6月の新刊:『未完の国』
2013年 6月 26日 コメントは受け付けていません。
未完の国――近代を超克できない日本
アラン=マルク・リウー/久保田亮 訳A5判上製/382頁/定価6000円+税
ISBN978-4-89176-978-9 C0031 好評発売中!
ニッポンのゆくえ
江戸期、明治維新、転向と敗戦、高度経済成長、そして東日本大震災——。「開かれた国」であるがゆえに未だ生成途上にあるこの国の歴史と未来を、フランス人哲学者が浮き彫りにする出色の論考。
《本書の目的は日本の現状を理解すること、そしてまた、1990年以来、日本が入り込んだあの危機と移行のプロセスを理解し、その中で起こった変化と改革を見定めることにある。〔……〕2011年3月11日を境に、日本はもはやかつての日本ではなくなっている。そして、世界もまた日本とともに変わってしまった。なぜ、どのようにして変わったのか、それを本書の中で見ていくこととしよう。
目次
序 事例としての日本
第1章 前‐近代化のプロセス——徳川時代の知と権力
一、徳川時代の社会システムの特色
二、知識体制
三、知識の社会的地位
四、知の秩序とその進化
五、三つの事例
第2章 近代化の条件
一、王政復古
二、開国の象徴的秩序
三、知識人——非自己実現的階層
第3章 近代化の思想
一、明治知識人の社会的地位
二、福沢諭吉による知の概念
三、開化の衝撃
四、近代
五、「本位」
六、文明化——原典と再読
第4章 近代性
一、近代性の概念
二、日本における近代性
三、森鷗外による混沌
四、漱石の近代性
第5章 近代化の終焉と近代性の超克
一、転向の概念
二、超国家主義的国家および国の概念
三、一九四二年東京——超克のジレンマ
四、一九四九年京都——ニヒリズムとアメリカニズム
五、戦後知識人——「悔恨の共同体」
第6章 近代の回帰——「知識社会」へ
一、ポストモダン運動とその時代
二、日本におけるポストモダンの時代とその変化
三、大いなる移行——「知識社会」としての日本
四、新たな近代化の始まり
五、二〇〇五年から見た二〇五〇年——研究政策にとっての社会的転換点
六、危機と災害を越えた再建
七、民主的進歩と新たな社会モデル
八、連続的制度イノベーション
結論 解体から再建へ——日本はどこへ行くのか?
註 /訳者あとがき