12月の新刊:摩擦――グローバル・コネクションの民族誌《人類学の転回》

2023年 12月 13日 コメントは受け付けていません。

摩擦_書影摩擦
グローバル・コネクションの民族誌
《人類学の転回》
アナ・ツィン(著)
石橋弘之・岩原紘伊・寺内大左・難波美芸・箕曲在弘(訳)
判型:四六判上製
頁数:474頁
定価:5200円+税
ISBN:978-4-8010-0787-1 C0010
装幀:宗利淳一
12月下旬発売!

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燃えあがる熱帯雨林のポリティクス

樹木に自らの名を刻むチェーンソーマン、軍隊とともに山頂を目指す自然愛好家、人間に大木の手入れをさせるオオミツバチ、ボルネオ島のすべての生き物を記録するダヤックの指導者……

インドネシアの南カリマンタンに拡がる美しい熱帯雨林を舞台に、あらゆる差異を抹消し地球をひとつにしようとする力学と、さまざまなアクターの偶発的な《協働》が織りなす、断片的なもののエスノグラフィ。

車輪が回転するのは道の表面と出会うからであり、宙に浮いた車輪はどこへも行くことができない。二本の棒を擦りつけると熱と光を生じさせるが、一本の棒はただの棒だ。比喩表現としての摩擦が私たちに思い起こさせるのは、異種混淆的で不均衡な出会いは、文化と権力の新たな布置へと導いてくれるということだ。(本書より)




目次

はじめに

序章

 Ⅰ 繁栄

「爆弾をもってきてくれたら、この場所を吹っ飛ばしてやるのに」
第1章 資本主義のフロンティア

「彼らは身振り手振りだけで会話する」
第2章 見せかけの経済

 Ⅱ 知識

「新しいアジアとアフリカを生みだそう」
第3章 〈自然〉という普遍概念とグローバル・スケール

「暗黒線」
第4章 自然を愛好すること

「この地星、このボルネオ島」
第5章 雑草性の歴史

 Ⅲ 自由

「粉のなかの一本の毛」
第6章 運動

「ファシリティとインセンティブ」
第7章 協働の森

コーダ

原註
訳注
参照文献
索引

訳者あとがき

著者について
アナ・ツィン(Anna Lownhaupt Tsing)
1952年生まれ。インドネシアの南カリマンタン州における長年のフィールドワークをもとに、フェミニズム研究やポリティカル・エコノミー研究、環境人類学、マルチスピーシーズ人類学を架橋する実験的で独創的な民族誌を発表し続けている。現在、カリフォルニア大学サンタ・クルース校文化人類学科教授。おもな著書に、In the Realm of the Diamond Queen: Marginality in an Out-of-the-way Place (Princeton University Press, 1993), 『マツタケ――不確定な時代を生きる術The Mushroom at the End of the World: On the Possibility of Life in Capitalist Ruins(Princeton University Press, 2015/邦訳、みすず書房、2019年)、Arts of Living on a Damaged Planet: Ghosts and Monsters of the Anthropocene(Co-edited, University of Minnesota Press, 2017)などがある。

訳者について
石橋弘之
1980年、埼玉県に生まれる。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(農学)。現在、早稲田大学人間科学学術院助教。専門は、環境社会学、カンボジア地域研究。著書に、『カンボジア山村の救荒食――ヤムイモから見た食の自給の歴史と現在』(風響社、2014年)がある。
岩原紘伊(いわはらひろい)
1981年、熊本県に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、聖心女子大学現代教養学部専任講師。専門は、文化人類学、観光研究。著書に、『村落エコツーリズムをつくる人びと――バリの観光開発と生活をめぐる民族誌』(風響社、2020年)がある。
寺内大左(てらうちだいすけ)
1983年、大阪府に生まれる。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(農学)。現在、筑波大学人文社会系准教授。専門は、環境社会学、インドネシア地域研究。著書に、『開発の森を生きる――インドネシア・カリマンタン 焼畑民の民族誌』(新泉社、2023年)がある。
難波美芸(なんばみき)
1986年、東京都に生まれる。一橋大学大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、鹿児島大学グローバルセンター講師。専門は、文化人類学、開発の人類学。著書に、Infrastructures and social complexity : a companion (Co-authored, Routledge, 2017) がある。
箕曲在弘(みのおありひろ)
1977年、東京都に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、早稲田大学文学学術院教授。専門は、文化人類学、東南アジア地域研究。著書に、『フェアトレードの人類学――ラオス南部ボーラヴェーン高原におけるコーヒー栽培農村の生活と協同組合』(めこん、2014年)がある。

関連書
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