3月の新刊:危機の時代からみた都市——歴史・美術・構想
2022年 3月 14日 コメントは受け付けていません。
危機の時代からみた都市
歴史・美術・構想
坂上桂子(編)
判型:A5判上製
頁数:445頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0634-8 C0052
装幀:滝澤和子
3月下旬頃発売!
都市の再生とアート
グローバリゼーションの果てに、環境問題、経済格差、人口問題、は加速し、災厄は地球規模で生じるようになった。自然災害、戦争、テロ、そして未曾有の感染症まで、危機が都市を覆い囲む今、われわれに見えてくるものとは何か? 建築、土木、都市計画、社会学、美術史、文学、思想の観点から、都市の過去をたどり、未来の都市の姿を探る。
【目次】
まえがき
第一部 危機の時代の社会と都市、構想と未来
「危機の時代」における日本の都市/長田攻一
都市の未来と道路:空間とネットワーク/大石久和
ポストCOVID都市のための社会インフラとは何か?/マチウ・ベルジェ、ジョフレ・グリュロワ
ブリュッセルの自転車専用交通網の発展に対するCOVID-19のインパクト:戦術的都市計画と美的経験/クレール・ペルグリムズ
車の道から歩く道、自転車の道、走る道へ:都市の困難と再生/河野昌広
第二部 都市の創造と再生
建築・都市は、災厄からいかに蘇ることができるのか/古谷誠章
創造的手法としてのノーテーション/藤井由理
「小さな手つき」で実現するアートのまち:天王洲における小規模継続的整備によるエリア価値の再構築/山村崇
朝日の昇る国のメガシティの芸術と文化:ブラジル、サンパウロの場合/マーティン・グロスマン
第三部 都市の歴史と文化
古典古代の疫病と都市:文学作品における描写/宮城徳也
墓のある都市景観:秦始皇帝陵の陵園と魂の巡遊/楢山満照
十八、十九世紀における朝鮮の文人知識人層による園芸趣味/鄭珉
地底都市の美しき生活:タルド『未来史の断片』を読む/池田祥英
第四部 都市の表象と美術
二十年後、ニューヨークの9・11に応答し制作された芸術を振り返る:ゲルハルト・リヒター、エリック・フィッシュル、中川直人、ロズ・ダイモンを通して/ゲイル・レヴィン
ニューヨークの画家 木村利三郎:都市の表象と〈9・11〉/坂上桂子
荒川修作+マドリン・ギンズの都市構想「Reversible Destiny City/天命反転都市」:プラネタリー・アーバニゼーションの時代に/田中綾子
モダンアートの「反転」とミュージアムの変容:ダダからパンデミックへ/塚原史
東京ステーションギャラリーの戦略:都市型私立美術館の課題と限界/冨田章
謝辞
【編者/執筆者/訳者について】
坂上桂子(さかがみけいこ)
早稲田大学文学学術院教授。都市と美術研究所所長。専攻は、美術史。主な著書に、『ベルト・モリゾ ある女性画家の生きた近代』(小学館、2006年)、『ジョルジュ・スーラ 点描のモデルニテ』(ブリュッケ、2014年)、主な訳書にリンダ・ノックリン『絵画の政治学』(筑摩書房、2021年)などがある。
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長田攻一(おさだこういち)
早稲田大学名誉教授。都市と美術研究所顧問。専攻は、社会学。主な著書に、『対人コミュニケーションの社会学』(学文社、2008年)、『〈つながる/つながらない〉の社会学』(共編著、弘文堂、2014年)などがある。
大石久和(おおいしひさかず)
日本建設技術協会会長、国土学総合研究所所長(オリエンタルコンサルタンツ最高顧問)。都市と美術研究所招聘研究員。専攻は、国土学。主な著書に、『国土と日本人――災害大国の生き方』(中央公論新社、2012年)、『国土学――国民国家の現象学』(共著、北樹出版、2016年)などがある。
マチウ・ベルジェ(Mathieu Berger)
ルーヴェンカトリック大学教授。専攻は、社会学。主な著書に、Designing Urban Inclusion(Metrolab Series,2018)、The Lifetime of a Policy(CIVA,2019)、Whose Future Is Here? Searching for Hospitality in Brussels Northern Quarter(Metrolab series,2020)などがある。
ジョフレ・グリュロワ(Geoffrey Grulois)
ブリュッセル自由大学教授。都市と美術研究所招聘研究員。専攻は、都市計画。主な著書に、Designing Territorial Metabolism: Barcelona,Brussels and Venice(Jovis,2018)、Designing Brussels Ecosystems(Metrolab series,2020)、(Designing)Urban Production(Metrolab series,2021)などがある。
クレール・ペルグリムズ(Claire Pelgrims)
ブリュッセル自由大学/ギュスターヴ・エッフェル大学(フランス)研究員。専攻は、都市計画、建築。主な論文に、 “Tension between Fast and Slow Mobilities:Examining the Infrastructuring Processes in Brussels(1950-2019)through the Lens of Social Imaginaries”(Transfers, 9(3))などがある。
河野昌広(こうのまさひろ)
早稲田大学文学学術院助手。都市と美術研究所研究員。専攻は、社会学。主な著書に、『デジタルメディア・トレーニング――情報化時代の社会学的思考法』(共著、有斐閣、2007年)などがある。
古谷誠章(ふるやのぶあき)
建築家。早稲田大学理工学術院教授。都市と美術研究所研究員。1986年文化庁芸術家在外研究員としてスイスの建築家マリオ・ボッタの事務所に在籍。1994年にNASCAを設立。日本芸術院賞、日本建築大賞ほか多数受賞。主な著書に、『建築家っておもしろい 古谷誠章+NASCAの仕事』(文屋、2014年)、『NOBUAKI FURUYA, 179 WORKS 1979-2013』(建築メディア研究所、2014年)などがある。
藤井由理(ふじいゆり)
建築家。早稲田大学理工学術院教授。都市と美術研究所研究員。専攻は、建築計画、建築理論。主な論文に、「ル・コルビュジエのロンシャンの礼拝堂にみる建築空間の特質――ピュリスム絵画の分析と感覚を誘発する方法を通して」(学位論文、早稲田大学、2021年)、主な建築作品に新宮島邸などがある。
山村崇(やまむらしゅう)
早稲田大学高等研究所准教授。都市と美術研究所研究員。専攻は、都市計画学。主な著書に、『東京大都市圏における社会経済構造の変化に伴う郊外産業圏域の変容』(早稲田大学出版部、2015年)、『無形学へ』(共著、水曜社、2017年)などがある。
マーティン・グロスマン(Martin Grossmann)
サンパウロ大学教授。専攻は、ミュージアム・スタディーズ、ヴィジュアル・スタディーズ。「Forum Permanente」主宰。主な著書に、Reflexive Overview: The State of São Paulo Annual Museum Conference:11 years of reflections and discussions(Author and organiser,Trilingual online book,Forum Permanente, 2021) などがある。
宮城徳也(みやぎとくや)
早稲田大学文学学術院教授。都市と美術研究所研究員。専攻は、西洋古典学。主な著書に、『はじめて学ぶラテン文学史』(共著、ミネルヴァ書房、2008年)、主な訳書に、『ローマ喜劇集4』(共訳、京都大学学術出版会、2002年)などがある。
楢山満照(ならやまみつてる)
女子美術大学准教授。都市と美術研究所招聘研究員。専攻は、東アジア美術史。主な著書に、『蜀の美術――鏡と石造遺物にみる後漢期の四川文化』(早稲田大学出版部、2017年)などがある。
鄭珉(ジョン・ミン)
漢陽大学人文大学校教授。専攻は、韓国漢文学・文化史。主な著書に、『18世紀朝鮮知識人の発見』(Humanist, 2007)、『18世紀韓中知識人の文藝共和国』(Munhakdongne, 2014)、『韓国の茶書』(Gimm-Young Publishers, Inc.,2020)などがある。
池田祥英(いけだよしふさ)
早稲田大学文学学術院准教授。都市と美術研究所研究員。専攻は、社会学史、犯罪学。主な著書に、『タルド社会学への招待』(学文社、2009年)、主な訳書に、ガブリエル・タルド『模倣の法則』(共訳、河出書房新社、新装版、2016年)などがある。
ゲイル・レヴィン(Gail Levin)
ニューヨーク市立大学特別教授。都市と美術研究所招聘研究員。専攻は、美術史。主な著書に、Edward Hopper:An Intimate Biography(Knopf,1995)、Becoming Judy Chicago:A Biography of the Artist(Harmony Books,2007)、Lee Krasner: A Biography(William Morrow,2011)などがある。
田中綾子(たなかあやこ)
東京国立近代美術館研究補佐員。都市と美術研究所招聘研究員。専攻は、表象文化論。主な論文に、「マルセル・デュシャン『アネミック・シネマ』再考――光学実験・螺旋・パタフィジック」(『WASEDA RILAS JOURNAL』 No.6)などがある。
塚原史(つかはらふみ)
早稲田大学名誉教授。都市と美術研究所顧問。専攻は、フランス現代思想、ダダ・シュルレアリスム研究。主な著書に、『ダダイズム――世界をつなぐ芸術運動』(岩波書店、2018年)、主な訳書に、ジャン・ボードリヤール『芸術の陰謀』(NTT出版、2011年)などがある。
冨田章(とみたあきら)
美術史家、東京ステーションギャラリー館長。都市と美術研究所招聘研究員。専攻は、フランス、ベルギー、日本の近代美術史。主な著書に、『偽装された自画像――画家はこうして嘘をつく』(祥伝社、2014年)、『印象派BOX』(講談社、2018年)、『ゴッホ作品集』(東京美術、2021年)などがある。
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慎ディア(シン・ディア)
早稲田大学大学院博士後期課程在籍。専攻は、近代西洋・朝鮮美術史。主な論文に、「カミーユ・ピサロのルーアン版画作品――『古い通り』を中心に」(『美術史研究』56)がある。
玉井貴子(たまいたかこ)
早稲田大学會津八一記念博物館学芸員、武蔵野大学非常勤講師。専攻は、アメリカ美術史。主な論文に、「ジョージア・オキーフとアルフレッド・スティーグリッツに関する一考察」(『美術史研究』52)がある。