10月の新刊:帝国の祭典――博覧会と〈人間の展示〉
2022年 9月 26日 コメントは受け付けていません。
帝国の祭典
博覧会と〈人間の展示〉
小原真史(著)
判型:B5変判並製
頁数:120頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0661-4 C0070
装幀:木村稔将
10月中旬頃発売!
1851年にロンドンで始まった万博。そこでは産業製品が示す明るい未来への欲望と異国の品々が掻き立てる遠方への欲望が交叉し、壮大なスペクタクルをつくり出していた。やがて博覧会は、商品と娯楽の殿堂となり、植民地帝国の威容を示す舞台装置となり、異文化との出会いの場となった。
非西洋の集落をまるごと再現した〈ネイティヴ・ヴィレッジ〉、「異質」な身体を見世物にしたフリークショー、日本初の〈人間の展示〉施設となった人類館……。人々は新たに出会った他者をどのように展示し、世界を認識しようとしたのか。著者による膨大な博覧会資料コレクションから、見ること/見せることをめぐる欲望を問う。
【目次】
はじめに
1章 産業の祭典
2章 動物と人間のあわいに
3章 博覧会と旅行
4章 興行師と見世物
5章 エキゾチックな身体とパフォーマー
6章 博覧会における日本
7章 「文明」と「野蛮」のコントラスト
8章 人類学展示
9章 異文化との接触
10章 博覧会と娯楽施設
11章 複製される博覧会
12章 植民地展示の隆盛と終焉
帝国の祭典─博覧会と〈人間の展示〉(論考)
参考文献
【著者について】
小原真史(こはらまさし)
1978年、愛知県に生まれる。早稲田大学卒業、多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程修了。現在、東京工芸大学准教授。2005年に「中平卓馬試論」で重森弘淹写真評論賞、2016年に第24回写真協会賞学芸賞を受賞。主な著書に、『時の宙づり――生・写真・死』(共著、IZU PHOTO MUSEUM、2010年)、『富士幻景――近代日本と富士の病』(IZU PHOTO MUSEUM、2011年)、『戦争と平和――〈報道写真〉が伝えたかった日本』(共著、平凡社、2015年)、『森の探偵――無人カメラがとらえた日本の自然』(共著、亜紀書房、2017年)などがある。監督作品に、『カメラになった男――写真家中平卓馬』(2003年)。IZU PHOTO MUSEUM研究員として企画した主な展覧会に、「荒木経惟写真集展 アラーキー」、「小島一郎 北へ/北から」展、「宮崎学 自然の鉛筆」展、「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展が、そのほかの展覧会に「イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」展(KYOTOEXPERIMENT 2021 SPRING)、「スペクタクルの博覧会」展(第14回恵比寿映像祭)などがある。
【関連書】
〈ニグロ〉芸術の思想文化史――フランス美術界からネグリチュードへ/柳沢史明/5,000円+税
異貌のパリ 1919-1939――シュルレアリスム、黒人芸術、大衆文化 澤田直編/4,000円+税