11月の新刊:ガルシア・マルケス論
2022年 10月 31日 コメントは受け付けていません。
ガルシア・マルケス論
神殺しの物語
マリオ・バルガス・ジョサ(著)
寺尾隆吉(訳)
判型:四六判上製
頁数:538頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0675-1 C0098
装幀:Gaspard Lenski
11月中旬頃発売!
“作家がテーマを選ぶのではなく、テーマが作家を選ぶ。”
『百年の孤独』で完成をみたガルシア・マルケスの小説世界はいかなるものか、絶頂期にある作家の作品ひとつひとつをバルガス・ジョサが丁寧に読み解いてみせるのみならず、自身の創作作法についても明かした壮大な文学探求の試み。
70年代はじめに刊行されるも、長らく書店から姿を消していた幻の評論がついに刊行。
《作家がテーマを選ぶのではなく、テーマが作家を選ぶ。ガルシア・マルケスは、自由な意思の働きでアラカタカの記憶を頼りに小説を書こうと決心したわけではなく、まったく逆に、アラカタカでの体験が彼を作家にしたのだ。(…)小説を天職とする者の出発点となるそんな体験は、同時に創作の刺激であり、源泉でもあり、題材にもなる。(…)彼の作品を見るかぎり、原初的体験こそが作家へと歩み出すための決定的衝動となっていたことは間違いない。》(本書より)
【目次】
第一部 現実世界
第一章 逸話としての現実
第二章 小説家とその悪魔たち
第二部 小説世界
第一章 病的前史――初期短編小説
第二章 マコンド――貴族的視点(「マコンドで雨を見つめるイサベル」と『落ち葉』)
第三章 「町」――楽観的理想主義(『大佐に手紙は来ない』)
第四章 大衆的視点――『ママ・グランデの葬儀』
第五章 静かな革命――『悪い時』
第六章 海辺の集落――解き放たれた想像的現実(「失われた時の海」)
第七章 全体的現実、全体小説――『百年の孤独』
第八章 想像的現実の支配――四つの短編小説と一つの映画的物語
注
参考文献
訳者あとがき
【著者について】
マリオ・バルガス・ジョサ(Mario Vargas Llosa)
1936年、ペルーのアレキパに生まれる。長編小説『街と犬たち』(1963年)によりビブリオテカ・ブレベ賞を受賞して「ラテンアメリカ文学のブーム」の花形となった後、『緑の家』(1966年)、『ラ・カテドラルでの対話』(1969年)、『世界終末戦争』(1981年)、『チボの狂宴』(2000年)といった長編や、文学評論集『嘘から出たまこと』(1990年)、自伝『水を得た魚』(1993年)など、現在まで多数の作品を残している。1994年にセルバンテス賞、2010年にノーベル文学賞を受賞。
【訳者について】
寺尾隆吉(てらおりゅうきち)
1971年、愛知県に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、早稲田大学社会科学総合学術院教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『魔術的リアリズム』(水声社、2012年)、『ラテンアメリカ文学入門』(中公新書、2016年)、主な訳書には、バルガス・ジョサ『水を得た魚――マリオ・バルガス・ジョサ自伝』(水声社、2016年)、パドゥーラ『犬を愛した男』(水声社、2019年)、デル・パソ『帝国の動向』(水声社、2021年)、バルガス・ジョサ『街と犬たち』(光文社古典新訳文庫、2022年)などがある。
【関連書】
マイタの物語/マリオ・バルガス・ジョサ/2800円+税
水を得た魚――マリオ・バルガス・ジョサ自伝/4000円+税
疎外と反逆――ガルシア・マルケスとマリオ・バルガス・ジョサの対話/1800円+税