4月の新刊:フロレンスキイ論
2025年 3月 28日 コメントは受け付けていません。
フロレンスキイ論
細川瑠璃(著)
判型:A5判上製
頁数:310頁+カラー別丁4頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-0862-5 C0010
装幀:西山孝司
4月上旬発売!
知られざる「ロシアのレオナルド・ダ・ヴィンチ」の思想に迫る
西欧絵画の遠近法と異なる中世イコンの「逆遠近法」を解き明かしたことで知られ、美学のみならず神学、化学、工学、集合論・数論における多彩な業績を残すも、スターリン体制下で銃殺されたロシア正教の司祭フロレンスキイ。
その美学・神学・数学的著作を貫く〈形〉、〈不連続性〉、〈個と全の対立〉を巡る思想を明らかにし、20世紀ロシアの最も謎めいた思想家の全体像に光を当てる、初のモノグラフの試み。
【目次】
序章
第1節 研究の意義
第2節 研究史
1 出版史
2 研究史
3 伝記研究
4 本書の先行研究
5 日本における研究
第3節 本書の記述と、フロレンスキイの思想における時間について
第1部 フロレンスキイの生涯
第2部 フロレンスキイ論
第1章 個と全を巡る問題
第1節 ロシア思想における個と全
第2節 フロレンスキイの思想における個
1 連続/不連続
2 数の形/形としての数
3 数の同一
第3節 フロレンスキイの思想における全
1 花序と音楽
2 逆遠近法
3 普遍の問題
第2章 〈形〉
第1節 〈形〉とは何か
1 〈形〉と全体
2 充溢
3 〈形〉を成すことと無限
4 部分と全体
第2節 〈形〉の諸相
1 表面の深み
2 纏われるもの
3 無限と有限とが出会うところ
4 象徴としての〈形〉
5 ウーシアとヒュポスタシス
第3章 〈形〉と実体性
第1節 虹と煙
第2節 言葉
第3節 記述と幾何学
1 幾何学的一貫性
2 幾何学の複数性
3 記述と空間
第4章 コスモロジー
第1節 イコン論
1 二つの世界
2 もう一つの世界への移行
3 光の形而上学
第2節 宇宙論
1 天動説
2 虚数圏
3 『神曲』
4 天と地の区分
5 不連続性と実無限の宇宙
6 境界としての光
7 人格の同一性と死
結論
註
文献目録
人名索引
あとがき
【著者について】
細川瑠璃(ほそかわるり)
1990年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員DC2(東京大学大学院総合文化研究科)、同会特別研究員PD(早稲田大学文学学術院)、東京大学非常勤講師(ロシア語)を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻講師。専門はロシア思想。
【関連書】
逆遠近法の詩学――芸術・言語論集 フロレンスキイ/桑野隆・西中村浩・高橋健一郎訳/4000円+税