストエフスキーの作家像』(鳥影社、2016年)などが、訳書に、アンナ・ドストエフスカヤ『ドストエーフスキイ夫人アンナの日記』(河出書房新社、1979年)、Я・Э・ゴロソフケル『ドストエフスキーとカント――『カラマーゾフの兄弟』を読む』(みすず書房、1988年)などがある。

関連書】(価格税別)
詳注版 カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー/杉里直人訳/18000円
ドストエフスキーと小説の問い 番場俊/5000円
ミハイル・バフチン著作集 全7巻
スラヴャンスキイ・バザアル――ロシアの文学・演劇・歴史 井桁貞義+伊東一郎編/6000円
ガリツィアの森――ロシア・東欧比較文化論集 伊東一郎/5000円

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