12月の新刊:接続する柳田國男
2023年 12月 6日 コメントは受け付けていません。
接続する柳田國男
大塚英志(編)
判型:A5判上製
頁数:439頁
定価:6500円+税
ISBN:978-4-8010-0777-2 C0039
装幀:宗利淳一
12月中旬発売!
自分たちは一体どういう世に生きているのか?
歴史・習俗を観察し,それらによって規定された個人の内面をも観察すること。反アカデミズムの総合知として誕生した民俗学は、柳田國男の独自の歴史観と方法論を宿していた。社会改革に向けた情報インフラの構築と市民教育に取り組み,メディア論的思考で事象を捉えた柳田民俗学の可能性をいま一度世に開く!
【目次】
序
データベースとしての歴史――柳田國男の方法のメディア論的検証/大塚英志
第1部 『明治大正史 世相篇』から考える
『明治大正史 世相篇』「労力の配賦」について/鶴見太郎
「孤立貧」をどうするか――柳田國男が解きたかった世相史的課題/室井康成
構成論の観点から検討した『明治大正史 世相篇』/宮崎靖士
第2部 柳田國男とジェンダー・女性
「児やらい」から社会を問い直す――柳田國男の産育研究を読み直す/安井眞奈美
柳田國男をファッションから考える/横田尚美
柳田國男をクィアに読む/辻本侑生
能田多代子――地域民俗学と〈世中婆〉/杉本仁
三枝子抄――フェミニスト・エスノグラファー江馬三枝子の軌跡/菊地暁
第3部 メディア論・情報論的更新の目論み
柳田國男と「ルーペ論争」――三木茂と重出立証法をめぐって/大塚英志
メディア社会の民俗学を求めて――柳田國男と佐藤忠男/花田史彦
柳田國男のラジオ観/神松一三
デジタルアーカイヴィング構想から重出立証法を学んでみる/藤岡洋
自然という法の組み換えと共有――吉本隆明に多発する〈既視〉および柳田國男と宮沢賢治の〈実験〉について/山本浩貴
第4部 隣接領域からの読み直し
柳田國男の「都鄙雅俗」論――近年の日本中世史研究の立場から/谷口雄太
1926年前後の柳田國男の物語・語り物研究とその反響――「東北文学の研究」をめぐって/伊藤慎吾
柳田國男の地理学的手法――千葉徳爾の諸論考からの考察/三宅彦大
柳田國男と「怪談の研究」の時代――青頭巾を中心に/田部井隼人
柳田國男の近代化論から見た同年代のメキシコ大衆教育と人類学――バスコンセロスとガミオの視座/アルバロ・ダビド・エルナンデス・エルナンデス
参沢明年譜稿――柳田学の国学的一起源/三ツ松誠
あとがき
【編者/執筆者について】
大塚英志(おおつかえいじ)
1958年生まれ。まんが原作者、批評家。国際日本文化研究センター教授。博士(芸術工学)。専門は、まんが表現史、まんが創作論。主な著書に、『「暮し」のファシズム――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた』(筑摩書房、2021年)がある。
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鶴見太郎(つるみたろう)
1965年生まれ。早稲田大学教授。博士(文学)。専門は、日本近現代史。主な著書に、『柳田国男 感じたるまま』(ミネルヴァ書房、2019年)がある。
室井康成(むろいこうせい)
1976年生まれ。博士(文学)。専門は、民俗学、近現代東アジアの思想と文化。主な著書に、『事大主義――日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」』(中央公論新社、2019年)がある。
宮崎靖士(みやざきやすし)
1973年生まれ。北星学園大学教授。博士(文学)。専門は、日本近代文学。主な著書に、『語りかける柳田國男』(森話社、2023年)がある。
安井眞奈美(やすいまなみ)
1967年生まれ。国際日本文化研究センター教授。博士(文学)。専門は、文化人類学、民俗学。主な著書に、『狙われた身体――病いと妖怪とジェンダー』(平凡社、2022年)がある。
横田尚美(よこたなおみ)
1961年生まれ。滋賀県立大学教授。博士(学術)。専門は、服飾文化史。主な著書に、『20世紀からのファッション史――リバイバルとリスタイル』(原書房、2012年)がある。
辻本侑生(つじもとゆうき)
1992年生まれ。弘前大学助教。専門は、現代民俗学、地域政策・地域社会論。主な著書に、『クィアの民俗学――LGBTの日常をみつめる』(共編著、実生社、2023年)がある。
杉本仁(すぎもとじん)
1947年生まれ。柳田国男研究会会員。専門は、民俗学・地域史。主な著書に、『柳田国男と学校教育――教科書をめぐる諸問題』(梟社、2011年)がある。
菊地暁(きくちあきら)
1969年生まれ。京都大学人文科学研究所助教。博士(文学)。専門は、民俗学。主な著書に、『柳田国男と民俗学の近代――奥能登のアエノコトの20世紀』(吉川弘文館、2001年)がある。
花田史彦(はなだふみひこ)
1991年生まれ。大阪商業大学・大手前大学・岡山大学・神戸学院大学・立命館大学非常勤講師。専門は、メディア史。主な著書に、『昭和史講義【戦後文化篇】(下)』(共著、筑摩書房、2022年)がある。
神松一三(かんまついちぞう)
1958年生まれ。元讀賣テレビ放送勤務。大阪公立大学経済学研究科博士後期課程在籍。専門は、メディア史。主な著書に、『「日本テレビ放送網構想」と正力松太郎』(三重大学出版会、2005年)がある。
藤岡洋(ふじおかひろし)
1971年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科特定研究員。専門は、人文情報学。主な著書に、『運動としての大衆文化――協働・ファン・文化工作』(共著、水声社、2021年)がある。
山本浩貴(やまもとひろき)
1992年生まれ。小説家、デザイナー、批評家、編集者。いぬのせなか座主宰。主な論考に、「死の投影者による国家と死」(『ユリイカ』2022年9月号)などがある。
谷口雄太(たにぐちゆうた)
1984年生まれ。青山学院大学准教授。博士(文学)。専門は、日本中世史。主な著書に、『中世足利氏の血統と権威』(吉川弘文館、2019年)がある。
伊藤慎吾(いとうしんご)
1972年生まれ。國學院大學栃木短期大学准教授。博士(学術)。専門は、お伽草子研究。主な著書に、『南方熊楠と日本文学』(勉誠出版、2020年)がある。
三宅彦大(みやけげんだい)
1996年生まれ。筑波大学大学院博士後期課程在籍。専門は、歴史地理学。主な論文に、「戦前期同郷会雑誌にみる地域振興策と港湾修築運動――大正・昭和初期の福井県若狭地方を事例に」(『歴史地理学』64・4、2021年)などがある。
田部井隼人(たべいはやと)
1997年生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程在籍。専門は、日本近現代史。主な論文に、「大正期における「心霊」と「科学」の位相」(『史学雑誌』131・11、2022年)などがある。
アルバロ・ダビド・エルナンデス・エルナンデス(Álvaro David Hernández Hernández)
1983年生まれ。関西学院大学講師。博士(学術)。専門は、文化社会学。主な著書に、『メキシコ漫画イストリエタ――民俗文化としての漫画表現』(編著、思文閣出版、2022年)がある。
三ツ松誠(みつまつまこと)
1982年生まれ。佐賀大学准教授。博士(文学)。専門は、日本思想史、国学史。主な著書に、『平田篤胤――狂信から共振へ』(共著、法藏館、2023年)がある。
【関連書】
運動としての大衆文化/大塚英志編/6500円+税
労働と身体の大衆文化/大塚英志+星野幸代編/5500円+税
わび・さび・幽玄/鈴木貞美・岩井茂樹編/6000円+税