3月の新刊:レトリックとテロル《日仏会館ライブラリー》
2024年 3月 22日 コメントは受け付けていません。
レトリックとテロル
《日仏会館ライブラリー》
澤田直+ヴァンサン・ブランクール+郷原佳以+築山和也(編)
判型:A5判上製
頁数:304頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0801-4 C0098
装幀:宗利淳一
3月下旬発売!
20世紀フランス文学の転回点
言語表現の臨界点を提起したポーランを介して、戦前の文壇を代表する大作家ジロドゥと、新進気鋭のサルトル/ブランショとの知られざる応酬を明らかにし、戦後フランス文学の基調をなす、言語観に迫る。
【目次】
序 澤田直
Ⅰ
八拍子のワルツ
――ジロドゥ、サルトル、ブランショにおける批判的諸関係(1938―1945)の分析 クリストフ・ビダン
『ルクレチアのために』の今日的意義
――暗闇のなかの手つかずの可能性 間瀬幸江
言葉、プロパガンダ、映画
――ジャン・ジロドゥの言語観とその映画作品の関係 田ノ口誠悟
「限界‐体験」への誘惑
――ジロドゥの演劇における女性の登場人物とアイデンティティの境界 ヴァンサン・ブランクール
ジロドゥのレトリック
――「疑いも不安もないレトリック」(C゠E・マニー)か? アンドレ・ジョブ
Ⅱ
サルトルの考えるテロル
――シュルレアリスムからネグリチュードへ 澤田直
ある挫折の解剖学
――ポーランとブランショのあいだのサルトル(1945―1952) ジル・フィリップ
ジャン・ポーランとブリス・パラン
――言葉の形而上学をめぐって 渡辺惟央
常套句、あるいは、振動と揮発
――ポーランからブランショへ 郷原佳以
死と存在の空間へ向けて
――モーリス・ブランショにおける二つのテロル 市川崇
モーリス・ブランショの文学時評、ロートレアモンと小説の問題 築山和也
感性の問題
――三つの同時代小説、『選り抜きの女たち』、『嘔吐』、『謎の男トマ』をめぐる交叉的読解 クリストフ・ビダン
シンポジウム「レトリックとテロル」の誕生について
――「あとがき」に代えて ヴァンサン・ブランクール
【著者について】
澤田直(さわだなお)
1959年生まれ。立教大学教授(フランス語圏文学・思想)。著書に、『サルトルのプリズム』(法政大学出版局、2019年)、『フェルナンド・ペソア伝』(集英社、2023年)、訳書に、ジャン゠ポール・サルトル『イマジネール』(共訳、講談社、2013年)などがある。
ヴァンサン・ブランクール(Vincent Brancourt)
1966年生まれ。慶應義塾大学訪問教授(20世紀フランス文学)。論文に、« Giraudoux, juge des romantiques français. L’écrivain et la crise de la nation »(Romantisme, 182, 2018)、« Paris et son double: usages de la capitale dans Combat avec l’ange »(Cahiers Jean Giraudoux, 51, 2023)などがある。
郷原佳以(ごうはらかい)
1975年生まれ。東京大学教授(フランス文学)。著書に、『文学のミニマル・イメージ――モーリス・ブランショ論』(左右社、2011年、2020年)、訳書に、ブリュノ・クレマン『垂直の声』(水声社、2016年)などがある。
築山和也(つきやまかずや)
1966年生まれ。慶應義塾大学教授(十九世紀フランス文学)。著書に、『バタイユとその友たち』(共著、水声社、2014年)、訳書に、ミシェル・ヴィノック『知識人の時代――バレス/ジッド/サルトル』(共訳、紀伊國屋書店、2007年)などがある。
*
クリストフ・ビダン(Christophe Bident)
1962年生まれ。ピカルディー大学教授(現代フランス文学・演劇)。著書に、『モーリス・ブランショ 不可視のパートナー』(上田和彦ほか訳、水声社、2014年)、編著に、モーリス・ブランショ『文学時評1941-1944』(郷原佳以ほか訳、水声社、2021年)などがある。
間瀬幸江(ませゆきえ)
1968年生まれ。宮城学院女子大学准教授(両大戦間期仏演劇、仏語教育)。著書に、『小説から演劇へ――ジャン・ジロドゥ 話法の変遷』(早稲田大学出版部、2010年)などがある。
田ノ口誠悟(たのくちせいご)
日本学術振興会特別研究員PD、国際基督教大学ほか非常勤講師(演劇学、フランス演劇)。著書に、『西洋演劇論アンソロジー』(共著、月曜社、2019年)、『クローデルとその時代』(共著、水声社、2023年)などがある。
アンドレ・ジョブ(André Job)
1946年生まれ。グランゼコール準備学級名誉教師(20世紀フランス文学、文学理論)。Dictionnaire Jean Giraudoux(Honoré Champion, 2018)の監修のほかに、Giraudoux. L’humanisme républicain à l’épreuve(Michalon, 2019)などの著書がある。
ジル・フィリップ(Gilles Philippe)
1966年生まれ。ローザンヌ大学教授(フランス文学・文体論)。著書に、『マルグリット・デュラス 〈声〉の幻前――小説・映画・戯曲』(共編著、水声社、2020年)、Pourquoi le style change-t-il ?(Les Impressions nouvelles, 2021)などがある。
渡辺惟央(わたなべいお)
日本学術振興会特別研究員PD、慶應義塾大学訪問研究員(フランス文学・思想)。著書に、Albert Camus au sortir de la guerre. 1944-1948(collectif, Classiques Garnier, 2022)などがある。
市川崇(いちかわたかし)
慶應義塾大学教授(現代フランス文学・思想)。著書に、『ジャン゠リュック・ナンシーの哲学――共同性、意味、世界』(共著、読書人、2022年)、訳書に、ジャン゠リュック・ナンシー『否認された共同体』(月曜社、2023年)などがある。
*
中田崚太郎(なかたりょうたろう)
1998年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(フランス文学)。論文に、「逃走とその不可能性――モーリス・ブランショの「転向」の問いに向けて」(『言語情報科学』20、2022年)がある。
村田真衣(むらたまい)
2000年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(フランス文学)。
宗政孝希(むねまさたかき) 一九九四年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程在籍(現代フランス文学・思想)。論文に、「バタイユにおける永遠回帰と主体」(『慶應義塾大学フランス文学研究室紀要』27、2022年)などがある。
根木昭英(ねぎあきひで)
1982年生まれ。獨協大学准教授(フランス文学・思想)。著書に、Situations de Sartre(collectif, Éditions Hermann, 2013)、Études sartriennes(collectif, Éditions Ousia, 2015)などがある。
【関連書】
プルーストと芸術/吉川一義編/6000円+税
ヴァレリーにおける詩と芸術/三浦信孝・塚本昌則編/5000円+税
ポール・クローデル 日本への眼差し/大出敦・中條忍・三浦信孝編/6000円+税
異貌のパリ 1919-1939――シュルレアリスム、黒人芸術、大衆文化/澤田直編/4000円+税
*
《日仏会館ライブラリー》
ボードレール 詩と芸術/中地義和編/6000円+税
フランスのイスラーム/日本のイスラーム/伊達聖伸編/4500円+税