4月の新刊:ロシアの物語空間
2017年 3月 30日 コメントは受け付けていません。
ロシアの物語空間
近藤昌夫・角伸明・樫本真奈美・高田映介・新井美智代(著)
判型:A5判並製
頁数:320頁
定価:3500円+税
ISBN:978-4-8010-0182-4 C0098
装幀:宗利淳一
4月5日頃発売!
19世紀から21世紀まで、知られざるロシア文学の世界を一冊で紹介。
近現代ロシアの作家14人の長・短篇小説を、その核心部を構成する場所・空間の表象に着目して読み解く。人工的な都市と豊かな自然のコントラスト、隠された宗教的シンボル、帰るべき場所を失いさまよう人々の影に満ちて、不可思議な魅力を湛える物語空間を探索する、ロシア文学入門の書。
【目次】
プロローグ 近藤昌夫
〈アレクサンドル・プーシキン〉
『大尉の娘』の物語空間 樫本真奈美
〈ミハイル・レールモントフ〉
『現代の英雄』──肖像画の空間 近藤昌夫
〈ニコライ・ゴーゴリ〉
『鼻』──人工都市と反乱する自然 近藤昌夫
〈イワン・ツルゲーネフ〉
知られざるツルゲーネフ──奇想的人物たちの物語空間 角伸明
〈フョードル・ドストエフスキー〉
十字路の聖堂──『地下室の手記』から『罪と罰』へ 近藤昌夫
〈レフ・トルストイ〉
『イワン・イリイッチの死』──長椅子のクロノトポス 近藤昌夫
〈アントン・チェーホフ[初期物語空間]〉
チェーホフの作家としての聴覚とその物語空間──『やるせない』『家で』『シベリアから』等 角伸明
〈アントン・チェーホフ[後期物語空間]〉
「ここ」から「どこか」への脱出──『百姓たち』『新しい別荘』『小犬を連れた奥さん』 高田映介
〈エヴゲーニィ・ザミャーチン〉
『われら』──壁の「こちら」と「むこう」 高田映介
〈マリーナ・ツヴェターエワ〉
プーシキン像と黒の詩学─―『わがプーシキン』をめぐって 樫本真奈美
〈アルセーニー・タルコフスキー〉
「コンスタンティノープル 短編集」──黄金の子供時代 新井美智代
〈アレクサンドル・ソルジェニーツィン〉
魂の「家」を求めて――『イワン・デニーソヴィチの一日』『ガン病棟』『マトリョーナの家』 高田映介
〈ワシーリィ・シュクシーン〉
『赤いカリーナ』──大地に蘇るペトルーシカ
近藤昌夫
〈セルゲイ・ドヴラートフ〉
『かばん』――スーツケースに詰められた人生 高田映介
〈アナイート・グリゴリャン〉
「長い夏」――「どこでもない場所のまんなか」で 高田映介
近現代のロシア文学を知るための文献案内
ロシア文学略年表
エピローグ あとがきにかえて――明治・大正期におけるロシア文学の空間 近藤昌夫
【著者について】
近藤昌夫(こんどうまさお)
1956年、北海道生まれ。東京外国語大学大学院修了。現在、関西大学教授。ロシア文学専攻。著書に『都市と芸術の「ロシア」』(共著、水声社、2001)、『ヨーロッパの祭りたち』(共著、明石書店)、訳書に『ロシア・アヴァンギャルド⑧』(共訳、国書刊行会)等がある。
角伸明(かくのぶあき)
1956年、大分県生まれ。早稲田大学大学院修了。現在、関西大学、同志社大学非常勤講師。ロシア文学、東方ユダヤ文化論専攻。著書に、「密かな愛の贈り物『初恋』――秘められたストーリーが語る真実」(群像社、2014)がある。
樫本真奈美(かしもとまなみ)
1980年、兵庫県生まれ。神戸市外国語大学博士課程満期修了。現在、神戸市外国語大学、同志社大学、関西大学非常勤講師。ロシア文学専攻。訳書に、アレクサンドル・ヴォイツェホフスキー『僕の永遠の友だち』(編訳、今日の話題社、2005)がある。
高田映介(たかだえいすけ)
1985年、愛知県生まれ。京都大学文学研究科修了。現在、京都大学、関西大学非常勤講師。ロシア文学専攻。おもな論文に、「チェーホフの「農民三部作」について考える――〈異言語性〉と時空間の問題を中心に」(『ロシア語ロシア文化研究』第47号、2015)
新井美智代(あらいみちよ)
1961年、埼玉県生まれ。奈良女子大学大学院博士過程単位取得退学。現在、同志社大学、関西大学非常勤講師。物語論専攻。訳書に『ロシア・アヴァンギャルド③』(共訳、国書刊行会)等がある。
【関連書】
ドストエフスキーと小説の問い 番場俊/5000円
メリメとロシア作家たち——ロシアへの想い 浦野進/4000円
ロシアの十大作家 松下裕/2700円
18世紀ロシア文学の諸相 金沢美知子編/5500円