7月の新刊:変声譚《水声文庫》
2024年 7月 1日 コメントは受け付けていません。
変声譚
《水声文庫》
中村邦生(著)
判型:四六判上製
頁数:284頁
定価:2800円+税
ISBN:978-4-8010-0816-8 C0093
装幀:宗利淳一
7月下旬発売!
月の光に酔うことはあるのだろうか
グレン・グールド、ペコちゃん、カマキリ、石ころ、付箋…… 誰が話しているのか? 声の変幻にみちた連作36編のつどい。
【目次】
月光の仕事
Ⅰ
亀とカマキリと――Nが語る
あの少年のことなら、よく覚えている――カマキリが語る
ABCビスケット――小石が語る
ビョンスおじいちゃんと犬の話――韓国人研究者Jが語る
小事が万事、大事になるとき――建設会社の測量士Dが語る
そうと知れば、音楽会へ行くべきか――夏目金之助が語る
ナツメさん、お席を用意しておきます――グレン・グールドが語る
Ⅱ
コンブさんのこと――Nが語る
かーやんは、こんな人だった――牧師Yが語る
この狭苦しい場所、どこなんだい――猫のトロが語る
〈立入禁止〉プロジェクト――Nが語る
自転車ミステリー――Nがさらに語る
行方不明ブルース――元新聞記者Fが語る
この客、どこまで運ぶのか――個人タクシーの運転手Cが語る
Ⅲ
明日の天気が気になるぜ――沖縄名護湾の男二人が語る
二十歳のカーニバル――Nが語る
成績を修正します――中世哲学者のK師が語る
寒さだけは苦手です――多肉植物スタペリアが語る
闇の奥へ、もっと奥へ――埼玉県O市の元書記官Mが語る
チンパンジーの時代――グラフィック・デザイナーR子が語る
求む、再就職先――骨董市の老店主Hが語る
Ⅳ
ひーふーみー、よいむなやー――D大学を定年退職したSが語る
何たる醜態、痴態であったことか――インド更紗が語る
お電話、お待ちしていまーす――テレビ・ショッピングのT商事・W社長が語る
虫めずる姫君よ、助けをこう――青虫が語る
行方不明の魂など取り戻しに行けない――詩人Gが語る
ネギと玄米パンと――Eメール文書でSが語る
椎の実が落ちる音を聞く夜――国語教師Aが語る
Ⅴ
兄弟と少女と、パンデミックと――翻訳家Tが語る
ソンザ、イノコドク――不二家の店頭人形ペコちゃんが語る
皆さん、さあ、召し上がれ!――極上の出し汁が語る
単純なことなのに、意外な難問かもしれない――看護師Bが語る
この二人、なんだか変わった人たちね――作家コジマ・ノブさんが語る
あの作中人物は、まだ「あとがき」に閉じこもっている――ポストイットの付箋が語る
穴に落ちる――土龍庵にてNが語る
【著者について】
中村邦生(なかむらくにお)
1946年、東京都に生まれる。小説家。「冗談関係のメモリアル」で第77回『文學界』新人賞受賞。「ドッグ・ウォーカー」で第112回、「森への招待」で114回芥川賞候補。主な小説には、『チェーホフの夜』(2009年)、『転落譚』(2011年)、『幽明譚』(2022年)、『ブラック・ノート抄』(2022年、いずれも水声社)、『芥川賞候補傑作選・平成編2』(共著、春陽堂書店、2021年。「森への招待」を所収)など。評論には、『未完の小島信夫』(共著、水声社、2009年)、『書き出しは誘惑する――小説の楽しみ』(岩波ジュニア新書、2014年)など。アンソロジーの編著には、『生の深みを覗く』(2010年)、『この愛のゆくえ』(2021年、いずれも岩波文庫)などがある。
【関連書】
チェーホフの夜/中村邦生/1800円+税
転落譚/中村邦生/2800円+税
幽明譚/中村邦生/2800円+税
ブラック・ノート抄/中村邦生/2500円+税