10月の新刊:開かれた時空――遠近法から本のアートへ
2022年 9月 26日 コメントは受け付けていません。
開かれた時空
遠近法から本のアートへ
森田一(著)
判型:A5判上製
頁数:456頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0650-8 C0070
装幀:大溝裕(Glanz)
10月中旬頃発売!
世界の統合/表象の小宇宙
我々は世界をどのように認識し、アートはそれをいかに表象しているのか? 〈遠近法〉と〈本のアート〉をテーマに、近代を超え出る新たな時空の可能性を探る美術論集。併せて、著者が携わった川口現代美術館とうらわ美術館についての覚え書きを付す。
【目次】
まえがき――本書の趣旨と構成
【俯瞰】個人的経験と問題関心
【近景】遠近法と本のアート
Ⅰ 逆説の遠近法――規定的時空間とその変容
空間の変異譚――遠近法をめぐる現代の試み
近接する世界――榎倉康二・写真のしごと
現代のアナモルフォーズ――鯨津朝子・旋回する表象
視覚のゆらぎ――小本章・写真のデジタルイメージ
沈下する時間――土屋公雄・来歴
火と光と時間をめぐる断想――渡辺好明・光ではかられた時
Ⅱ 本のオブジェのための後からの前提
オブジェ考、断片としての世界――新興美術運動からもの派まで
Ⅲ 本のアートの沃野―可変的時空間とその可能性
詩と彫刻の融点――「活字」と「絵」が出会う三つの場
オブジェの方へ――本のアートの入口あたりの断片的な話
これも「本」である――本のオブジェについて
アートとしての本を見る、考える――本のアートの可能性
「余技ではない」――劉生の自我と装丁
本を絵で包む――山本容子の本の「詩し 如ごと」
本のフェティシズム――中村宏《機械学宣言》《機甲本イカルス》
火のオブジェ、本を焼く――西村陽平《新修漢和大字典》・荒木高子《砂の聖書》
開かれた関係と構造――李禹煥《出会いを求めて》《作品》
まやかしの本――松澤宥《日本の文化財 病人食物調理法》
記憶装置としての本――村岡三郎《アイアン・ブック》
吸い取る本、浸透する本――河口龍夫《熱》《青い線》《銅の髪》《種子のノート》
本の時間と空間、小さな振動尺――若林奮の本の作品
本という反近代的素材あるいは開かれたメディア――河口龍夫の本の作品
Ⅳ 本のアートの広がり
氾濫するイメージ――反芸術以後の印刷メディアと美術1960’s ―70’s
【遠景】背景としての美術館
川口現代美術館から
うらわ美術館へ
【資料編】
近景編資料
主要参考文献
初出一覧
図版一覧
遠景編資料
川口現代美術館主要展覧会記録
川口現代美術館スタジオ設立趣意
川口現代美術館と川口現代美術館スタジオの「あいだ」
川口現代美術館スタジオ展覧会記録
あとがき
【著者について】
森田一(もりたはじめ)
1955年、高知県に生まれる。法政大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了。斎藤記念川口現代美術館学芸員、うらわ美術館学芸員をへて、現在、近現代美術研究および展覧会企画に携わる。おもな展覧会企画には、「スピリチュアリズムへ・松澤宥 1954-1997」(1997年)、「水邊の言語オブジェ 吉増剛造――詩とオブジェと写真」(1998年、いずれも斎藤記念川口現代美術館)などが、おもな著書には、『ブック・アートの世界――絵本からインスタレーションまで』(共著、水声社、2006年)がある。