11月の新刊:『罪と罰』をどう読むか――〈ドストエフスキー読書会〉

2016年 11月 7日 コメントは受け付けていません。

ピクチャ 3
『罪と罰』をどう読むか
〈ドストエフスキー読書会〉
川崎浹+小野民樹+中村邦生(著)

判型:四六判上製
頁数:256頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0204-3 C0098
装幀:齋藤久美子
11月14日発売!

黄昏のペテルブルグを彷徨するラスコーリニコフは誰を殺したのか?

日本や海外の様々な文学作品や思想に言及しつつ,『罪と罰』を冒頭からエピローグまで丁寧に読み解き、十九世紀ロシアの社会情勢、物語論など、多様な観点から論じる。初読の手引きとしても,再読の手掛かりとしても格好の『罪と罰』入門書。ロシア人独特の正式名称や愛称を併記した「登場人物一覧」や,『罪と罰』邦訳の歴史の深さがわかる「邦訳一覧」をあわせて収録。

目次
Ⅰ 『罪と罰』への道
はじめに/一八六五年の猛暑/ペトラシェフスキーの会/『死の家の記録』/チェルヌイシェフスキーとの相克/『何をなすべきか』/地下生活者の自意識/犯罪の心理学/『酔いどれたち』/一人称から三人称へ/時代風潮

Ⅱ 老婆殺害
小説の冒頭/ヒポコンデリー/酒場のマルメラードフ/偶然の問題/演劇的な構成/マルメラードフの「復活」/母の手紙/スヴィドリガイロフ登場/手紙が彼を促す/六時過ぎか七時か/犯行中の時間/その瞬間

Ⅲ 殺人の思想
ある重大な一点/感覚と感触/夕陽の意味/ナポレオンとニーチェ/ゴシック思想/良心の問題/凡人と非凡人/新しいエルサレム

Ⅳ スヴィドリガイロフ、ソーニャ、ドゥーニャ
スヴィドリガイロフのリアリティ/スヴィドリガイロフにとっての愛/ドゥーニャとソーニャ/スヴィドリガイロフ対ラスコーリニコフ/悪の問題/スヴィドリガイロフのニヒリズム/「ラザロの復活」を読む/センセーション・ノベル/ルナンの『イエスの生涯』

Ⅴ センナヤ広場へ
二度目のポルフィーリ訪問/追善供養/殺人の告白/ソーニャの性格/苦悩について/十字架交換/ポルフィーリ、下宿を訪れる/ラスコーリニコフ自首

Ⅵ 「エピローグ」の問題
シベリアへ/監獄の自由/ラスコーリニコフの悪夢/新しい人間/複数のエピローグ/ドストエフスキーの風景/むすび

『罪と罰』主要登場人物
『罪と罰』邦訳一覧

あとがき

著者について
川崎浹(かわさきとおる)
一九三〇年,福岡県生まれ。早稲田大学名誉教授。主な著書に,『英雄たちのロシア』(岩波書店,一九九九),『過激な隠遁 高島野十郎評伝』(求龍堂,二〇〇八),主な訳書に,ロープシン『蒼ざめた馬』(岩波書店,二〇〇六),サヴィンコフ『テロリスト群像』(岩波書店,二〇〇七)などがある。

小野民樹(おのたみき)
一九四七年,群馬県生まれ。出版社勤務を経て,現在,大東文化大学文学部教授。主な著書に,『六〇年代が僕たちをつくった』(洋泉社,二〇〇四),『撮影監督』(キネマ旬報社,二〇〇五),『新藤兼人伝──未完の日本映画史』(白水社,二〇一一),『百年の風貌──新藤監督との対話』(芸術新聞社,二〇一五)などがある。

中村邦生(なかむらくにお)
一九四六年,東京都生まれ。作家,大東文化大学文学部教授。主な小説に,『月の川を渡る』(作品社,二〇〇四),『風の消息,それぞれの』(作品社,二〇〇六),『転落譚』(水声社,二〇一一),『風の湧くところ』(風濤社,二〇一五),主な評論に,『書き出しは誘惑する』(岩波書店,二〇一四)などがある。

関連書
ドストエフスキーと小説の問い 番場俊/5000円
リアリズムの条件 乗松亨平/4000円
デーモンと迷宮 ミハイル・ヤンポリスキー/乗松亨平・平松潤奈訳/4800円
18世紀ロシア文学の諸相 金沢美知子編/5500円

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