3月の新刊: 甦るレヴィナス――『全体性と無限』読解

2015年 4月 28日 コメントは受け付けていません。

ピクチャ 1
甦るレヴィナス――『全体性と無限』読解
小手川正二郎 著

4/6判上製
352頁
定価
3,500円+税
ISBN978-4-8010-0085-8 C0010  好評発売中!
装幀:宗利淳一

『全体性と無限』がもつ真の革新性を救い出す―― 

これまで顧みられなかった理性論という観点から『全体性と無限』がもつ独自性に光をあて、主体論においてハイデガーと対峙し、なお根強い影響力の下にあるデリダ的読解を糺す。“生きている”レヴィナス哲学を甦らせる変革の書。

《本書は、レヴィナスが過去の思想家と向き合ったのと同様の態度でもって、レヴィナスの思想を「生きている哲学」として考察したい。(……)レヴィナスの哲学を、ただ盲目的に信じられる謎めいた教えや、専門家の間の訓詁学的な関心の対象としないためには、誤解を恐れずに彼の論述を具体化し、それを批判的に吟味しなくてはならない。このようにして初めて、レヴィナスの思想は時代や文化の隔たりを越えて読者一人ひとりの理解のあり方を問い直す「生きている哲学」として甦るはずだ。》(本書より)

目次

序章 甦るレヴィナス

第1部 レヴィナスの現象学

第1章 『全体性と無限』の現象学的方法
第2章 レヴィナスの思想は「他者」論か――『全体性と無限』第一部の役割
第3章 ブーバーとの対話

第2部 ハイデガーとの対決――主体・存在・真理

第4章 主体性の擁護――ハイデガーによる「主体」批判の後で
第5章 存在と真理――存在だけしかないことがなぜ「悪い」のか

第3部 デリダへの応答――『全体性と無限』の理性論

第6章 他人(autrui)と〈他者〉(l’Autre)――〈他人〉を「理解」すること
第7章 「自我への暴力」と「他者への暴力」――レヴィナスは「他者への暴力」を批判したのか
第8章 「第三者は他人の眼を通じて私を見つめる」――「第三者」とは誰か

第4部 「現れざるものの現象学」とは別の仕方で

第9章 〈他人〉との対話と〈他者〉への愛
第10章 「転回」ではなく「深化」

終章 「レヴィナス的倫理学」の可能性


参考文献
人名索引

あとがき




【著者について】
小手川正二郎(こてがわしょうじろう)  1983年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。現在、國學院大學文学部助教。専攻、フランス哲学、現象学。主な著書に、『顔とその彼方――レヴィナス『全体性と無限』のプリズム』(共著、知泉書館、2014年)、『新プラトン主義を学ぶために』(共著、世界思想社、2014年)などがある。

[関連書](価格税別)
他者のユマニスム/エマニュエル・レヴィナス/小林康夫訳 2000円

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