『ナチスのキッチン』重版決定!

2012年 7月 11日 コメントは受け付けていません。

ナチス時代の台所、家事労働、レシピ、エネルギーを通して
現代社会を問い直す、貴重な成果。重版決定!

とうとう小社からも1冊もなくなり、
在庫確認のお問い合わせにもお応えできなかった
藤原辰史さんの労作、『ナチスのキッチン——「食べること」の環境史』は、
みなさまのご声援のおかげで重版が決定しました。

7月19日(木)出来予定となっております。
ご注文いただいている分から、順次出荷いたします!


amazon.co.jp ではひさしく品切れ状態が続いておりますが、
全国の大型書店店頭、もしくは他のネット書店にはまだ在庫がございます。
初版をお求めの方は、いまのうちにそちらへお急ぎください!




“今日われわれの食卓は、ナチスの呪縛からどれだけ離脱できているだろうか”
——原克さん(ドイツ文学)、日本経済新聞 7/8付

“人間らしさを失うことの落とし穴について考えさせる”
——「記者が選ぶ」欄、読売新聞 7/8付

“〔著者の試みは〕大きな武器と勇気を与えてくれる”
——三浦丈典さん(建築家)、産經新聞 7/1付


Web上では、このブログでとりあげられると
人文書の売上げが1ケタ(以上?)変わるという月曜社・小林さんの
「ウラゲツ☆ブログ」が紹介してくださったのを皮切りに
(こちらをクリック→)、その後も続々と紹介されました。

レヴュウサイト「HONZ」の土屋敦さんの書評がTwitter などで話題騒然!
本書掲載のレシピを用いて実際に料理してしまったという衝撃のレヴュウが、
ネット住民の度肝を抜きました。(

また、本書で論じられている「公共キッチン」に着目して、
実際に著者の藤原さんを渋谷のシェアハウスにまで連れて行った、
という本が好き! Bookニュース」ナガタさんのレヴュウ。(

さらに、紀伊國屋書店の「KINOKUNIYA 書評空間」では、
早瀬晋三さん(歴史学)が、400字詰め原稿用紙1,000枚近くになる
本書の魅力を、手際良くまとめてくださいました。(

そのうえ、7月28日発売予定の 図書新聞 では著者インタビューを掲載予定!
本書をめぐって著者の肉声が語られるインタヴュウになっています。乞うご期待!

そして、まさに書店配本日の5月31日、ジュンク堂書店池袋本店で
おこなわれ、大盛会の裡におわった刊行記念トークセッションの模様も、
Youtube 等で全編が視聴可能です()。藤原さんとの対話のために
京都からお越しくださったのは、山室信一さん(政治史)。
本書の裏話などが話題満載の90分、ぜひご覧になってみてください。

この本は、ナチス時代の「台所」を歴史的・空間的に読み解きながら、
日本の「現在」が浮かびあがってくる、文字通りの必読書です。
3/11 以降のわたしたちの生活・文化・社会を考えるうえでも示唆的なので、
ぜひ、ひとりでも多くのかたに手にとってもらいたい、と切望しています。


nazi_kitchenナチスのキッチン 「食べること」の環境史

藤原辰史
四六判上製456頁/定価 4000円+税
ISBN 978-4-89176-900-0 C0022 5月31日発売


ヒトラーから《食》を奪還せよ!

いま、もっとも重要な《食》と《エネルギー》の問題を
ファシズムの視座から考える出色の1冊!


ナチスによる空前の支配体制下で、
人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?
システムキッチン、家事労働から、食材、
そしてエネルギーにいたるまで、
台所という《戦場》の超克を試みた、
来るべき時代への《希望の原理》。
新発見の事実や貴重なレシピをはじめ、
未刊行資料・図版などを多数収録。

《どうして、「食べること」はここまで衰微して
しまったのだろうか。どうして、強制収容所という
私たちの生活世界からもっとも遠いところの現象が、
こんなにもリアルに感じられるのだろうか?
——これは、端的に言ってしまえば、
この世界が、ナチズムと陸続きだからである》



目次—————

序章 台所の環境思想史
歴史の基層としての台所/テイラー・システムとナチズム/
台所の変革者たち/台所をどうとらえるか

第1章 台所空間の「工場」化  建築課題としての台所
ドイツ台所小史/ドイツ台所外史/第一次世界大戦の衝撃/
フランクフルト・キッチン/考えるキッチン/ナチス・キッチン?/
労働者約一名の「工場」

第2章 調理道具のテクノロジー化  市場としての台所

電化される家族愛/台所道具の進歩の背景/マニュアル化する台所仕事
市場化する家事/報酬なきテイラー主義の果てに

第3章 家政学の挑戦
家政学とは何か/家政学の根本問題/家政学の可能性と限界
家政学のナチ化/家政学の戦時体制化/家政学が台所に与えた影響

第4章 レシピの思想史
ドイツ・レシピ少史/読み継がれる料理本/企業のレシピ/
栄養素に還元される料理

第5章 台所のナチ化  テイラー主義の果てに
台所からみたナチズム/「第二の性」の戦場/「主婦のヒエラルキー」の形成/
無駄なくせ闘争/残飯で豚を育てる/食の公共化の帰結

終章 来たるべき台所のために
労働空間、生態空間、信仰の場/台所の改革者たちとナチズム/
ナチスのキッチンを超えて

「食べること」の救出に向けて  あとがきにかえて

付録1 ベストセラーの料理本
付録2 ダヴィディス著『実用的料理本』の版別レシピ構成
付録3 ハーン著『実用的料理本』の版別レシピ構成

註/参考文献/人名索引

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