12月の新刊:労働と身体の大衆文化
2023年 12月 6日 コメントは受け付けていません。
労働と身体の大衆文化
大塚英志+星野幸代(編)
判型:A5判上製
頁数:316頁
定価:5500円+税
ISBN:978-4-8010-0778-9 C0036
装幀:宗利淳一
12月下旬発売!
プロパガンダ大衆文化の行方
翼賛体制下、国民の身体は総力戦に向け保全されるべきものとなり、国威発揚と労働・生産を下支えする大衆文化が次々と生まれた。では動員解除後、娯楽を享受する身体は何を求め、大量に生産された娯楽はどこへいったのか。戦時下の舞台・芸能・合唱・ラジオ・映画を横断し、戦後の大衆文化へと至る伏流を探る。
【目次】
まえがき/星野幸代
第1部 侵犯される知覚、抵抗する身体
「ラジオ太郎」という「仮装」アナウンサーがいた/大塚英志
「木蘭従軍」の戦時期日本における〈国民化〉――東宝国民劇のアダプテーションに見る戦争とジェンダー/秦剛
大衆文化としての体操と統制される身体/佐々木浩雄
厚生運動とうたごえ運動――その連続性を見る/河西秀哉
裁かれるエロス――戦後日本の揺らぐ文化イデオロギーと武智鉄二/朴祥美
第2部 子どもの時間、少女の時
十五年戦争下の子供雑誌が描いた「科学日本」と「科学戦争」――『少年倶楽部』と『機械化』を中心に/孫旻喬
戦時下・戦後の働く〈少女〉――雑誌『少女の友』を中心に/陳敏
戦前戦後日本の少女文化におけるバレエ――『少女倶楽部』を中心に/星野幸代
〝はれもの〟にさわる子どもたち――児童文化における中国イメージの断絶と連続/瀧下彩子
第3部 ポストコロニアル身体の展観
植民地近代、身体文化、ポップカルチャー――戦前戦後日本の舞踊芸術界の台湾に対する影響(1920―1979)/徐瑋瑩
日本軍政下インドネシアのPOW Camp謀略映画――映画の健全化の余剰としての「幻のフィルム」の語り/小川翔太
台湾映画「香蕉天堂(バナナ・パラダイス)」におけるバナナ表象――バナナを巡る記憶の構築がもたらす現代台湾史の視角/岸川あゆみ
【編者/執筆者/翻訳者について】
大塚英志(おおつかえいじ)
1958年生まれ。まんが原作者、批評家。国際日本文化研究センター教授。博士(芸術工学)。専門は、まんが表現史、まんが創作論。主な著書に、『「暮し」のファシズム――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた』(筑摩書房、2021年)などがある。
星野幸代(ほしのゆきよ)
1968年生まれ。名古屋大学大学院教授。博士(文学)。専門は、近現代中国文学、舞踊史。主な著書に、『翼賛体制下のモダンダンス――厚生舞踊と「皇軍」慰問』(汲古書院、2022年)などがある。
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秦剛(しんごう)
1968年生まれ。北京外国語大学教授。博士(文学)。専門は、日本近代文学。主な著書に、『戦後日本を読み替える5 東アジアの中の戦後日本』(共著、臨川書店、2018年)などがある。
佐々木浩雄(ささきひろお)
1975年生まれ。龍谷大学教授。博士(学術)。専門は、体育・スポーツ史。主な著書に、『体操の日本近代――戦時期の集団体操と〈身体の国民化〉』(青弓社、2016年)などがある。
河西秀哉(かわにしひでや)
1977年生まれ。名古屋大学大学院准教授。博士(歴史学)。専門は、日本近現代史。主な著書に、『うたごえの戦後史』(人文書院、2016年)などがある。
朴祥美(ぱくさんみ)
1975年生まれ。横浜国立大学教授。Ph.D(東アジア研究)。専門は、近現代日本史、東アジア関係史。主な著書に、『帝国と戦後の文化政策――舞台の上の日本像』(岩波書店、2017年)などがある。
孫旻喬(そんみんきょう)
1990年生まれ。北京第二外国語学院講師。博士(文学)。専門は、日本マンガ史。主な著書に、『運動としての大衆文化――協働・ファン・文化工作』(共著、水声社、2021年)などがある。
陳敏(ちんびん)
1988年生まれ。名古屋大学大学院博士候補研究員。専門は、日中比較文学、女性労働者研究。主な訳書に、武内義雄『論語之研究』(中訳、崇文書局、2023年)などがある。
瀧下彩子(たきしたさえこ)
1964年生まれ。公益財団法人東洋文庫研究員。専門は、近現代日中文化史。主な著書に、『戦前日本の華中・華南調査』(共編著、東洋文庫、2021年)などがある。
徐瑋瑩(じょいえい)
1973年生まれ。台湾国立勤益科技大学助理教授。博士(社会学)。専門は、台湾舞踊史、文化社会学。主な著書に、『落日之舞――台湾舞踊芸術拓荒者的境遇與突破 1920―1950』(聯経出版、2018年)などがある。
小川翔太(おがわしょうた)
1983年生まれ。名古屋大学大学院准教授。Ph.D(Visual and Cultural Studies)。専門は、映像学。主な著書に、Routledge Handbook of Japanese Cinema(共著、Routledge, 2021)などがある。
岸川あゆみ(きしかわあゆみ)
1996年生まれ。名古屋大学大学院博士後期課程在籍。専門は、比較文化、東アジア研究。主な論考に、「獅子文六『バナナ』(1959)における社会観察――バナナ表象が映した昭和30年代」(『名古屋大学人文学フォーラム』6、2023年)などがある。
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榊原真理子(さかきばらまりこ)
1975年生まれ。愛知県立大学非常勤講師。博士(国際文化)。専門は、近現代中国文学、演劇。主な論考に、「台湾現代演劇の創作者たち――1980年代以降、および頼声川」(『金城学院大学論集人文科学編』17、2020年)などがある。
【関連書】
運動としての大衆文化/大塚英志編/6500円+税
接続する柳田國男/大塚英志編/6500円+税
わび・さび・幽玄/鈴木貞美・岩井茂樹編/6000円+税