12月の新刊:〈現実〉論序説――フィクションとは何か? イメージとは何か?

2024年 11月 29日 コメントは受け付けていません。

現実論_書影〈現実〉論序説
フィクションとは何か? イメージとは何か?
塚本昌則・鈴木雅雄(編)

判型:A5判上製
頁数:506頁
定価:7000円+税
ISBN:978-4-8010-0836-6 C0098
装幀:宗利淳一
12月中旬発売!

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イメージとフィクションは〈現実〉を変容させ、〈真実〉を再創造する
人文学のラディカルな再編のさなか、イメージと言語、身体と表象の関係を再定義する、16名の倦むことなき横断的思考。人文知の地勢図を描きなおし、来たるべき〈現実〉論への途を示す前人未到の試み。



目次

 序(塚本昌則)

第Ⅰ部 フィクション編
 フィクションの知,文学の知(久保昭博)

 文学にとって〈現実〉とは何か?
 非人称的な特異性のために――ブランショの「文学とは何か」(郷原佳以)
 調査の文学と集合住宅という装置――現代文学の結節点をめぐって(塩塚秀一郎)
 証人の証人たち――「聞き書き」の詩性について(谷口亜沙子)
 可塑的現実――ヴァレリーの『詩学講義』をめぐって(塚本昌則)

 人文科学――〈現実〉への問い
 アンブロシオの死――人類学における「文学的なもの」をめぐって(箭内匡)
 制度の裂目に立ち上がる言葉――メルロ゠ポンティの文学論から(廣瀬浩司)
 精神分析における「現実」――フロイト、ウィニコット、ラカン(立木康介)
 一人称の政治――ルソー『人間不平等起源論』と『社会契約論』の一断面(王寺賢太)
 経験としてのフィクション――ジャン゠マリー・シェフェールのフィクション論と美学(久保昭博)

第Ⅱ部 イメージ編
 イメージ表現と現実(中田健太郎)

 イメージと〈現実〉の交差
 隠れる手,浮遊する手,現れる手(伊藤亜紗)
 擬態する身体の解剖学――アンドレ・マッソン『私の宇宙のアナトミー』における起源との戯れ(松井裕美)
 ミツバチの社会からミツバチとの社会へ――社会イメージの思想史(橋本一径)
 引用とイメージと彷徨と――『アンナ』,ボシュエ,ゲンズブール(森元庸介)

 マンガにとって〈現実〉とは何か?
 キャラクターが私を見つめる――マンガにとって〈現実〉とは何か(鈴木雅雄)
 マンガは暴力をシリアスに描けるか――マンガにおけるメタ視点をめぐる試論(森田直子)
 マンガにおける文学、あるいはマンガとしての文学――どんどん行ってしまうものをめぐって(中田健太郎)

 跋――真実を「物語る」ことについて(鈴木雅雄)

編者/執筆者について
塚本昌則(つかもとまさのり)
東京大学教授(フランス文学)。主な著書に、『写真文学論――見えるものと見えないもの』(東京大学出版会、2024年)、『目覚めたまま見る夢――20世紀フランス文学序説』(岩波書店、2019年)、主な訳書に、ポール・ヴァレリー『ドガ ダンス デッサン』(岩波文庫、2021年)などがある。
鈴木雅雄(すずきまさお)
早稲田大学教授(シュルレアリスム研究)。主な著書に、『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社、2007年)、『マンガ視覚文化論――見る、聞く、語る』(共編、水声社、2017年)、『火星人にさよなら――異星人表象のアルケオロジー』(水声社、2022年)などがある。

久保昭博(くぼあきひろ)
関西学院大学教授(フランス文学・文学理論)。主な著書に、『表象の傷――第一次世界大戦からみるフランス文学史』(人文書院、2011年)、主な訳書に、ジャン゠マリー・シェフェール『なぜフィクションか?――ごっこ遊びからバーチャルリアリティまで』(慶應義塾大学出版会、2019年)などがある。
郷原佳以(ごうはらかい)
東京大学教授(フランス文学)。主な著書に、『文学のミニマル・イメージ――モーリス・ブランショ論』(左右社、2011年/2020年)、主な訳書に、モーリス・ブランショ『文学時評1941-1944』(共訳、水声社、2021年)などがある。
塩塚秀一郎(しおつかしゅういちろう)
東京大学教授(フランス文学)。主な著書に、『逸脱のフランス文学史――ウリポのプリズムから世界を見る』(書肆侃侃房、2024年)、『レーモン・クノー――〈与太郎〉的叡智』(白水社、2022年)、主な訳書に、マルセル・ベナブー『私はなぜ自分の本を一冊も書かなかったのか』(水声社、2024年)などがある。
谷口亜沙子(たにぐちあさこ)
明治大学教授(20世紀フランス文学)。主な著書に、『ルネ・ドーマル――根源的な体験』(水声社、2019年)、主な訳書に、ギュスターヴ・フローベール『三つの物語』(光文社、2018年)などがある。
箭内匡(やないただし)
東京大学教授(文化人類学)。主な著書に、『イメージの人類学』(せりか書房、2018年)、『アフェクトゥス――生の外側に触れる』(共編著、京都大学学術出版会、2020年)などがある。
廣瀬浩司(ひろせこうじ)
筑波大学教授(フランス哲学)。主な著書に、『後期フーコー――権力から主体へ』(青土社、2011年)、主な訳書に、メルロ゠ポンティ『コレージュ・ド・フランス講義草稿1959-1961』(みすず書房、2019年)などがある。
立木康介(ついきこうすけ)
京都大学教授(精神分析)。主な著書に、『精神分析と現実界――フロイト/ラカンの根本問題』(人文書院、2007年)、『ラカン――主体の精神分析的理論(講談社、2023年)などがある。
王寺賢太(おうじけんた)
東京大学教授(一八世紀フランス思想)。主な著書に、『消え去る立法者――フランス啓蒙における政治と歴史』(名古屋大学出版会、2023年)、主な訳書に、ドニ・ディドロ『運命論者ジャックとその主人[新装版]』(共訳、白水社、2022年)などがある。
中田健太郎(なかたけんたろう)
静岡文化芸術大学准教授(シュルレアリスム研究)。主な著書に、『ジョルジュ・エナン――追放者の取り分』(水声社、2013年)、『マンガメディア文化論――フレームを越えて生きる方法』(共編著、水声社、2022年)などがある。
伊藤亜紗(いとうあさ)
東京科学大学教授(美学)。主な著書に、『手の倫理』(講談社、2020年)、主な訳書に、マイケル・フリード『没入と演劇性――ディドロの時代の絵画と観者』(水声社、2020年)などがある。
松井裕美(まついひろみ)
東京大学准教授(美術史)。主な著書に、『キュビスム芸術史――20世紀西洋美術と新しい〈現実〉』(名古屋大学出版会、2019年)、『レアリスム再考――諸芸術における〈現実〉概念の交叉と横断』(編著、三元社、2023年)などがある。
橋本一径(はしもとかずみち)
早稲田大学教授(表象文化論)。主な著書に、『指紋論――心霊主義から生体認証まで』(青土社、2010年)、主な訳書に、アラン・シュピオ『フィラデルフィアの精神――グローバル市場に立ち向かう社会正義』(勁草書房、2019年)などがある。
森元庸介(もりもとようすけ)
東京大学教授(フランス思想史)。主な著書に、La Légalité de l’art. La question du theater au miroir de la casuistique(Cerf、 2020)、主な訳書に、ルイ・サラン゠モランス『黒人法典――フランス黒人奴隷制の法的虚無』(共訳、明石書店、2024年)などがある。
森田直子(もりたなおこ)
東北大学准教授(フランス語圏文学・比較文学)。主な著書に、『「ストーリー漫画の父」テプフェール――笑いと物語を運ぶメディアの原点』(萌書房、2019年)、主な訳書に、ティエリ・グルンステン/ブノワ・ペータース『テプフェール――マンガの発明』(共訳、法政大学出版局、2014年)などがある。

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