2月の新刊:科学普及活動家ルイ・フィギエ——万人のための科学、夢想としての科学
2023年 2月 13日 コメントは受け付けていません。
科学普及活動家ルイ・フィギエ
万人のための科学、夢想としての科学
槙野佳奈子(著)
判型:四六判上製
頁数:252頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0710-9 C0072
装幀:滝澤和子
2月下旬頃発売!
遍く人に科学を届ける
科学への世間一般の期待が急激に高まった19世紀半ば、日進月歩の科学技術を平明に説く「科学普及活動家」が誕生した。その第一人者ルイ・フィギエは、写真技術の普及に努めて名声を勝ち得たあと、死後の世界を科学的に説明しようと試みる。正しい科学を伝えようとした彼は、なぜ非科学的な言説に魅了されたのか? 科学の「正しさ」をめぐる言説に隠された欲望を炙り出す。
【目次】
序
第Ⅰ部 黎明期の写真と駆け出しの科学普及活動家
第1章 パノラマ、ディオラマ、ダゲレオタイプ――写真の誕生を求めたフランス社会
第2章 写真の公式発表――アラゴの演説とその影響
第3章 若きフィギエの挑戦――写真史の枠組みを作った著述家
第4章 フランス初の写真専門誌――『ラ・リュミエール』の功罪
第Ⅱ部 本格化する写真の普及――フィギエとその他の著述家たち
第1章 写真と大衆――1855年の万国博覧会と写真
第2章 1859年のサロンと写真――科学、そして芸術としての写真
第3章 消えゆく画像への抵抗――写真の技術改良と心霊写真の流行に至るまで
第Ⅲ部 科学の周縁へのフィギエのまなざし
第1章 超自然への関心――1860年代から抱かれていた興味
第2章 死後の魂をめぐる問題――人々の心を救うための科学
第3章 降霊術への批判、天文学への信頼――科学普及活動家として維持された一貫性
結び
註
参考文献
図版出典一覧
あとがき
【著者について】
槙野佳奈子(まきのかなこ)
1985年、茨城県に生まれる。レンヌ第2大学大学院博士課程修了。博士(フランス文学)。現在、宇都宮大学助教。専門、19世紀フランス文学・思想史。主な訳書に、レジス・メサック『「探偵小説」の考古学』(共訳、国書刊行会、2021年)がある。
【関連書】
ヴィクトル・ユゴーと降霊術/稲垣直樹/2500円+税
火星人にさよなら/鈴木雅雄/2800円+税
帝国の祭典/小原真史/3000円+税