5月の新刊:『ジュール・ヴェルヌ伝』
2014年 7月 30日 コメントは受け付けていません。
ジュール・ヴェルヌ伝
フォルカー・デース
石橋正孝訳
A5判上製/702頁/定価=10000円+税
978-4-8010-0030-8 C0098 好評発売中
装幀=宗利淳一
ヴェルヌのすべてがわかる決定版評伝
19世紀のブルジョワとして、カトリック、王党派、保守主義の価値観を奉じる、穏当な、あまりに穏当な「市民ヴェルヌ」。自らを語らず、読書と個人の経験を織り交ぜながら、魅力溢れる文学の素材とする「作家ヴェルヌ」。一次資料、未刊行資料を博捜しながら〈驚異の旅〉の新しい読み直しを提唱するヴェルヌ研究の世界的権威による、本邦初のジュール・ヴェルヌ評伝。
「自他に対して苛烈なアイロニーを向けていたこの作家は、個性を主張することを嫌い、ほとんど自己否定の域に達している。それが作品に幸いしたのかどうかは議論の分かれるところであるにせよ、一種の真空のように周囲の介入を呼び寄せ続けていることこそ、ヴェルヌの作家としての個性に他ならない。」(訳者あとがきより)
【目次】
序
第一章 ナント(一八二八―一八三九)
第二章 未来の作家の学校時代(一八三四―一八四八)
第三章 あらゆるジャンルを股にかける情熱――初期作品
第四章 パリにおける法学部生(一八四八―一八五一)
第五章 リリック座の秘書(一八五二―一八五五)
第六章 現代の門口で―十九世紀のパリ
第七章 愛という名の陥穽(一八五五―一八五七)
第八章 金融取引所と美術(一八五七―一八六〇)
第九章 旅の流儀―デビュー前夜(一八五九―一八六二)
第十章 エッツェル、スタール……そしてヴェルヌ
第十一章 作家としての天命に目覚める(一八六三―一八六七)
第十二章 アメリカ合衆国、ル・クロトワ、プロイセン軍の侵攻(一八六七―一八七一)
第十三章 〈驚異の旅〉
第十四章 再始動(一八七一―一八七四)
第十五章 多事多難(一八七五―一八七八)
第十六章 ジュール・ヴェルヌと科学――魅惑と戦慄
第十七章 蒸気を全開にして(一八七八―一八八二)
第十八章 錨を下ろす(一八八二―一八八六)
第十九章 成功という荒波、栄光という迷宮
第二十章 「暗黒の期間」(一八八六―一八八七)
第二十一章 アミアン市議会にて(一八八八―一八九一)
第二十二章 ジュール・ヴェルヌ氏宅にて―その「文学的実験室」の概要
第二十三章 幻滅(一八九二―一八九五)
第二十四章 事件の渦に呑まれて(一八九六―一九〇〇)
第二十五章 長引くお別れ(一九〇〇―一九〇五)
第二十六章 死後の生―奇跡か、いかさまか
付録一 ガストン・ヴェルヌ関連資料
付録二 ジュール・ヴェルヌの収入および遺書
註
図版出典一覧
出典と書誌
人名索引
訳者あとがき
【著者】
フォルカー・デース(Volker Dehs) 1964年、ブレーメン生まれ。ゲッティンゲン在住。ゲッティンゲン大学、ナント大学で文学・美術史・哲学を学ぶ。ジュール・ヴェルヌ協会会報編集長、ジュール・ヴェルヌ国際センター会員。著書に『ジュール・ヴェルヌ伝』、『ヴェルヌ研究書誌ガイド』ほか。編著に『ヴェルヌ・エッツェル往復書簡集』(全5巻)ほか。ヴェルヌの主要作品のドイツ語訳・解説を手がけるほか、絵本画家としても活躍している。
【訳者】
石橋正孝(いしばしまさたか) 1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程取得退学。パリ大8大学大学院博士課程終了。博士(文学)。現在、立教大学観光学部助教。日本ジュール・ヴェルヌ研究会会長、フランス・ジュール・ヴェルヌ協会会報編集委員。主な著書に、『大西巨人 闘争する秘密』(左右社、2010)、『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』(左右社、2013)、主な訳書に、ジャン=ポール・ドキスほか『ジュール・ヴェルヌの世紀』(東洋書林、2009、共訳)、アンヌ・ボケル、エティエンヌ・ケルン『罵倒文学史』(東洋書林、2011)、アニエス・アンベール『レジスタンス女性の手記』(東洋書林、2012)などがある。
【関連書】
水声通信27号《ジュール・ヴェルヌ》 2000円+税