6月の新刊:バロック協奏曲《フィクションのエル・ドラード》

2017年 6月 5日 コメントは受け付けていません。

バロック書影バロック協奏曲
《フィクションのエル・ドラード》
アレホ・カルペンティエール(著)
鼓直(訳)

判型:四六判上製
頁数:168頁
定価:1800円+税
ISBN:978-4-8010-0264-7 C0397
装幀:宗利淳一
6月16日頃発売!


『バロック協奏曲』においては、《カーニバル》と《アポカリプス》が一体となっている。

――ロベルト・ゴンザレス・エチェバリア

 

銀鉱で成り上がったメキシコ生まれの主人と従者の出立から始まる物語はやがて、黒人の奏でるギター、街頭を轟かす謝肉祭の喧噪、ヴィヴァルディのオペラ、ルイ・アームストロングのトランペットへと、変幻するテンポのうちに秩序は多元的に錯綜していく〈幻想交響曲〉で幕を下ろす。
擬古的な文体で周密な作品空間を描き出し、響きわたる雑多な楽音で読者を圧倒する傑作。

著者について
アレホ・カルペンティエール(Alejo Carpentier)
1904年、スイスのローザンヌに生まれる。
父はフランス人、母はロシア人。主にハバナで教育を受けたものの、家庭内にはフランス文化が色濃く、パリへ留学することもあった。建築家を志すが挫折。
1924年から文化雑誌『カルテレス』に寄稿を始め、政治運動にも参加、マチャード独裁政権から27年に投獄を受ける。1928年から39年までパリに滞在し、シュルレアリスムや前衛音楽に影響を受けた。
一時ハバナへ戻った後、1945年から59年までベネズエラのカラカスに滞在し、『この世の王国』(1949)、『失われた足跡』(1953)、『追跡』(1956)などの長編小説を刊行した。
1959年、キューバ革命勃発とともにハバナへ戻り、革命政府の文化活動に協力。晩年は外交官としてパリで過ごし、
『方法異説』(1974)、『バロック協奏曲』(1974)、『ハープと影』(1979)などの作品を発表し続けた。
1977年に、ラテンアメリカ作家として初めてセルバンテス賞を受賞し、1980年に没する。

訳者について
鼓直(つづみただし)
1930年、岡山に生まれる。東京外国語大学卒業。法政大学名誉教授。財団法人日本スペイン協会理事長。専攻、ラテンアメリカ文学。主な訳書には、ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社、1972年)、ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』(岩波文庫、1993年)、ガブリエル・ガルシア=マルケス『族長の秋』(集英社文庫、1994年)、ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』(水声社、近刊)など多数ある。

フィクションのエル・ドラード 】(既刊=★)
襲撃 レイナルド・アレナス/山辺弦訳  2200円+税(★)
気まぐれニンフ ギジェルモ・カブレラ・インファンテ/山辺弦訳
時との戦い アレホ・カルペンティエール/鼓直訳
対岸 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2000円+税(★)
八面体 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2200円+税(★)
境界なき土地 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳  2000円+税(★)
ロリア侯爵夫人の失踪 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳 2000円+税(★)
夜のみだらな鳥 ホセ・ドノソ/鼓直訳【年内に配本】
ガラスの国境 カルロス・フエンテス/寺尾隆吉訳 2800+税(★)
案内係 フェリスベルト・エルナンデス/浜田和範訳
場所 マリオ・レブレーロ/寺尾隆吉訳 2200円+税(★)
別れ フアン・カルロス・オネッティ/寺尾隆吉訳 2000円+税(★)
帝国の動向 フェルナンド・デル・パソ/寺尾隆吉訳
人工呼吸 リカルド・ピグリア/大西亮訳 2800円+税(★)
圧力とダイヤモンド ビルヒリオ・ピニェーラ/山辺弦訳
ただ影だけ セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳 2800円+税(★)
孤児 フアン・ホセ・サエール/寺尾隆吉訳  2200円+税(★)
傷痕 フアン・ホセ・サエール/大西亮訳 2800円+税(★)
マイタの物語 マリオ・バルガス・ジョサ/寺尾隆吉訳
コスタグアナ秘史 フアン・ガブリエル・バスケス/久野量一訳 2800円+税(★)
証人 フアン・ビジョーロ/山辺弦訳
* タイトル、訳者は予告なく変更になる場合があります。ご了承下さい。

Comments are closed.