6月の新刊:ブルームの歳月――トリエステのジェイムズ・ジョイス1904-1920
2017年 6月 30日 コメントは受け付けていません。
ブルームの歳月
トリエステのジェイムズ・ジョイス1904-1920
ジョン・マッコート(著)
宮田恭子(訳)
判型:A5判上製
頁数:472頁
定価:7000円+税
ISBN:978-4-8010-0239-5 C0098
装幀:齋藤久美子
6月25日発売!
20世紀初頭の多民族・多言語・多文化都市トリエステ。
作家の成熟期となったこの地で『ユリシーズ』の主人公ブルームの人物像はどのように形成されたのか。また『フィネガンズ・ウェイク』の言語はどのような刺激をえて創造されたのか。ジョイスの芸術と都市との関係を浮き彫りにする。
【目次】
日本語版に寄せて
序論
第一章 東に向かって
一、トリエステの十日間
二、シベリアの作家
第二章 「タリ・イースティ」の肖像
一、ジョイスの「イタリアの倉庫」
二、腰を据える
三、結婚生活の葛藤
四、東方のイメージ
五、トリエステとトリエスティーノ――文化のるつぼの中へ
六、ギリシア人――原語での交流
七、バッコス的放縦
八、社会主義的傾向
九、現状の打開を待って
第三章 民族とは何か
一、ローマの幕間
二、シュミッツ/ズヴェーヴォ
三、「古牡蠣オーストリアと空腹ハンガリー」
四、歴史の悪夢
五、最も厳しい二年間
第四章 「われらがうるわしきトリエステ」
一、ダブリンの事件
二、映画館のパイオニア
三、トリエステの分家
四、未来主義者とヴォチアーニの間で
五、進展もなく
六、ジョイス、イギリス文学を論じる
七、裏切り
第五章 忍び寄る戦争の影のもとでの成功
一、「亡命生活」への回帰と『亡命者たち』
二、『ジアコモ・ジョイス』
三、「ユダヤ人社会」
四、忍び寄る戦争の影
五、トリエステ離脱
原注
参考文献
人名索引
訳者あとがき
【著者について】
ジョン・マッコート(John McCourt)
1965年にダブリンに生まれる。ユニヴァシティ・
コレッジ・ダブリンで博士号を取得。トリエステに住み、1997年、トリエステ・ジョイス・スクールの創設者の一人となり、以後その運営に当たる。第三ローマ大学勤務を経て、現在、マチェラータ大学教授。主な著書には、R・クリヴェッリとの共著『「ダブリンの市民」――テキスト分析の手引き』(Dubliners: A Guide to Text Analysis, Naples:Loffredo Editore, 1997)、『ジェイムズ・ジョイス――情熱的流亡』(James Joyce-A Passionate Exile, London: Orion Books and New York: St. Martins Press,1999)、『ジェイムズ・ジョイスと映画』(Roll Away the Real World: James Joyce and Cinema, Cork University Press, 2010)、『ジョイスの人生と文学』(編著)(Joyce in Context, Cambridge University Press, 2014)などがある。
【訳者について】
宮田恭子(みやたきょうこ)
1934年、石川県に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻修士課程修了。元玉川大学教授。主な著書に『ジョイスの都市――トリエステとチューリヒ』(小沢書店、1989年)、『ジョイスと中世文化』(2009年)、『ルチア・ジョイスを求めて』(2011年、ともに、みすず書房)、『ジョイスとめぐるオペラ劇場』(水声社、2015年)、訳書に、S ・ジョイス『兄の番人――若き日のジェイムズ・ジョイス』(1993年)、R ・エルマン『ジェイムズ・ジョイス伝1・2』(1996年、いずれも、みすず書房)、J・ジョイス『抄訳 フィネガンズ・ウェイク』(集英社、2004年)などがある。
【関連書】
ジョイスとめぐるオペラ劇場/宮田恭子/4000円+税
ジョイスをめぐる冒険/夏目博明/4000円+税
『ユリシーズ』と我ら/デクラン・カイバード/坂内太訳/5000円+税