書評『この時代の遺産』『ナチズム』
2009年 7月 27日 コメントは受け付けていません。
『この時代の遺産』
A5判上製688頁/定価=7000円+税ISBN978-4-89176-684-9 C0010 好評発売中!
『図書新聞』09年080月1日付(第2928号)
→高橋順一氏(早稲田大学教授・思想史)
なぜ左翼はナチスの《神話革命》に敗北したのか?
ブロッホはベンヤミンの思い出を語った文章で次のように言っている。
「私たちに共通していた細目への感覚、ささいなもの、見過ごされたものを
観察するさいに副次的なささいなものの持つ、しばしば見過ごされた
意味に対する感覚……」。
本書〔『この時代の遺産』〕は、ブロッホのメシア的革命のモティーフが、
そうしたトリヴィアルな時代の残余と接触する瞬間に発する
閃光の集成といえるかもしれない。
〔……〕
訳者である池田が本書に賭けた並々ならぬ思いが伝わってくる。
〔姉妹書〕
エルンスト・ブロッホ/池田浩士・藤原辰史・本庄史明訳
『ナチズム——地獄と神々の黄昏』
A5判上製424頁/4,500円+税ISBN 978-4-89176-685-6 C0010 好評発売中!
ナチズム・ファシズムはいかにして批判可能なのか?
「もはや意識されていないもの」と「まだ意識されていないもの」を
キーワードに、ヒトラー政権下の日常を同時代の現場から批判し、
瞞着者たちの暴力と野蛮をあばきだした稀有な《思想的実戦》。
名著『この時代の遺産』に続く、1930年代論集、本邦初訳。