5月の新刊 :《批評の小径》『マラルメ セイレーンの政治学』

2014年 7月 30日 コメントは受け付けていません。

セイレーン=カバー入稿マラルメ セイレーンの政治学

ジャック・ランシエール

坂巻康司/森本淳生訳

装幀=宗利淳一
四六判上製/232頁/定価=2500円+税

978-4-8010-002407 C0098 好評発売中

来るべきフィクションの祝祭

オリジナルが消滅した時代に模倣再現的な表象のコードとヒエラルキーを放棄し、イデーの純粋な描線=エクリチュールによる〈共同体〉を作り出すことを夢見たマラルメ。詩を未来の宗教に変え、出現と消滅とを分節化するフィクションの力とは何か。稀代の哲学者による透徹したマラルメ読解の白眉。

〈マラルメは、セイレーンを、詩それ自体の紋章へと変える。〔……〕セイレーンはもはや、人を欺くフィクション上の存在ではない。セイレーンはフィクションによる行為、フィクションによる宙づりそのものである。〔……〕セイレーンという隠喩が示すもの、詩篇が実現させているものとはまさに、いまだ受容の準備ができていない時代と「想像上の場」において熟慮された、詩の出来事と詩の危険なのである。〉(本書より)

【目次】
序言/詩句という泡/神秘の詩学/霊的心情の頌歌/書物の義務/訳者あとがき

【著者】
ジャック・ランシエール(Jacque Rancière) 1940年、アルジェ生まれ。哲学者。パリ第8大学名誉教授。アルチュセールに師事するもその後訣別。政治哲学、文学批評、美学など幅広い分野で活躍。主な著書に、『プロレタリアの夜』(1981年)、『文学の政治学』(2007年)、邦訳に『感性的なもののパルタージュ――美学と政治』(法政大学出版局、2009年)、『言葉の肉――エクリチュールの政治』(せりか書房、2013年)など多数ある。

【訳者】
坂巻康司(さかまきこうじ) 1967年、埼玉県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(パリ第8大学)。現在、東北大学大学院国際文化研究科准教授。専攻、フランス文学・比較文学。著書に、『フランス文学小事典』(共著、朝日出版社、2007年)、訳書に、C・ビエ/C・トリオー『演劇学の教科書』(共訳、国書刊行会、2009年)などがある。
森本淳生(もりもとあつお) 1970年、東京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(ブレーズ・パスカル・クレルモン第2大学)。現在、一橋大学大学院言語社会研究科准教授。専攻、フランス文学。著書に、『小林秀雄の論理――美と戦争』(人文書院、2002年)、Paul Valély. La genèse du sujet et l’imaginaire. De la psychologie à la poïétique(Lettre Modernes Minard, 2009)、訳書に『ヴァレリー集成III 詩学の探究』(共編訳、筑摩書房、2011年)などがある。

好評発売中! (価格税別)
【批評の小径】
ロラン・バルト 最後の風景 ジャン=ピエール・リシャール 2000円
フローベールにおけるフォルムの創造 ジャン=ピエール・リシャール 3000円
日本のうしろ姿 クリスチャン・ドゥメ 2000円

【マラルメ関連書】
マラルメの〈書物〉 清水徹 2000円
マラルメと音楽 黒木朋興 7000円
世紀末の白い爆弾 中畑寛之 8000円
〈彼女〉という場所 永倉千夏子 12000円

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