11月の新刊:混沌と抗戦――三島由紀夫と日本、そして世界
2016年 11月 16日 コメントは受け付けていません。
混沌と抗戦
三島由紀夫と日本、そして世界
井上隆史/久保田裕子/田尻芳樹/福田大輔/山中剛史(編)
判型:A5判並製
頁数:472頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-0201-2 C0095
装幀:西山孝司
11月25日発売!
〈三島由紀夫〉を掻き回す
世界文学、天皇概念、宗教思想、革命論争、同時代作家・文化との連関、そして11・25――
国内外30名を超える豪華執筆陣による多彩な三島論を一挙に結集。豊饒なる混沌に満ちた三島由紀夫の淵源へと肉迫し、いまだ謎に包まれたその全体像を闡明する。(国際三島由紀夫シンポジウム記念論集)
執筆者――
井上隆史/松本徹/イルメラ・日地谷゠キルシュネライト/ドナルド・キーン/徳岡孝夫/平野啓一郎/芥正彦/高橋睦郎/スーザン・J・ネイピア/四方田犬彦/デニス・ウォシュバーン/竹本忠雄/中村哲郎/J・キース・ヴィンセント/ダミアン・フラナガン/浜崎洋介/南相旭/梶尾文武/久保田裕子/有元伸子/武内佳代/田尻芳樹/田中裕介/遠藤不比人/福田大輔/エリック・ローラン/佐々木孝次/原和之/広瀬大介/ジェームズ・レイサイド/宮本亜門/細江英公/三輪太郎/山中剛史/佐藤秀明
【目次】
はじめに――編者より
Ⅰ
1 没後四十五年 三島由紀夫の遺産と展望
序
東西の古典を踏まえて
「世界文学」を視野にして――三島由紀夫への二つのアプローチ
没後四十五年「悼友」対談
三島由紀夫の面影
変わり得ぬものの共同性――『金閣寺』、『仮面の告白』、天皇
原爆/天皇 そして三島由紀夫と東大全共闘
在りし、在らまほしかりし三島由紀夫
2 二十一世紀文学としての『豊饒の海』
序
モダニティーとの直面――「豊饒の海」が「腐海」と出会うとき
『天人五衰』、ふたたび
最初のポストモダニスト? 三島由紀夫における崇高の美学
全体小説と世界文学
Ⅱ
1 時空を超える三島論
序
幻花の旅人たち――二人の「M」はどこで出遭ったか
衝撃と新生――伝統からの福音
三島由紀夫とゴア・ヴィダル――まったく同じ時代を生きた二人
誰が三島由紀夫を殺したのか
2 三島由紀夫と保守思想
序
三島由紀夫の「宿命」――〈文学‐天皇‐自決〉の連関について
三島由紀夫と金芝河における「生命」
三島由紀夫における天皇概念の革命性と外部性
三島由紀夫と保守思想――「文化防衛論」をめぐって
3 二十一世紀に三島文学を読む
序
『豊饒の海』に描かれたアジアをめぐる表象――世界文学として読み直すための覚書
三島由紀夫へ、三島由紀夫から――アダプテーション、ジェンダー、クィア
三島由紀夫と女性誌――『三島由紀夫レター教室』と「女性自身」
4 三島由紀夫と情動の問題
序
三島由紀夫における現実描写――日常性、存在論、情動
戦後保守主義へのアフェクション――三島由紀夫と吉田健一
モダニズム的崇高と三島由紀夫――風景と情動をめぐって
Ⅲ
1 ラカンvs.ミシマ
序
三島とジョイス――語る身体と言語の孔
文字と天皇――三島由紀夫における二つの貢物
救済の二つの時間――三島を用いてラカンを
もし、二人が出会っていたら……
2 三島由紀夫に挑む
序
池辺晋一郎 オペラ『鹿鳴館』に見る「言葉」と「音楽」
三島とジャン・ラシーヌ
三島由紀夫という演劇的人生――『金閣寺』『ライ王のテラス』から
「二十一世紀版『薔薇刑』」について
三島とカラジッチ、あるいは文学と政治の「間」
三人の写真家と三島由紀夫のフォト・パフォーマンス
「芸術対人生」の行方
国際三島由紀夫シンポジウム2015 プログラム
あとがき
【編者について】
井上隆史(いのうえたかし)
白百合女子大学教授(日本近代文学)。
主な著書に、『三島由紀夫 虚無の光と闇』(試論社、二〇〇六)、『豊饒なる仮面 三島由紀夫』(新典社、二〇〇九)、『三島由紀夫 幻の遺作を読む――もう一つの『豊饒の海』』(光文社、二〇一〇)、『三島由紀夫『豊饒の海』vs野間宏『青年の環』――戦後文学と全体小説』(新典社、二〇一五)などがある。
久保田裕子(くぼたゆうこ)
福岡教育大学教授(日本近現代文学)。主な著書・論文に、『21世紀の三島由紀夫』(共編、翰林書房、二〇一五)、「三島由紀夫「月」論――雑誌「世界」とビート・ジェネレーション」(『三島由紀夫研究15 三島由紀夫短篇小説』鼎書房、二〇一五)などがある。
田尻芳樹(たじりよしき)
東京大学教授(イギリス文学)。主な著書に、『J・M・クッツェーの世界――フィクションと共同体』(編著、英宝社、二〇〇六)、Samuel Beckett and the Prosthetic Body(PalgraveMacmillan, 2007)、『ベケットとその仲間たち――クッツェーから埴谷雄高まで』(論創社、二〇〇九)などがある。
福田大輔(ふくだだいすけ)
青山学院大学准教授(精神分析、フランス現代思想)。主な論文に、「三島由紀夫 筋肉のメランコリー」(『I・R・S ジャック・ラカン研究』№9‐10、二〇一三)、「三島由紀夫 家族の見掛けと対象aの弁証法」(『I・R・S ジャック・ラカン研究』№ 11、二〇一三)などがある。
山中剛史(やまなかたけし)
中央大学兼任講師(日本近代文学)。主な著書に、『決定版 三島由紀夫全集4
2』年譜・書誌(共著、新潮社、二〇〇八)、『映画と文学』(共著、弘学社、二〇一〇)、『21世紀の三島由紀夫』(共著、翰林書房、二〇一五)などがある。
【関連書】
三島由紀夫 〈表面〉の思想/川上陽子/4000円+税