10月の新刊:超越への回路——戦間期日本における科学と文芸
2024年 10月 7日 コメントは受け付けていません。
超越への回路
戦間期日本における科学と文芸
加藤夢三(著)
判型:四六判上製
頁数:313頁
定価:3200円+税
ISBN:978-4-8010-0828-1 C0095
装幀:宗利淳一
10月中旬発売!
科学の君臨、文学の葛藤
戦間期の時代思潮が熱狂した科学/技術は、いかなるロジックを文学に与えたのか。相対性理論がこだまする新感覚派の世界認識、衛生理念に拘泥した中河與一、科学と論理の錯綜に突き当たる探偵小説、発明の政治学と結託する海野十三、科学ジャーナリズムに警鐘を鳴らす戸坂潤、そして「日本科学」と横光利一――知識人たちが科学/技術と切り結んだ言説編成を解きほぐし、合理的な思索が非合理な観念へと転化する理路を導出する。
【目次】
序章 〝科学/技術言説の文化史〞を編むために
第Ⅰ部 戦間期の文学者と科学/技術言説の遭遇
第1章 主観の交響圏――石原純・賀川豊彦・新感覚派
第2章 物質の境域――初期中河與一と衛生理念
第3章 探偵小説の条件――小酒井不木と平林初之輔の「科学」観
第4章 発明のエチカ――海野十三の探偵/科学/軍事小説
第5章 科学者・統治権力・文芸批評――戦時下の科学振興と戸坂潤
第Ⅱ部 横光利一と科学/技術言説の交錯
第6章 マルクスの誤読――福本和夫・三木清・横光利一
第7章 超越への回路――横光利一と中河與一の「心理」観
第8章 献身する技術者――『紋章』前後の横光利一
第9章 帝国の論理/論理の帝国――横光利一『旅愁』と「日本科学」
第10章 「ポリチカル・エンヂニアー」の戦後――横光利一『微笑』の倫理
注
あとがき
【著者について】
加藤夢三(かとうゆめぞう)
1990年、東京都に生まれる。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、お茶の水女子大学基幹研究院人文科学系助教。主な著書に、『合理的なものの詩学――近現代日本文学と理論物理学の邂逅』(ひつじ書房、2019年)、『並行世界の存在論――現代日本文学への招待』(ひつじ書房、2022年)などがある。
【関連書】
科学普及活動家ルイ・フィギエ/槙野佳奈子/3000円+税
ソヴィエト科学の裏庭/金山浩司/3500円+税
日本探偵小説論/野崎六助/4000円+税