12月の新刊:『青い花』
2012年 12月 11日 コメントは受け付けていません。
青い花
新島進訳4/6判上製322頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-872-0 C0397 12月14日頃発売!
聖王に会い、ジャンヌ・ダルクとともに戦い、馬と話し、錬金術を見出す……
数世紀をまたにかけ、数々の冒険を繰り広げる破天荒な騎士、オージュ公。
一方、20世紀、動かない川船で、暗い過去を抱えながらも
平凡な生活を送るシドロラン。互いを夢見あう二人が700年の時を超えて出会う!?
SF? 歴史小説? クノー版胡蝶の夢!
「胡蝶の夢という有名な説話が中国にある。荘子は蝶になる夢を見るが、
それはむしろ、蝶のほうが荘子になる夢を見ているのではないだろうか?
この小説でも同じだ。オージュ公爵がシドロランになる夢を見ているのだろうか、
それとも、シドロランがオージュ公爵になる夢を見ているのだろうか?
オージュ公爵は百七十五年の間隔をおいて出現し、歴史を横切っていく。
1264年には聖王と会見し、1439年には大砲を入手し、1614年には錬金術を発見、
1789年にはペリゴール地方の洞窟で珍妙な活動に勤しむ。
1964年には夢で見たシドロランと出会う。係留された川船で、
まったくのぐうたらに徹しているシドロランに。そのシドロランは、彼は、
夢を見ている……その唯一の日課は、誰かが誹謗中傷の書きこみをしていく
庭の囲いを上塗りすることのようだ。
まさに探偵小説のごとく、その誰かの正体はいずれ判明しよう。
青い花については……」——レーモン・クノー