3月の新刊:アンチ・ダンス——無為のコレオグラフィ
2024年 3月 8日 コメントは受け付けていません。
アンチ・ダンス
無為のコレオグラフィ
宇野邦一・江澤健一郎・鴻英良(編)
判型:A5変判上製
頁数:313頁
定価:4200円+税
ISBN:978-4-8010-0752-9 C0010
造本:宗利淳一
3月下旬発売!
《無為=脱作品化する芸術》の思想。
《肉体は、語らない。ただ踊る。踊りのなかで語るのだ。(……)そして肉体はそのことにおいて無知であり、非知である。》(室伏鴻)
肉体とともに言語の意味が無限に開かれるダンスは、いかなる強度をもった芸術なのか。「無為」「身体」「ダンス」の3部から多角的に論じ、現代思想の中心を貫くその問いの射程を眺望するプロジェクト。
《アンチ・ダンスであろうと、ノン・ダンスであろうと、名称はどうでもいい(……)アンチ・ダンスはもちろん普遍性などにはこだわらないが、決して個的な独創性に執着するものでもない。それがある共同性の追求でもあり、政治的な要求でもあったことは、決してみすごせない。そして「為さない行為」としてのアンチ・ダンスは、まさに「無為」の追求でもある。》(宇野邦一「まえがき」より)
【目次】
まえがき――アンチ・ダンスへの註釈(宇野邦一)
踊り、為す無為(室伏鴻)
I 無為
『ダンスの無為』について(フレデリック・プイヨード)
ダンスを廃絶するダンス――室伏鴻とバタイユ(江澤健一郎)
無為、衰弱体、共同体(宇野邦一)
II 身体
動いてはならない――室伏鴻(鈴木創士)
Dial M (for Dancer)――あるいは旅、零時、変奏(堀千晶)
身体のゼネストに向けて(田崎英明)
苛烈な無為という輪奈(鴻英良)
III ダンス
室伏鴻と無為(越智雄磨)
我々は息をして突っ立っている死体である――真夜中の0度の身体(竹重伸一)
不可能な身体(ジョナタン・カウディーヨ)
石の震え――室伏鴻の「苛烈な無為」について(フレデリック・プイヨード)
木乃伊の舞踏――室伏鴻(土方巽)
あとがき――無為のアンチ・ダンス(江澤健一郎)
【編者について】
宇野邦一(うのくにいち)
立教大学名誉教授(フランス文学・思想、映像身体論)。著書に、『非有機的生』(講談社選書メチエ、2023年)、『ドゥルーズ 流動の哲学』(講談社学術文庫、2020年)、訳書に、ベケット『モロイ』(河出書房新社、2019年)、ドゥルーズ+ガタリ『アンチ・オイディプス』(全二巻、河出文庫、2006年)などがある。
江澤健一郎(えざわけんいちろう)
立教大学兼任講師(フランス文学・思想)。著書に、『中平卓馬論――来たるべき写真の極限を求めて』(水声社、2020年)、『ジョルジュ・バタイユの《不定形》の美学』(水声社、2005年)、訳書に、ディディ゠ユベルマン『場所、それでもなお』(月曜社、2023年)、バタイユ『内的体験』(河出文庫、2022年)などがある。
鴻英良(おおとりひでなが)
演劇研究者。著書に、『野田茂樹 赤鬼の挑戦』(共著、青土社、2006年)、『二十世紀劇場』(朝日出版社、1998年)、訳書に、タルコフスキー『映像のポエジア』(ちくま学芸文庫、2022年)、『イリヤ・カバコフ自伝』(みすず書房、2007年)などがある。
【関連書】
中平卓馬論/江澤健一郎/3000円+税