12月の新刊:スペインの歴史的現実
2021年 12月 16日 コメントは受け付けていません。
スペインの歴史的現実
アメリコ・カストロ(著)
本田誠二(訳)
判型:A5判上製
頁数:628頁+別丁8頁
定価:8000円+税
ISBN:978-4-8010-0614-0 C0022
装幀:齋藤久美子
1月上旬頃発売!
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失われたスペイン人の〈生の住処〉を探して
スペイン民族のアイデンティティの起源を、13世紀初頭における三つの血統――キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ人――の間の共存と緊張関係のなかに求め、ヨーロッパ人とは異質のスペイン人の血統主義の様相と、サンティアゴ信仰の実相をも明らかにする。
異色の文学的手法でスペイン史の根源に迫った前著『歴史のなかのスペイン』の巻き起こした賛否両論に応え、歴史学に特化したアプローチによる、文芸批評家=歴史学者アメリコ・カストロ畢生の大著。
《いつの日か、スペイン人が自らの硬直化した、しばしば大仰に見せつける人格主義――もはや役立たずの生粋主義と帝国主義の置き土産である――の代わりに、真正なるスペイン的生という名の木の三つの枝に生る、偉大で豊穣なる果実のすべてに、鷹揚に身を委ねるという決心をする日が来るであろう。真正なるスペイン的生とは、自らの過去を否認することなくそのままの姿で認め、そこにスペイン的な精力を注ぎながら、行動や思想や生的表現における三者(キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ人)における創造性と開かれた可能性をもつすべてを評価する、というものである。》(本文より)
【目次】
一九六五年における序
スペイン人読者に宛てた本改装版の前篇に対する序文
第一章 問題の設定――架空ならざる現実を求めて
第二章 三つの宗教的血統が織りなす結果としてのスペイン人
第三章 不確実性と確実性の歴史
第四章 理論的仮説――問題の設定
第五章 ローマ・ヒスパニアにも西ゴートにもスペイン人は存在しなかった
第六章 スペイン的生を構成する状況としてのアル・アンダルス
第七章 スペイン的生におけるイスラムの直接的にして遠い影響
第八章 より良い社会秩序を求めて――願望と現実
第九章 ヨーロッパ・キリスト教の反応――ガリシアのサンティアゴ
第十章 サンティアゴ――国際的魅力
第十一章 キリスト教の三大騎士団のイスラム的視界
補遺
原註
訳註
索引
訳者解説 本田誠二
【著者について】
アメリコ・カストロ(Américo Castro)
1885年に生まれ、1972年に没する。現代スペインを代表する歴史家・文芸批評家。おもな著書に、本書のほか、『セルバンテスの思想』(1925年。本田誠二訳、法政大学出版局、2004年)、『歴史のなかのスペイン』(1948年。本田誠二訳、水声社、2020年)、『セルバンテスへ向けて』(1957年。本田誠二訳、水声社、2008年)、『セルバンテスとスペイン生粋主義』(1967年。本田誠二訳、法政大学出版局、2006年)などがある。
【訳者について】
本田誠二(ほんだせいじ)
1951年、東京に生まれる。東京外国語大学大学院外国語学研究科(ロマンス語系言語)修了。現在、神田外語大学外国語学部教授。専攻、スペイン黄金世紀文学。おもな著書に、『セルバンテスの芸術』(2005年)、『セルバンテスの批評』(編著、2018年)などが、おもな訳書に、カルロス・フエンテス『テラ・ノストラ』(2016年)、『セルバンテス全集』(共訳、2016-2018年、以上いずれも水声社)などがある。
【関連書】
歴史のなかのスペイン――キリスト教徒、モーロ人、ユダヤ人 アメリコ・カストロ/本田誠二訳/8000円
スペイン人とは誰か――その起源と実像 アメリコ・カストロ/本田誠二訳/8000円
スペインとスペイン人――〈スペイン神話〉の解体 フアン・ゴイティソロ/本田誠二訳/3000円
セルバンテスへ向けて アメリコ・カストロ/本田誠二訳/10000円
セルバンテス全集
セレスティーナ フェルナンド・デ・ロハス 岡村一訳/4000円
ラサリーリョ・デ・トルメスの人生 岡村一訳/2500円