3月の新刊:マグレブ/フランス 周縁からの文学
2023年 3月 10日 コメントは受け付けていません。
マグレブ/フランス 周縁からの文学
植民地・女性・移民
石川清子(著)
判型:A5判上製
頁数:414頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0705-5 C0098
装幀:Gapard Lenski
3月下旬発売!
背反しながらも強く結ばれ、
混ざりながら描かれる新たなテリトリー
フランス植民地時代から独立を経て、豊かな文学的土壌を築き上げてきたマグレブ文学。《植民地》、《女性》、《移民》をテーマに、周縁から中心へと波及するはかり知れない衝撃を観測する出色の文学論。
《「フランス語マグレブ文学」や「フランス語圏文学」という領域その境界線を変えながら新たな地図を形成していくだろう。本書は「フランス語マグレブ文学」という枠組に視線を投じることから始めて、マグレブ/フランスという背反しながら強く結ばれ、せめぎ合いながら混ざって新たなテリトリーを描いていく文学を、三部の主要テーマに分け、緩やかな時系列に沿って追っていく。》(本書より)
【目次】
序章 文学の地図と境界線
第Ⅰ部 フランス語マグレブ文学へのアプローチ
第1章 タハール・ベン・ジェルーン再考(Ⅰ)――モロッコ現代文学の雑誌『息吹』と初期詩作品
第2章 タハール・ベン・ジェルーン再考(Ⅱ)――『ハッルーダ』、言語・身体・都市、そして小説
第3章 マグレブと自伝的物語
第4章 水とジェンダー――ハンマームというトポス
第Ⅱ部 アルジェリアを書く二人の女
第5章 アシア・ジェバール『渇き』――小説という挑戦、作家の誕生
第6章 レイラ・セバール――「移民第二世代」の娘たちの物語とテリトリー
第7章 アルジェリア/フランス(Ⅰ)――《アルジェの女たち》をめぐる絵画と文学の対話
第8章 アルジェリア/フランス(Ⅱ)――《アルジェの女たち》をめぐる絵画と文学の対話
第Ⅲ部 マグレブからフランスへ――移動と記憶、はざまの体験
第9章 ヤミナ・ベンギギの映像作品とテキスト――マグレブ移民の母たちと娘たち
第10章 再び、ヤミナ・ベンギギ――ラジオを聴く女たち
第11章 記憶の場としてのグット・ドール、バルベス――戦後マグレブ移民とパリ
第12章 フランスで「移民」が/について書くということ――マグレブ移民をめぐる文学
終章 新たな作品創造の地平へ向けて
注
参考文献
人名索引
あとがき
【著者について】
石川清子(いしかわきよこ)
千葉県生まれ。ニューヨーク市立大学大学院博士課程修了。博士(フランス語・フランス文学)。静岡文化芸術大学名誉教授。専攻、現代フランス文学、フランス語圏マグレブ文学。主な著書に、Paris dans quatre textes narratifs du surréalisme(L’Harmattan, 1998)、主な共著に、Lire Assia Djebar! (La Cheminante, 2012), Traduire Assia Djebar(SEDIA, 2018)、主な訳書に、ジェバール『愛、ファンタジア』(みすず書房、2011年)、クノー『イカロスの飛行』(2012年)、ベンギギ『移民の記憶――マグレブの遺産』(2019年、以上、水声社)などがある。
【関連書】
叢書《エル・アトラス》