9月の新刊:小さき人びと——折々の肖像《フィクションの楽しみ》
2023年 9月 11日 コメントは受け付けていません。
小さき人びと
折々の肖像
《フィクションの楽しみ》
ピエール・ミション(著)
千葉文夫(訳)
判型:四六判上製
頁数:268頁
定価:2700円+税
ISBN:978-4-8010-0753-6 C0397
装幀:宗利淳一
9月中旬発売!
“思い出がよみがえり、言葉がよみがえり、そして言葉とともに死んだ人びとがよみがえる”
列伝ふうの体裁のもとに、語り手の記憶に深く沈み込む《名もなき人びと》の肖像が浮かびあがる――フランス現代作家が濃密な文体で描く自伝的フィクション。
《1947年夏のある日のこと、母は私を腕に抱き、レ・カールの家のマロニエの大木の下に立っていた。それは、厩舎の外壁、ハシバミの木々、木陰が邪魔になって見えなかった県道が急に視界に入るあたりだった。天気はよく。母はたぶん薄手の服を着ていたはず、私はまだ言葉がしゃべれない。》(本文より)
【目次】
アンドレ・デュフルノー
アントワーヌ・プリュシェ
ウジェーヌとクララ
バクルート兄弟
フーコー爺さん
ジョルジュ・バンディ
クローデット
幼くして死んだ娘
訳者あとがき
【著者について】
ピエール・ミション(Pierre Michon)
1945年、フランスのクルーズ県に生まれる。作家。クレルモン゠フェランで文学研究、舞台俳優をしたのち作家活動に入る。主な作品には、『十一人衆(Les Onze)』(2009年、アカデミー・フランセーズ賞)、『僧院長たち(Abbés)』(2002年)、『息子ランボー(Rimbaud le fils)』(1991年)、『巨匠と従者たち(Maîtres et serviteurs)』(1990年)、『ジョセフ・ルーラン伝(Vie de Joseph Roulin)』(1988年)、主なエッセイには、『王の身体(Corps du roi)』(2002年)などがある。代表作である本書は、フランス・キュルチュール賞を受賞している。
【訳者について】
千葉文夫(ちばふみお)
1949年生まれ。パリ第一大学にて博士号を取得。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス文学、美学。主な著書には、『ミシェル・レリスの肖像』(みすず書房、2019年、読売文学賞)、『ファントマ幻想』(青土社、1998年)、主な訳書には、パスカル・キニャール『死に出会う思惟』(水声社、2021年)、ミシェル・レリス『ゲームの規則Ⅲ 縫糸』(平凡社、2018年)、『ミシェル・レリス日記 1〜2』(みすず書房、2001〜2002年)、ジェラール・マセ『最後のエジプト人』(白水社、1995年)などがある。
【関連書】
死に出会う思惟/パスカル・キニャール/2800円+税
帝国の地図 つれづれ草Ⅱ/ジェラール・マセ/2000円+税